本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.
薬剤情報
ゾスパタ® (添付文書/適正使用ガイド*)
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主な有害事象
ADMIRAL試験¹⁾より引用
骨髄抑制
- 貧血 (47.2%、 ≧Grade3 40.7%)
- 血小板減少 (25.6%、 ≧Grade3 22.8%)
重大な有害事象
- 発熱性好中球減少症 (46.7%、 ≧Grade3 45.9%)
- ALT上昇 (41.9%、 ≧Grade3 13.8%)
- AST上昇 (40.2%、 ≧Grade3 14.6%)
- 低K血症 (28.9%、 ≧Grade3 13.0%)
その他
- 発熱 (42.7%、 ≧Grade3 3.3%)
- 下痢 (32.9%、 ≧Grade3 3.7%)
- 便秘 (30.9%、 ≧Grade3 0.8%)
- 倦怠感 (28.5%、 ≧Grade3 2.4%)
- 咳嗽 (29.3%、 ≧Grade3 0.4%)
- 頭痛 (26.0%、 ≧Grade3 1.2%)
- 末梢性浮腫 (24.0%、 ≧Grade3 0.4%)
- 嘔吐 (21.5%、 ≧Grade3 0.4%)
- 呼吸困難 (23.6%、 ≧Grade3 4.1%)
- ALP上昇 (22.8%、 ≧Grade3 2.8%)
特徴と注意点
- 本剤は、 再発または難治性のFLT3遺伝子変異陽性AML治療薬の一つ.
- コンパニオン診断薬である「リューコストラットCDx FLT3変異検査」により、FLT3-ITD変異又はFLT3-TKD変異陽性が確認された患者に投与する.
- コンパニオン診断薬に関する情報は、「医薬品医療機器総合機構 (PMDA)のコンパニオン診断薬等の情報」²⁾ を参照する.
- 従来のサルベージ化学療法に比較し、 全生存期間の延長、 安全性の向上が認められている¹⁾.
- QT間隔延長の副作用があり、 投与前、 投与期間中は定期的な心電図検査、 電解質検査 (K、 Mg) を行う.
- 500msecを超えるQT間隔延長があった場合は本剤を中止. 480msecまたはベースラインに戻るまで休薬し、 再開時は一段階減量を行う.
- 遺伝毒性があるため、 本剤を投与中および投与終了後も女性は6ヵ月間、 男性は4ヵ月間避妊.
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関連する臨床試験の結果
概要
- 再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性AML成人患者371人に対する第3相ランダム化比較試験.
- ギルテリチニブ群とサルベージ化学療法群(以下対照群)について、 全生存期間、 完全寛解、 無イベント生存を比較.
結果
- 追跡期間中央値17.8ヵ月.
- 全生存期間:ギルテリチニブ群9.3ヵ月 vs 対照群5.6ヵ月 (HR0.64、 95%CI 0.49~0.83、 p<0.001).
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NEJM. 2019 Oct 31;381(18):1728-1740.より引用
- 完全又は部分的な血液学的回復を伴う完全寛解:ギルテリチニブ群34.0% vs 対照群15.3% (RD18.6%、 95%CI 9.8~27.4).
- 完全寛解:ギルテリチニブ群21.1% vs 対照群10.5% (RD10.6%、 95%CI 2.8~18.4).
- 無イベント生存:ギルテリチニブ群2.8ヵ月 vs 対照群0.7ヵ月 (HR0.79、 95%CI 0.58~1.09).
- Grade3以上の有害事象は、 ギルテリチニブ群で少なかった.
- ギルテリチニブ群において、 QT延長は12人 (4.9%) に見られ、 うち6人が減量となった.
▼追跡調査結果はこちら³⁾
追跡生存期間中央値 37.1カ月
Follow-up of patients with R/R FLT3-mutation-positive AML treated with gilteritinib in the phase 3 ADMIRAL trial. Blood. 2022 Jun 9;139(23):3366-3375. PMID: 35081255
参考文献
- N Engl J Med. 2019 Oct 31;381(18):1728-1740.
- 医薬品医療機器総合機構 (PMDA)のコンパニオン診断薬等の情報
- Blood. 2022 Jun 9;139(23):3366-3375.
最終更新:2023年8月7日
執筆:牛久愛和総合病院薬剤センタ- 秋場孝則
監修医師:東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔