概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

アフィニトール® (添付文書¹⁾/適正使用情報²⁾*)

mTOR阻害薬 エベロリムス錠
*ノバルティス ファーマ株式会社の外部サイトへ遷移します

投与スケジュール

通常、 成人には1日1回10mgを経口投与する。 なお、 患者の状態により適宜減量する。

アフィニトール®電子添文 2024年6月改訂 第3版より引用

各プロトコル

投与開始基準

RADIANT-3試験³⁾より抜粋

過去12ヵ月以内に放射線学的進行を伴う進行性で、 低悪性度または中悪性度の膵神経内分泌腫瘍を有する患者

RADIANT-4試験⁴⁾より抜粋

肺または消化管起源の進行性、 高分化型、 非機能性神経内分泌腫瘍を有する18歳以上の患者

減量・休薬・中止基準

アフィニトール®電子添文 2024年6月改訂 第3版より引用

特徴と注意点

mTOR阻害薬であり、 原発部位を問わず全ての神経内分泌腫瘍に対して保険適用となっている。 膵・消化管神経内分泌腫瘍ガイドライン第2版では、 膵・消化管NETに対する抗腫瘍薬として推奨されている (GradeA)。

他の薬剤と比較して間質性肺疾患を高率に発現するため、 臨床症状に注意し、 胸部CT検査なども適宜行う。 また、 本薬剤は免疫抑制作用を有するため、 B型肝炎ウイルスの再活性化を含む感染症には注意を要する。 

その他の副作用として皮膚障害、 口内炎、 高血糖、 脂質異常などがある。 

>>癌治療に伴う口腔粘膜炎

インスリノーマに対するエベロリムスの症状 (低血糖) 改善効果は多数報告があるため、 インスリノーマにも積極的に用いられることが多い。

KeyData|臨床試験結果

RADIANT-3試験³⁾

進行性膵神経内分泌腫瘍において、 mTOR阻害薬エベロリムスの効果を、 プラセボを対照に検証した前向き第Ⅲ相無作為化比較試験の結果より、 プラセボに比べて無増悪生存期間 (PFS) を有意に延長することが示された。

N Engl J Med. 2011;364(6):514-23.

PFS中央値

エベロリムス群はプラセボ群に比べて、 病気の進行または死亡リスクを65%低減した。

- エベロリムス群: 11.0ヵ月 (95%CI 8.4-13.9)

- プラセボ群: 4.6ヵ月 (95%CI 3.1-5.4)

HR 0.35、 95%CI 0.27-0.45、 p<0.001

OS中央値

解析時は未到達であり、 両群間に有意差は認められなかった。 OSの最終解析は、 約250例の死亡が発生した時点で行われる予定である (エベロリムスによる死亡のHR 1.05、 95%CI 0.71-1.55、 p=0.59)

ORR

全例が部分奏効

- エベロリムス群 : 5%

- プラセボ群 : 2%

>>臨床試験の詳細を見る

出典

1) ノバルティス ファーマ株式会社. アフィニトール®電子添文 (2024年6月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2025/1/3]

2) ノバルティス ファーマ株式会社. アフィニトール®適正使用ガイド (2024年6月改訂) [最終閲覧 : 2025/1/3]

3) Everolimus for advanced pancreatic neuroendocrine tumors. N Engl J Med. 2011 Feb 10;364(6):514-23. PMID: 21306238

4) Everolimus for the treatment of advanced, non-functional neuroendocrine tumours of the lung or gastrointestinal tract (RADIANT-4): a randomised, placebo-controlled, phase 3 study. Lancet. 2016 Mar 5;387(10022):968-977. PMID: 26703889

最終更新日 : 2025年1月3日
執筆医 : 香川大学医学部附属病院 腫瘍内科 講師 奥山浩之先生
監修医 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

レジメン
Everolimus
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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エベロリムス (アフィニトール®)
2025年01月04日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

アフィニトール® (添付文書¹⁾/適正使用情報²⁾*)

mTOR阻害薬 エベロリムス錠
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投与スケジュール

通常、 成人には1日1回10mgを経口投与する。 なお、 患者の状態により適宜減量する。

アフィニトール®電子添文 2024年6月改訂 第3版より引用

各プロトコル

投与開始基準

RADIANT-3試験³⁾より抜粋

過去12ヵ月以内に放射線学的進行を伴う進行性で、 低悪性度または中悪性度の膵神経内分泌腫瘍を有する患者

RADIANT-4試験⁴⁾より抜粋

肺または消化管起源の進行性、 高分化型、 非機能性神経内分泌腫瘍を有する18歳以上の患者

減量・休薬・中止基準

アフィニトール®電子添文 2024年6月改訂 第3版より引用

特徴と注意点

mTOR阻害薬であり、 原発部位を問わず全ての神経内分泌腫瘍に対して保険適用となっている。 膵・消化管神経内分泌腫瘍ガイドライン第2版では、 膵・消化管NETに対する抗腫瘍薬として推奨されている (GradeA)。

他の薬剤と比較して間質性肺疾患を高率に発現するため、 臨床症状に注意し、 胸部CT検査なども適宜行う。 また、 本薬剤は免疫抑制作用を有するため、 B型肝炎ウイルスの再活性化を含む感染症には注意を要する。 

その他の副作用として皮膚障害、 口内炎、 高血糖、 脂質異常などがある。 

>>癌治療に伴う口腔粘膜炎

インスリノーマに対するエベロリムスの症状 (低血糖) 改善効果は多数報告があるため、 インスリノーマにも積極的に用いられることが多い。

KeyData|臨床試験結果

RADIANT-3試験³⁾

進行性膵神経内分泌腫瘍において、 mTOR阻害薬エベロリムスの効果を、 プラセボを対照に検証した前向き第Ⅲ相無作為化比較試験の結果より、 プラセボに比べて無増悪生存期間 (PFS) を有意に延長することが示された。

N Engl J Med. 2011;364(6):514-23.

PFS中央値

エベロリムス群はプラセボ群に比べて、 病気の進行または死亡リスクを65%低減した。

- エベロリムス群: 11.0ヵ月 (95%CI 8.4-13.9)

- プラセボ群: 4.6ヵ月 (95%CI 3.1-5.4)

HR 0.35、 95%CI 0.27-0.45、 p<0.001

OS中央値

解析時は未到達であり、 両群間に有意差は認められなかった。 OSの最終解析は、 約250例の死亡が発生した時点で行われる予定である (エベロリムスによる死亡のHR 1.05、 95%CI 0.71-1.55、 p=0.59)

ORR

全例が部分奏効

- エベロリムス群 : 5%

- プラセボ群 : 2%

>>臨床試験の詳細を見る

出典

1) ノバルティス ファーマ株式会社. アフィニトール®電子添文 (2024年6月改訂 第3版) [最終閲覧 : 2025/1/3]

2) ノバルティス ファーマ株式会社. アフィニトール®適正使用ガイド (2024年6月改訂) [最終閲覧 : 2025/1/3]

3) Everolimus for advanced pancreatic neuroendocrine tumors. N Engl J Med. 2011 Feb 10;364(6):514-23. PMID: 21306238

4) Everolimus for the treatment of advanced, non-functional neuroendocrine tumours of the lung or gastrointestinal tract (RADIANT-4): a randomised, placebo-controlled, phase 3 study. Lancet. 2016 Mar 5;387(10022):968-977. PMID: 26703889

最終更新日 : 2025年1月3日
執筆医 : 香川大学医学部附属病院 腫瘍内科 講師 奥山浩之先生
監修医 : 神奈川県立がんセンター 消化器内科 上野 誠先生

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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