治療スケジュール
概要
監修医師

L-OHP:Oxaliplatin(エルプラット®)

投与量コース投与日
100mg/m² 点滴1~Day1

l-LV:Levofolinate(アイソボリン®)

投与量コース投与日
400mg/m² 点滴1~Day1

5-FU:Fluorouracil(フルオロウラシル®)

投与量コース投与日
400mg/m² 急速静注1~Day1
2,400mg/m² 持続静注1~Day1~3

前投薬

パロノセトロン0.75mg day1 点滴、 デキサメタゾン 6.6mg day1 点滴、 8.0mg day2-4 経口

その他

1コース14日間。
L-OHP+l-LV+5-FUをFOLFOX療法と呼ぶ。
レジメン
FOLFOX
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

国際第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11⁴⁾より作図

前投薬

MECレジメンとして扱う。

  • パロノセトロン0.75mg day1 点滴
  • デキサメタゾン 6.6mg day1 点滴、 8.0mg day2-4 経口
執筆 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

投与開始基準

国際第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11⁴⁾より作図

減量・休薬基準

国際第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11⁴⁾より作図

主な有害事象

国際第Ⅱ相試験⁴⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 好中球減少症 80.3% (35.7%)
  • 白血球減少症 76.8% (28.6%)
  • 貧血 35.7% (10.7%)
  • 血小板減少症 30.4% (10.7%)
  • AST/ALT上昇 16.1% (0%)
  • 発熱性好中球減少症 7.1% (7.1%)
  • 倦怠感 60.7% (5%)
  • 粘膜炎 57.1% (0%)
  • 悪心/嘔吐 51.8% (0%)
  • 下痢 10.7% (0%)

注意すべき有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 脱毛症 10.7% (0%)
Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11⁴⁾より引用

上手に使うためのワンポイント

他のレジメンとの使い分け

FP±Nivo/PemやIPI+Nivoとの使い分けが問題となる。 エビデンスレベルからはFP±Nivo/PemやIPI+Nivoを第1選択とし、 FOLFOXはこれらの治療レジメンが不適格の症例を対象とする。 具体的には心疾患、 腎障害、 外来での通院希望例、 自己免疫疾患を有する症例などである。

腎機能について

オキサリプラチンの投与量は腎機能CrClを参考に決定する。 CrClの計算はCockcroft-Gault式を用い、 CrCl≧30mL/minでは減量不要である。 欧州の添付文書ではCrCl<30mL/minは禁忌とされているが、 米国NCI Organ Dysfunction Working GroupによるとCrCl≧20mL/minで投与可能と報告されている⁵⁾。

執筆 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

特徴と注意点

オキサリプラチンは末梢神経障害が問題となる。 累積投与量が850mg/m²に達するとGrade3の末梢神経障害が約10%に出現する⁶⁾。 またオキサリプラチンの末梢神経障害は中止後も増悪するcoastingが見られるため、 症状が増悪してから中止しても手遅れとなりQOLを著しく悪化させる可能性があるため注意を要する。 累積投与量が850mg/m²を目安に中止を検討する。

執筆 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

出典

  1. 協和キリン株式会社. 5-FU®電子添文 (2024年6月改訂 第4版) [最終閲覧 : 2024/08/15]
  2. ファイザー・ファーマ株式会社. アイソボリン®電子添文 (2023年3月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/04/10]
  3. ヤクルト本社. エルプラット®電子添文 (2024年4月改訂 第4版) [最終閲覧 : 2024/04/10]
  4. A phase II study of oxaliplatin in combination with leucovorin and fluorouracil as first-line chemotherapy in patients with metastatic squamous cell carcinoma of esophagus. Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11. PMID: 23370661
  5. Dose-escalating and pharmacological study of oxaliplatin in adult cancer patients with impaired renal function: a National Cancer Institute Organ Dysfunction Working Group Study. J Clin Oncol. 2003 Jul 15;21(14):2664-72. PMID: 12860942
  6. Oxaliplatin-safety profile: neurotoxicity. Semin Oncol. 2003 Aug;30(4 Suppl 15):5-13. PMID: 14523789
最終更新日 : 2024年8月21日
執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生
監修医師 : 神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

レジメン
FOLFOX
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン
FOLFOX
レジメン
FOLFOX

FOLFOX

フルオロウラシル + レボホリナート + オキサリプラチン
2024年08月21日更新

L-OHP:Oxaliplatin(エルプラット®)

投与量コース投与日
100mg/m² 点滴1~Day1

l-LV:Levofolinate(アイソボリン®)

投与量コース投与日
400mg/m² 点滴1~Day1

5-FU:Fluorouracil(フルオロウラシル®)

投与量コース投与日
400mg/m² 急速静注1~Day1
2,400mg/m² 持続静注1~Day1~3

前投薬

パロノセトロン0.75mg day1 点滴、 デキサメタゾン 6.6mg day1 点滴、 8.0mg day2-4 経口

その他

1コース14日間。
L-OHP+l-LV+5-FUをFOLFOX療法と呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

用法用量

国際第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11⁴⁾より作図

前投薬

MECレジメンとして扱う。

  • パロノセトロン0.75mg day1 点滴
  • デキサメタゾン 6.6mg day1 点滴、 8.0mg day2-4 経口
執筆 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

投与開始基準

国際第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11⁴⁾より作図

減量・休薬基準

国際第Ⅱ相試験⁴⁾のプロトコル

Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11⁴⁾より作図

主な有害事象

国際第Ⅱ相試験⁴⁾

主な有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 好中球減少症 80.3% (35.7%)
  • 白血球減少症 76.8% (28.6%)
  • 貧血 35.7% (10.7%)
  • 血小板減少症 30.4% (10.7%)
  • AST/ALT上昇 16.1% (0%)
  • 発熱性好中球減少症 7.1% (7.1%)
  • 倦怠感 60.7% (5%)
  • 粘膜炎 57.1% (0%)
  • 悪心/嘔吐 51.8% (0%)
  • 下痢 10.7% (0%)

注意すべき有害事象 (カッコ内はGrade3~4)

  • 脱毛症 10.7% (0%)
Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11⁴⁾より引用

上手に使うためのワンポイント

他のレジメンとの使い分け

FP±Nivo/PemやIPI+Nivoとの使い分けが問題となる。 エビデンスレベルからはFP±Nivo/PemやIPI+Nivoを第1選択とし、 FOLFOXはこれらの治療レジメンが不適格の症例を対象とする。 具体的には心疾患、 腎障害、 外来での通院希望例、 自己免疫疾患を有する症例などである。

腎機能について

オキサリプラチンの投与量は腎機能CrClを参考に決定する。 CrClの計算はCockcroft-Gault式を用い、 CrCl≧30mL/minでは減量不要である。 欧州の添付文書ではCrCl<30mL/minは禁忌とされているが、 米国NCI Organ Dysfunction Working GroupによるとCrCl≧20mL/minで投与可能と報告されている⁵⁾。

執筆 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

特徴と注意点

オキサリプラチンは末梢神経障害が問題となる。 累積投与量が850mg/m²に達するとGrade3の末梢神経障害が約10%に出現する⁶⁾。 またオキサリプラチンの末梢神経障害は中止後も増悪するcoastingが見られるため、 症状が増悪してから中止しても手遅れとなりQOLを著しく悪化させる可能性があるため注意を要する。 累積投与量が850mg/m²を目安に中止を検討する。

執筆 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生

出典

  1. 協和キリン株式会社. 5-FU®電子添文 (2024年6月改訂 第4版) [最終閲覧 : 2024/08/15]
  2. ファイザー・ファーマ株式会社. アイソボリン®電子添文 (2023年3月改訂 第1版) [最終閲覧 : 2024/04/10]
  3. ヤクルト本社. エルプラット®電子添文 (2024年4月改訂 第4版) [最終閲覧 : 2024/04/10]
  4. A phase II study of oxaliplatin in combination with leucovorin and fluorouracil as first-line chemotherapy in patients with metastatic squamous cell carcinoma of esophagus. Cancer Chemother Pharmacol. 2013 Apr;71(4):905-11. PMID: 23370661
  5. Dose-escalating and pharmacological study of oxaliplatin in adult cancer patients with impaired renal function: a National Cancer Institute Organ Dysfunction Working Group Study. J Clin Oncol. 2003 Jul 15;21(14):2664-72. PMID: 12860942
  6. Oxaliplatin-safety profile: neurotoxicity. Semin Oncol. 2003 Aug;30(4 Suppl 15):5-13. PMID: 14523789
最終更新日 : 2024年8月21日
執筆医 : 神奈川県立がんセンター消化器内科 古田 光寛先生
監修医師 : 神奈川県立がんセンター消化器内科部長 町田望先生

こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

主要論文や適正使用ガイドをもとにした用量調整プロトコール、 有害事象対応をご紹介します。

なお、 本ツールは医師向けの教育用資料であり、 実臨床での使用は想定しておりません。 最新の添付文書やガイドラインを必ずご確認下さい。

また、 一般の方への情報提供ではないことを予めご了承ください。