治療スケジュール
概要
監修医師

RUX:ルキソリチニブ(ジャカビ®)

投与量コース投与日
1回20mg 1日2回で開始 経口MF:骨髄線維症Day 1~
1回10mg 1日2回で開始 経口PV:真性多血症Day 1~

その他

ジャカビ®錠には5mgと10mgの錠剤がある.
開始用量は疾患、 血小板数、 患者状態により異なる.
血小板数5万~10万未満のPV患者への開始用量の情報は得られていないため、 投与の可否を慎重に検討し、 低用量から投与を開始する.
増量する場合は5mgずつ、 2週間以上の間隔を空ける.
用量は1回25mg1日2回が最大.
レジメン
Ruxolitinib
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ジャカビ® (添付文書 / 適正使用ガイド)

*適正使用ガイドは「ノバルティス ファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

MF:骨髄線維症

COMFORT-I試験¹⁾より引用

【骨髄抑制】

  • ヘモグロビン減少(96.1%、 ≧Grade3 45.2%)
  • 血小板数減少・血小板減少症(69.7%、 ≧Grade3 12.9%)
  • 好中球数減少(18.7%、 ≧Grade3 7.1%)

【主な有害事象】

  • 疲労・倦怠感(25.2%、 ≧Grade3 5.2%)
  • 下痢(23.2%、 ≧Grade3 1.9%)
  • 末梢性浮腫(18.7%、 ≧Grade3 0%)
  • 斑状出血(18.7%、 ≧Grade3 0%)
  • 呼吸困難(17.4%、 ≧Grade3 1.3%)
  • めまい(14.8%、 ≧Grade3 1.3%)
  • 嘔気(12.3%、 ≧Grade3 0%)
  • 頭痛(14.8%、 ≧Grade3 0%)
  • 便秘(12.9%、 ≧Grade3 0%)
  • 嘔吐(12.3%、 ≧Grade3 1.3%)
  • 四肢痛(12.3%、 ≧Grade3 1.3%)
  • 不眠症(11.6%、 ≧Grade3 0%)
  • 関節痛(11.0%、 ≧Grade3 1.9%)
  • 発熱(11.0%、 ≧Grade3 1.3%)
  • 腹痛(10.3%、 ≧Grade3 5.2%)

PV:真性多血症

RESPONSE試験²⁾より引用

【骨髄抑制】

  • 貧血(43.6%、 ≧Grade3 1.8%)
  • 血小板減少症(24.5%、 ≧Grade3 5.5%)
  • リンパ球減少症(43.6%、 ≧Grade3 16.4%)
  • 白血球減少症(9.1%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 好中球減少症(1.8%、 ≧Grade3 0.9%)

【主な有害事象】

  • 頭痛(16.4%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 下痢(14.5%、 ≧Grade3 0%)
  • 疲労・倦怠感(14.5%、 ≧Grade3 0%)
  • 掻痒感(13.6%、 ≧Grade3 0.9%)
  • めまい(11.8%、 ≧Grade3 0%)
  • 筋攣縮(11.8%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 呼吸困難(10.0%、 ≧Grade3 2.7%)

【その他重要な有害事象】

適正使用ガイドより引用

  • 感染症(MF:11.0%、 ≧Grade3 2.0%)、 (PV:9.1%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 出血(MF:8.0%、 ≧Grade3 0.7%)、 (PV:3.6%、 ≧Grade3 0%)
  • 肝機能障害(MF:2.3%、 ≧Grade3 0.7%)、 (PV:5.5%、 ≧Grade3 2.7%)
  • 高血圧(MF:1.3%、 ≧Grade3 0%)、 (PV:1.8%、 ≧Grade3 0%)
  • 進行性多巣性白質脳症 (頻度不明)
  • 間質性肺疾患(頻度不明)
  • 心不全(頻度不明)

特徴と注意点

  • CYP3A4関連の相互作用に注意.
  • 肝障害患者および腎障害患者では減量を考慮.
  • 緊急時を除き、 投与中止の際には漸減を行う.

MF:骨髄線維症

  • 同種造血幹細胞移植適応外のMFに対する第一選択薬.
  • 中~高リスクMF患者の脾腫・臨床症状を軽減し、OSを改善させる.
  • 血小板数好中球数に応じて用量調節. 

MF患者における減量・休薬基準

PV:真性多血症

  • ヒドロキシウレア不耐・抵抗性症例に用いる.
  • ヘモグロビン値血小板数好中球数に応じて用量調節. 

PV患者における減量・休薬基準

関連する臨床試験の結果

COMFORT-I試験¹⁾ (351試験)

概要

  • 国際共同二重盲検無作為化プラセボ対照第3相試験.
  • 対象: 中リスクまたは高リスクの骨髄線維症の患者309例.
  • 介入群:ルキソリチニブ.
  • 対照群:プラセボ.
  • 主要評価項目: 24週までに35%以上の脾臓体積減少を達成した患者の割合.
  • 副次評価項目:OS、 脾臓容積減少の維持期間、 ベースラインから24週までのTTS変化、 24週までにTSSが50%以上減少した患者の割合.
OS:全生存期間、 TTS:症状スコア

結果

  • 24週までに35%以上の脾臓体積減少を達成した患者の割合:

  ルキソリチニブ群41.9% vs プラセボ群0.7% 

RESPONSE試験²⁾ (B2301試験)

概要

  • 国際共同無作為化非盲検第3相試験.
  • 対象: 脾腫を伴う瀉血が必要な真性多血症患者222例.
  • 介入群:ルキソリチニブ.
  • 対照群:既存の標準治療.
  • 主要評価項目:脾臓体積の35%以上減少とHt値コントロール両方ができた患者の割合.
  • 副次評価項目:DoR、 症状スコア軽減、 安全性.
DoR:奏効持続期間

結果

  • 脾臓体積の35%以上減少とHt値コントロール両方ができた患者の割合:

  ルキソリチニブ群20.9% vs プラセボ群0.9%

参考文献

1.   N Engl J Med . 2012 Mar 1;366(9):799-807.

2.   N Engl J Med. 2015 Jan 29;372(5):426-35.

最終更新:2023年8月2日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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ルキソリチニブ(ジャカビ®)
2023年08月02日更新

RUX:ルキソリチニブ(ジャカビ®)

投与量コース投与日
1回20mg 1日2回で開始 経口MF:骨髄線維症Day 1~
1回10mg 1日2回で開始 経口PV:真性多血症Day 1~

その他

ジャカビ®錠には5mgと10mgの錠剤がある.
開始用量は疾患、 血小板数、 患者状態により異なる.
血小板数5万~10万未満のPV患者への開始用量の情報は得られていないため、 投与の可否を慎重に検討し、 低用量から投与を開始する.
増量する場合は5mgずつ、 2週間以上の間隔を空ける.
用量は1回25mg1日2回が最大.

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

ジャカビ® (添付文書 / 適正使用ガイド)

*適正使用ガイドは「ノバルティス ファーマ株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

MF:骨髄線維症

COMFORT-I試験¹⁾より引用

【骨髄抑制】

  • ヘモグロビン減少(96.1%、 ≧Grade3 45.2%)
  • 血小板数減少・血小板減少症(69.7%、 ≧Grade3 12.9%)
  • 好中球数減少(18.7%、 ≧Grade3 7.1%)

【主な有害事象】

  • 疲労・倦怠感(25.2%、 ≧Grade3 5.2%)
  • 下痢(23.2%、 ≧Grade3 1.9%)
  • 末梢性浮腫(18.7%、 ≧Grade3 0%)
  • 斑状出血(18.7%、 ≧Grade3 0%)
  • 呼吸困難(17.4%、 ≧Grade3 1.3%)
  • めまい(14.8%、 ≧Grade3 1.3%)
  • 嘔気(12.3%、 ≧Grade3 0%)
  • 頭痛(14.8%、 ≧Grade3 0%)
  • 便秘(12.9%、 ≧Grade3 0%)
  • 嘔吐(12.3%、 ≧Grade3 1.3%)
  • 四肢痛(12.3%、 ≧Grade3 1.3%)
  • 不眠症(11.6%、 ≧Grade3 0%)
  • 関節痛(11.0%、 ≧Grade3 1.9%)
  • 発熱(11.0%、 ≧Grade3 1.3%)
  • 腹痛(10.3%、 ≧Grade3 5.2%)

PV:真性多血症

RESPONSE試験²⁾より引用

【骨髄抑制】

  • 貧血(43.6%、 ≧Grade3 1.8%)
  • 血小板減少症(24.5%、 ≧Grade3 5.5%)
  • リンパ球減少症(43.6%、 ≧Grade3 16.4%)
  • 白血球減少症(9.1%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 好中球減少症(1.8%、 ≧Grade3 0.9%)

【主な有害事象】

  • 頭痛(16.4%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 下痢(14.5%、 ≧Grade3 0%)
  • 疲労・倦怠感(14.5%、 ≧Grade3 0%)
  • 掻痒感(13.6%、 ≧Grade3 0.9%)
  • めまい(11.8%、 ≧Grade3 0%)
  • 筋攣縮(11.8%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 呼吸困難(10.0%、 ≧Grade3 2.7%)

【その他重要な有害事象】

適正使用ガイドより引用

  • 感染症(MF:11.0%、 ≧Grade3 2.0%)、 (PV:9.1%、 ≧Grade3 0.9%)
  • 出血(MF:8.0%、 ≧Grade3 0.7%)、 (PV:3.6%、 ≧Grade3 0%)
  • 肝機能障害(MF:2.3%、 ≧Grade3 0.7%)、 (PV:5.5%、 ≧Grade3 2.7%)
  • 高血圧(MF:1.3%、 ≧Grade3 0%)、 (PV:1.8%、 ≧Grade3 0%)
  • 進行性多巣性白質脳症 (頻度不明)
  • 間質性肺疾患(頻度不明)
  • 心不全(頻度不明)

特徴と注意点

  • CYP3A4関連の相互作用に注意.
  • 肝障害患者および腎障害患者では減量を考慮.
  • 緊急時を除き、 投与中止の際には漸減を行う.

MF:骨髄線維症

  • 同種造血幹細胞移植適応外のMFに対する第一選択薬.
  • 中~高リスクMF患者の脾腫・臨床症状を軽減し、OSを改善させる.
  • 血小板数好中球数に応じて用量調節. 

MF患者における減量・休薬基準

PV:真性多血症

  • ヒドロキシウレア不耐・抵抗性症例に用いる.
  • ヘモグロビン値血小板数好中球数に応じて用量調節. 

PV患者における減量・休薬基準

関連する臨床試験の結果

COMFORT-I試験¹⁾ (351試験)

概要

  • 国際共同二重盲検無作為化プラセボ対照第3相試験.
  • 対象: 中リスクまたは高リスクの骨髄線維症の患者309例.
  • 介入群:ルキソリチニブ.
  • 対照群:プラセボ.
  • 主要評価項目: 24週までに35%以上の脾臓体積減少を達成した患者の割合.
  • 副次評価項目:OS、 脾臓容積減少の維持期間、 ベースラインから24週までのTTS変化、 24週までにTSSが50%以上減少した患者の割合.
OS:全生存期間、 TTS:症状スコア

結果

  • 24週までに35%以上の脾臓体積減少を達成した患者の割合:

  ルキソリチニブ群41.9% vs プラセボ群0.7% 

RESPONSE試験²⁾ (B2301試験)

概要

  • 国際共同無作為化非盲検第3相試験.
  • 対象: 脾腫を伴う瀉血が必要な真性多血症患者222例.
  • 介入群:ルキソリチニブ.
  • 対照群:既存の標準治療.
  • 主要評価項目:脾臓体積の35%以上減少とHt値コントロール両方ができた患者の割合.
  • 副次評価項目:DoR、 症状スコア軽減、 安全性.
DoR:奏効持続期間

結果

  • 脾臓体積の35%以上減少とHt値コントロール両方ができた患者の割合:

  ルキソリチニブ群20.9% vs プラセボ群0.9%

参考文献

1.   N Engl J Med . 2012 Mar 1;366(9):799-807.

2.   N Engl J Med. 2015 Jan 29;372(5):426-35.

最終更新:2023年8月2日
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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