治療スケジュール
概要
監修医師

RIT:リツキシマブ(リツキサン®)

投与量コース投与日
375mg/m²1-Day 0 or 1

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
750mg/m²1-Day 1

THP:ピラルビシン(テラルビシン®)

投与量コース投与日
50mg/m²1-Day 1

VCR:ビンクリスチン(オンコビン®)

投与量コース投与日
1.4mg/m²1-Day 1
*最大2.0mg/body--

PSL:プレドニゾロン(プレドニン®)

投与量コース投与日
100mg/日 経口1-Day 1-5
*点滴静注も可--

前投薬

RIT投与前に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を使用
THP-COP投与日は5-HT3受容体拮抗薬を使用

その他

1コースは21日間
RITはTHP-COPの前日または同日に投与
PSLは100mg/bodyが原則だが65歳以上では減量も考慮
PSLは糖尿病など合併症を考慮して用量を決定
レジメン
R-THP-COP
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「全薬工業株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

Alliance /CALGB 50303試験²⁾より引用

骨髄抑制

  • 血液毒性 (≧Grade3 73.7%)

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 17.7%)
  • 感染症 (≧Grade3 10.7%)

その他

  • 神経障害 (≧Grade3 3.3%)
  • 粘膜炎 (≧Grade3 2.1%)

特徴と注意点

  • R-CHOP療法のドキソルビシンをピラルビシンに変更したレジメンである. 詳細はR-CHOP療法”の項を参照.
  • ドキソルビシンを “1” とした場合の心血管毒性相対比は“アントラサイクリン系抗がん剤の累積心毒性”の項を参照.
  • アントラサイクリン系薬剤は用量依存性に不可逆的心筋障害の原因となるため、 同系統薬剤の累積投与量には十分注意する.
  • 心機能低下が予想される初発DLBCLに対し、 ドキソルビシンを他の薬剤に変更したレジメンは代替治療となる可能性があるが、 心毒性に差がなく、 有用性は証明されていない¹⁾ .
  • 超高齢者DLBCLに対するR-THP-COP療法は、 R-CHOP療法との非劣性が証明されているレジメンの一つである. 減量R-CHOP療法が施行できない場合に選択できる¹⁾ .
  • 併存する心不全リスクに応じて、 初回投与前・投与2回目・投与4回目・投与6回目もしくは3ヵ月後に心臓評価 (心電図・心エコー図検査・バイオマーカー検査) を実施する.

関連する臨床試験の結果

R-THP-COP versus R-CHOP in patients younger than 70 years with untreated diffuse large B cell lymphoma: A randomized, open-label, noninferiority phase 3 trial²⁾

概要

  • 国内第III相ランダム化非劣勢比較試験未治療びまん性大細胞型B細胞.
  • 対象:18歳から70歳の未治療CD20陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫.
  • 治療介入:R-CHOP療法とR-THP-COP療法における有効性と安全性を比較.
CRR:完全奏効率 ORR:全奏効率 OS:全生存期間 PFS:無増悪生存期間 

結果

  • 追跡期間中央値:75.2ヵ月.
  • CRR:R-CHOP群 85% vs R-THP-COP群 85%.
  • ORR:R-CHOP群 88% vs R-THP-COP群 90%.
  • 5年OS:R-CHOP群 87% vs R-THP-COP群 82% (HR 0.89、 95%CI 0.31-2.49、 p=0.82).
  • 5年PFS:R-CHOP群 74% vs R-THP-COP群 79% (HR 1.37、 95%CI 0.56-3.50、 p=0.49).

CHOP of THP-COP regimens in the treatment of newly diagnosed peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified: a comparison of doxorubicin and pirarubicin³⁾

概要

  • 後ろ向き試験.
  • 対象:未治療の末梢性T細胞リンパ腫、 非特異型.
  • 治療:CHOP療法とTHP-COP療法における有効性と安全性を比較.
CRR:完全奏効率 ORR:全奏効率 OS:全生存期間 PFS:無増悪生存期間 

結果

  • ORR:CHOP群 70.3% vs THP-COP群 65.5%.
  • CRR:CHOP群 51.8% vs THP-COP群 51.7%.
  • 3年OS:CHOP群 51.6% vs THP-COP群 66.6% (p=0.074).
  • 3年PFS:CHOP群 28.6% vs THP-COP群 51.2% (p=0.070).

参考文献

  1. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.
  2. Hematol Oncol. 2018 Oct;36(4):638-644.
  3. Hematol Oncol. 2017 Jun;35(2):163-171.

最終更新:2023年9月28日
執筆:北里大学病院 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

レジメン
R-THP-COP
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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R-THP-COP

R-THP-COP

リツキシマブ併用THP-COP
2023年09月28日更新

RIT:リツキシマブ(リツキサン®)

投与量コース投与日
375mg/m²1-Day 0 or 1

CPA:シクロホスファミド(エンドキサン®)

投与量コース投与日
750mg/m²1-Day 1

THP:ピラルビシン(テラルビシン®)

投与量コース投与日
50mg/m²1-Day 1

VCR:ビンクリスチン(オンコビン®)

投与量コース投与日
1.4mg/m²1-Day 1
*最大2.0mg/body--

PSL:プレドニゾロン(プレドニン®)

投与量コース投与日
100mg/日 経口1-Day 1-5
*点滴静注も可--

前投薬

RIT投与前に解熱鎮痛薬、 抗ヒスタミン薬を使用
THP-COP投与日は5-HT3受容体拮抗薬を使用

その他

1コースは21日間
RITはTHP-COPの前日または同日に投与
PSLは100mg/bodyが原則だが65歳以上では減量も考慮
PSLは糖尿病など合併症を考慮して用量を決定

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

薬剤情報

*適正使用ガイドは「全薬工業株式会社」 の外部サイトへ遷移します.

主な有害事象

Alliance /CALGB 50303試験²⁾より引用

骨髄抑制

  • 血液毒性 (≧Grade3 73.7%)

主な有害事象

  • 発熱性好中球減少症 (≧Grade3 17.7%)
  • 感染症 (≧Grade3 10.7%)

その他

  • 神経障害 (≧Grade3 3.3%)
  • 粘膜炎 (≧Grade3 2.1%)

特徴と注意点

  • R-CHOP療法のドキソルビシンをピラルビシンに変更したレジメンである. 詳細はR-CHOP療法”の項を参照.
  • ドキソルビシンを “1” とした場合の心血管毒性相対比は“アントラサイクリン系抗がん剤の累積心毒性”の項を参照.
  • アントラサイクリン系薬剤は用量依存性に不可逆的心筋障害の原因となるため、 同系統薬剤の累積投与量には十分注意する.
  • 心機能低下が予想される初発DLBCLに対し、 ドキソルビシンを他の薬剤に変更したレジメンは代替治療となる可能性があるが、 心毒性に差がなく、 有用性は証明されていない¹⁾ .
  • 超高齢者DLBCLに対するR-THP-COP療法は、 R-CHOP療法との非劣性が証明されているレジメンの一つである. 減量R-CHOP療法が施行できない場合に選択できる¹⁾ .
  • 併存する心不全リスクに応じて、 初回投与前・投与2回目・投与4回目・投与6回目もしくは3ヵ月後に心臓評価 (心電図・心エコー図検査・バイオマーカー検査) を実施する.

関連する臨床試験の結果

R-THP-COP versus R-CHOP in patients younger than 70 years with untreated diffuse large B cell lymphoma: A randomized, open-label, noninferiority phase 3 trial²⁾

概要

  • 国内第III相ランダム化非劣勢比較試験未治療びまん性大細胞型B細胞.
  • 対象:18歳から70歳の未治療CD20陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫.
  • 治療介入:R-CHOP療法とR-THP-COP療法における有効性と安全性を比較.
CRR:完全奏効率 ORR:全奏効率 OS:全生存期間 PFS:無増悪生存期間 

結果

  • 追跡期間中央値:75.2ヵ月.
  • CRR:R-CHOP群 85% vs R-THP-COP群 85%.
  • ORR:R-CHOP群 88% vs R-THP-COP群 90%.
  • 5年OS:R-CHOP群 87% vs R-THP-COP群 82% (HR 0.89、 95%CI 0.31-2.49、 p=0.82).
  • 5年PFS:R-CHOP群 74% vs R-THP-COP群 79% (HR 1.37、 95%CI 0.56-3.50、 p=0.49).

CHOP of THP-COP regimens in the treatment of newly diagnosed peripheral T-cell lymphoma, not otherwise specified: a comparison of doxorubicin and pirarubicin³⁾

概要

  • 後ろ向き試験.
  • 対象:未治療の末梢性T細胞リンパ腫、 非特異型.
  • 治療:CHOP療法とTHP-COP療法における有効性と安全性を比較.
CRR:完全奏効率 ORR:全奏効率 OS:全生存期間 PFS:無増悪生存期間 

結果

  • ORR:CHOP群 70.3% vs THP-COP群 65.5%.
  • CRR:CHOP群 51.8% vs THP-COP群 51.7%.
  • 3年OS:CHOP群 51.6% vs THP-COP群 66.6% (p=0.074).
  • 3年PFS:CHOP群 28.6% vs THP-COP群 51.2% (p=0.070).

参考文献

  1. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.
  2. Hematol Oncol. 2018 Oct;36(4):638-644.
  3. Hematol Oncol. 2017 Jun;35(2):163-171.

最終更新:2023年9月28日
執筆:北里大学病院 宮島律子
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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