治療スケジュール
概要
監修医師

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2,000mg/m²/回1~3Day 1~5
(3時間で投与)-(1日2回)

前投薬

5-HT3受容体拮抗薬
副腎皮質ホルモン薬 (例:mPSL40mg)

その他

AraCによる発熱や発疹予防にAraC投与前に副腎皮質ホルモン薬を使用.
角膜・結膜障害予防にステロイド含有点眼薬を使用.
髄腔内化学療法は行わない.
AraCは原法では3g/m². 日本の承認用量は2g/m².
最大3コース. 次コース開始基準は、 前治療の影響なし、 感染巣なし、 好中球≧1,500/μl、 白血球≧3,000/μl、 血小板≧10万/μl.
レジメン
HDAC(High dose AraC)
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

骨髄抑制

  • 好中球減少症、 血小板減少症はほぼ必発.

主な有害事象

  • 悪心・嘔吐・食欲不振 (頻度不明)
  • 腹痛
  • 下痢

その他の重要な有害事象

  • ショック (頻度不明)
  • 消化管障害 (頻度不明)
  • 急性呼吸促迫症候群、間質性肺炎 (頻度不明)
  • 急性心膜炎、 心のう液貯留 (頻度不明)
  • 中枢神経系障害 (頻度不明)
  • シタラビン症候群 (頻度不明)

特徴と注意点

推奨

  • 60歳以下CBF-AMLの寛解後療法.
  • CBF (core binding factor)-AML:t(8;21)(q22;q22)やinv(16)(p13.1;q22)/t(16;16)(p13.1;q22)を有するAML.

用量と投与方法

  • 60歳以上1,500mg/m²/回への減量を考慮.
  • 中枢神経毒性、 遅延性の骨髄抑制を防ぐため点滴時間は3時間を厳守.

次コース開始基準

  • 前治療の影響なし
  • 感染巣なし
  • 好中球≧1,500/μl
  • 白血球≧3,000/μl
  • 血小板≧10万/μl

有害事象と対策

  • 腫瘍崩壊症候群:発症予防.
  • 体液貯留傾向:厳重な体液管理.
  • 重篤な骨髄抑制・ 発熱性好中球減少症 (FN):抗菌薬や抗真菌薬の予防投与を考慮. FN時には経験的抗生物質投与. G-CSFの使用も推奨される.
  • 角膜・結膜障害予防に ステロイド含有点眼薬を使用.
  • 中枢神経系有害事象:≧40歳、Cr≧1.2mg/dl、ALP≧基準値3倍のうち、 2つ以上を持つ場合に危険性が高い.
  • 小脳失調、 傾眠、 痙攣などが認められた場合は直ちに投与中止.
  • 開頭手術や全脳照射の既往のある症例では中枢神経毒性が予想されるため使用しない.

中止・減量基準

  • Grade 2以上の中枢神経系有害事象→中止.
  • Grade 4の非血液毒性→2日間(4回)の減量.
  • Grade 3の非血液毒性 (悪心などは含めず) 、 敗血症、 血液毒性の回復遅延 (Day 35) 、 投与前好中球<2,000/µl、 血小板10~15万/µl→1日間 (2回) 減量.

関連する臨床試験の結果

JALSG AML201試験¹⁾

概要

  • 65歳未満の初発AMLの寛解導入療法におけるダウノルビシンとイダルビシン、 および地固め療法における大量シタラビン療法 (HDAC) 3コースと従来の多剤併用療法 (multiagent chemotherapy:MCT) 4コースを比較する無作為比較第3相試験.

結果

  • 5年無増悪生存率:HDAC 43% vs MCT 39% (p=0.724)

  ※CBF-AMLに限れば、 HDAC 57% vs MCT 39% (p=0.050)

  • 5年生存率:HDAC 58% vs MCT 56% (p=0.954)

  ※CBF-AMLに限れば、 HDAC 75% vs MT 66% (p=0.174)

結論

  • CBF-AMLに限ればHDAC群が優れている傾向あり.
  • HDAC群で骨髄抑制が重篤で感染症合併が多い傾向あり.

参考文献

  1. Blood. 2011 Feb 24;117(8):2358-65.

最終更新:2021年9月26日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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大量シタラビン
2023年04月01日更新

AraC:シタラビン(キロサイド®)

投与量コース投与日
2,000mg/m²/回1~3Day 1~5
(3時間で投与)-(1日2回)

前投薬

5-HT3受容体拮抗薬
副腎皮質ホルモン薬 (例:mPSL40mg)

その他

AraCによる発熱や発疹予防にAraC投与前に副腎皮質ホルモン薬を使用.
角膜・結膜障害予防にステロイド含有点眼薬を使用.
髄腔内化学療法は行わない.
AraCは原法では3g/m². 日本の承認用量は2g/m².
最大3コース. 次コース開始基準は、 前治療の影響なし、 感染巣なし、 好中球≧1,500/μl、 白血球≧3,000/μl、 血小板≧10万/μl.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

主な有害事象

骨髄抑制

  • 好中球減少症、 血小板減少症はほぼ必発.

主な有害事象

  • 悪心・嘔吐・食欲不振 (頻度不明)
  • 腹痛
  • 下痢

その他の重要な有害事象

  • ショック (頻度不明)
  • 消化管障害 (頻度不明)
  • 急性呼吸促迫症候群、間質性肺炎 (頻度不明)
  • 急性心膜炎、 心のう液貯留 (頻度不明)
  • 中枢神経系障害 (頻度不明)
  • シタラビン症候群 (頻度不明)

特徴と注意点

推奨

  • 60歳以下CBF-AMLの寛解後療法.
  • CBF (core binding factor)-AML:t(8;21)(q22;q22)やinv(16)(p13.1;q22)/t(16;16)(p13.1;q22)を有するAML.

用量と投与方法

  • 60歳以上1,500mg/m²/回への減量を考慮.
  • 中枢神経毒性、 遅延性の骨髄抑制を防ぐため点滴時間は3時間を厳守.

次コース開始基準

  • 前治療の影響なし
  • 感染巣なし
  • 好中球≧1,500/μl
  • 白血球≧3,000/μl
  • 血小板≧10万/μl

有害事象と対策

  • 腫瘍崩壊症候群:発症予防.
  • 体液貯留傾向:厳重な体液管理.
  • 重篤な骨髄抑制・ 発熱性好中球減少症 (FN):抗菌薬や抗真菌薬の予防投与を考慮. FN時には経験的抗生物質投与. G-CSFの使用も推奨される.
  • 角膜・結膜障害予防に ステロイド含有点眼薬を使用.
  • 中枢神経系有害事象:≧40歳、Cr≧1.2mg/dl、ALP≧基準値3倍のうち、 2つ以上を持つ場合に危険性が高い.
  • 小脳失調、 傾眠、 痙攣などが認められた場合は直ちに投与中止.
  • 開頭手術や全脳照射の既往のある症例では中枢神経毒性が予想されるため使用しない.

中止・減量基準

  • Grade 2以上の中枢神経系有害事象→中止.
  • Grade 4の非血液毒性→2日間(4回)の減量.
  • Grade 3の非血液毒性 (悪心などは含めず) 、 敗血症、 血液毒性の回復遅延 (Day 35) 、 投与前好中球<2,000/µl、 血小板10~15万/µl→1日間 (2回) 減量.

関連する臨床試験の結果

JALSG AML201試験¹⁾

概要

  • 65歳未満の初発AMLの寛解導入療法におけるダウノルビシンとイダルビシン、 および地固め療法における大量シタラビン療法 (HDAC) 3コースと従来の多剤併用療法 (multiagent chemotherapy:MCT) 4コースを比較する無作為比較第3相試験.

結果

  • 5年無増悪生存率:HDAC 43% vs MCT 39% (p=0.724)

  ※CBF-AMLに限れば、 HDAC 57% vs MCT 39% (p=0.050)

  • 5年生存率:HDAC 58% vs MCT 56% (p=0.954)

  ※CBF-AMLに限れば、 HDAC 75% vs MT 66% (p=0.174)

結論

  • CBF-AMLに限ればHDAC群が優れている傾向あり.
  • HDAC群で骨髄抑制が重篤で感染症合併が多い傾向あり.

参考文献

  1. Blood. 2011 Feb 24;117(8):2358-65.

最終更新:2021年9月26日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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