概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

定義

Laboratory TLS

下記の臨床検査値以上のうち、 2個以上を化学療法開始3日前から開始7日後までに認める
  • 高尿酸血症: 基準値上限を超える
  • 高カリウム血症: 基準値上限を超える
  • 高リン血症: 基準値上限を超える

Clinical TLS

LTLSに加え、下記いずれかの臨床症状を伴う
  • 腎機能: 血清Cre ≧ 1.5×基準値上限
  • 不整脈、 突然死
  • 痙攣

固形腫瘍におけるTLS評価

多発性骨髄腫におけるTLS評価

白血病におけるTLS評価

慢性白血病

急性白血病

悪性リンパ腫におけるTLS評価

小児科領域におけるTLS評価

  • 固形腫瘍: 低リスク
  • 神経芽腫、 胚細胞腫瘍、 髄芽種: 中間リスク
  • 白血病: 成人白血病参照
  • リンパ腫 (一部除く) : 成人リンパ腫参照

腎機能、 腎浸潤によるリスクの調整

TLS予防および治療

低リスク

  • TLSおよびその合併症発症について治療開始後、 最終の化学療法薬投与24時間後まで1日1回モニタリング: 尿酸、 リン、 カリウム、 クレアチニン、 カルシウム、 LDH、 水分in/out量.
  • 通常量の補液.
  • 高尿酸血症に対する予防投与は不要.

中リスク

  • TLSおよびその合併症発症について治療開始後、 最終の化学療法薬投与24時間後まで8-12時間ごとにモニタリング.
  • 大量補液 (2,000-3,000mL/㎡/日、 (体重≦10kg: 200mL/kg/日).
  • フェブキソスタットの投与 (60mg/日) あるいはアロプリノ-ルの投与 (300mg/日).
  • フェブキソスタット、 アロプリノ-ルによる予防にも関わらず尿酸値が持続的に上昇する場合、 診断時すでに高尿酸血症が認められる場合にはラスブリカ-ゼ投与を考慮する.
  • アルカリ化は不要.

高リスク

  • ICUもしくはそれに準じた環境での治療が望ましい.
  • TLSおよびその合併症発症について治療開始後、 最終の化学療法薬投与24時間後まで頻回に (4~6時間ごと) モニタリング.
  • 大量補液 (2,000-3,000mL/㎡/日、 (体重≦10kg: 200mL/kg/日).
  • ラスブリカ-ゼ投与 (0.1-0.2mg/kg/日、 最大7日間).
  • アルカリ化は不要.
  • 高カリウム血症かつ/または高リン血症に対する管理を核施設基準またはTLSの治療法に基づいて施行.
  • 腫瘍量軽減のための治療の考慮.
  • Hyperleukocytosisを認める場合には、 Leukocytapheresis/Exchange transfusionを考慮.

参考文献

  1. 腫瘍崩壊症候群 (TLS) 診療ガイダンス 第2版 日本臨床腫瘍学会編

最終更新: 2023年8月16日
執筆担当: 北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師: 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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腫瘍崩壊症候群 (TLS)
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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2023年12月16日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではございません. 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください.

定義

Laboratory TLS

下記の臨床検査値以上のうち、 2個以上を化学療法開始3日前から開始7日後までに認める
  • 高尿酸血症: 基準値上限を超える
  • 高カリウム血症: 基準値上限を超える
  • 高リン血症: 基準値上限を超える

Clinical TLS

LTLSに加え、下記いずれかの臨床症状を伴う
  • 腎機能: 血清Cre ≧ 1.5×基準値上限
  • 不整脈、 突然死
  • 痙攣

固形腫瘍におけるTLS評価

多発性骨髄腫におけるTLS評価

白血病におけるTLS評価

慢性白血病

急性白血病

悪性リンパ腫におけるTLS評価

小児科領域におけるTLS評価

  • 固形腫瘍: 低リスク
  • 神経芽腫、 胚細胞腫瘍、 髄芽種: 中間リスク
  • 白血病: 成人白血病参照
  • リンパ腫 (一部除く) : 成人リンパ腫参照

腎機能、 腎浸潤によるリスクの調整

TLS予防および治療

低リスク

  • TLSおよびその合併症発症について治療開始後、 最終の化学療法薬投与24時間後まで1日1回モニタリング: 尿酸、 リン、 カリウム、 クレアチニン、 カルシウム、 LDH、 水分in/out量.
  • 通常量の補液.
  • 高尿酸血症に対する予防投与は不要.

中リスク

  • TLSおよびその合併症発症について治療開始後、 最終の化学療法薬投与24時間後まで8-12時間ごとにモニタリング.
  • 大量補液 (2,000-3,000mL/㎡/日、 (体重≦10kg: 200mL/kg/日).
  • フェブキソスタットの投与 (60mg/日) あるいはアロプリノ-ルの投与 (300mg/日).
  • フェブキソスタット、 アロプリノ-ルによる予防にも関わらず尿酸値が持続的に上昇する場合、 診断時すでに高尿酸血症が認められる場合にはラスブリカ-ゼ投与を考慮する.
  • アルカリ化は不要.

高リスク

  • ICUもしくはそれに準じた環境での治療が望ましい.
  • TLSおよびその合併症発症について治療開始後、 最終の化学療法薬投与24時間後まで頻回に (4~6時間ごと) モニタリング.
  • 大量補液 (2,000-3,000mL/㎡/日、 (体重≦10kg: 200mL/kg/日).
  • ラスブリカ-ゼ投与 (0.1-0.2mg/kg/日、 最大7日間).
  • アルカリ化は不要.
  • 高カリウム血症かつ/または高リン血症に対する管理を核施設基準またはTLSの治療法に基づいて施行.
  • 腫瘍量軽減のための治療の考慮.
  • Hyperleukocytosisを認める場合には、 Leukocytapheresis/Exchange transfusionを考慮.

参考文献

  1. 腫瘍崩壊症候群 (TLS) 診療ガイダンス 第2版 日本臨床腫瘍学会編

最終更新: 2023年8月16日
執筆担当: 北里大学病院薬剤部 宮島律子
監修医師: 東海大学血液腫瘍内科 扇屋大輔

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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