治療スケジュール
概要
監修医師

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
130mg/m² 点滴1~Day1

Tmab:トラスツズマブ(ハーセプチン®)

投与量コース投与日
8mg/kg 点滴1Day1
6mg/kg 点滴2~Day1

Cape:カペシタビン(ゼローダ®)

投与量コース投与日
2000mg/m² 経口分2 朝夕食後1~Day1夕~15朝

その他

1コース21日間。
L-OHP+ CapeをCAPOXと呼ぶ。
レジメン
CAPOX+T-mab
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

*中外製薬の外部サイトへ遷移します
*中外製薬の外部サイトへ遷移します

投与開始基準

多施設共同第II相試験¹⁾より抜粋

20歳以上の組織学的に確認された胃または食道胃接合部のHER2陽性腺がんと診断され、 化学療法未治療、 PSが0~2の患者

中止基準

多施設共同第II相試験¹⁾より抜粋
  • Grade3~4の血液学的毒性 (貧血を除く)
  • Grade2~4の非血液学的毒性
  • CAPOX療法が3週間以上中断された場合、 CAPOX療法は永久に中止
毒性が化学療法に起因する場合、 トラスツズマブの投与は継続を考慮

主な有害事象

多施設共同第II相試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 好中球減少 56.4% (18.2%)
  • 貧血 96.4% (10.9%)
  • 血小板減少症  67.3% (3.6%)
  • 白血球減少症 49.1% (0%)
  • 悪心 54.5% (1.8%)
  • 嘔吐 32.7% (0%)
  • 下痢  38.2% (1.8%)
  • 便秘  30.9% (0%)
  • 口内炎  21.8% (1.8%)
  • 倦怠感  54.5% (5.5%)
  • 体重減少 14.5% (0%)

注意すべき有害事象

  • 末梢性ニューロパチー  70.9% (10.9%)
  • 手足症候群  32.7% (1.8%)

上手に使うためのワンポイント

  • 胃癌は治療開始時にすでに体重減少を伴っていることが多いこと、 狭窄・腹膜播種など催吐リスクが高いことから、 オキサリプラチン130mg/m²で投与する場合には特に、 CINV予防として3剤併用 (NK1拮抗薬+5HT3拮抗薬+ステロイド) を考慮する。
  • オキサリプラチンによるCIPNにより、 2次治療のPTX投与が困難になる時がある。 治療効果が十分と考えられ、 CIPN Grade2となった場合は、 オキサリプラチンの中止を考慮する。 上記を考慮しオキサリプラチンについては計画中止も治療選択肢と考えられる。
  • カペシタビンによる手足症候群の症状と、 オキサリプラチンによるCIPNの症状がオーバーラップするため問診時には混同しないように注意する。 

特徴と注意点

  • ガイドラインでは、 HER2陽性胃癌1次治療において 「推奨される化学療法レジメン」 である。 通常の術後再発例はもちろん、 術後補助療法S-1に不応となった早期再発例に対するXParTS試験の結果から、 早期再発例の第一選択とする医師もいる。 国内での臨床試験結果がないため、 韓国での第2相試験の結果がリファレンスとなる。 
  • オキサリプラチンの併用が必要なためvulnerableな高齢患者への適用には注意が必要である。 CAPOXは国内でも大腸癌の場合、 オキサリプラチンの初回投与量は130mg/m²だが、 70歳以上高齢者を対象としたTCOG GI-1601試験初期解析において毒性により両薬剤の1段階減量による継続を結論づけられた。 S-1におけるWJOG8315Gの結果と合わせて、 高齢者の初回投与量は100mg/m²が妥当かもしれない。 
  • トラスツズマブは心毒性を有する。 治療開始前に心エコーを実施し、 LVEF<50%の症例には投与しない。 おおよそ3ヵ月程度の間隔で、 心エコーで心機能のスクリーニングを行う。

関連する臨床試験

多施設共同第II相試験¹⁾

進行胃がんに対するトラスツズマブとカペシタビンおよびオキサリプラチンの併用療法の多施設共同第II相試験。 主要評価項目は奏効率 (ORR) で、 副次評価項目には無増悪生存期間 (PFS) 、 全生存期間 (OS) 、 毒性プロファイルが含まれた。

Eur J Cancer. 2015 Mar;51(4):482-488. 

出典

  1. Multicenter phase II study of trastuzumab in combination with capecitabine and oxaliplatin for advanced gastric cancer. Eur J Cancer. 2015 Mar;51(4):482-488. PMID: 25661103
最終更新日:2024年4月9日
監修医師:HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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オキサリプラチン+トラスツズマブ+カペシタビン
2024年04月09日更新

L-OHP:オキサリプラチン(エルプラット®)

投与量コース投与日
130mg/m² 点滴1~Day1

Tmab:トラスツズマブ(ハーセプチン®)

投与量コース投与日
8mg/kg 点滴1Day1
6mg/kg 点滴2~Day1

Cape:カペシタビン(ゼローダ®)

投与量コース投与日
2000mg/m² 経口分2 朝夕食後1~Day1夕~15朝

その他

1コース21日間。
L-OHP+ CapeをCAPOXと呼ぶ。

概要

本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

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投与開始基準

多施設共同第II相試験¹⁾より抜粋

20歳以上の組織学的に確認された胃または食道胃接合部のHER2陽性腺がんと診断され、 化学療法未治療、 PSが0~2の患者

中止基準

多施設共同第II相試験¹⁾より抜粋
  • Grade3~4の血液学的毒性 (貧血を除く)
  • Grade2~4の非血液学的毒性
  • CAPOX療法が3週間以上中断された場合、 CAPOX療法は永久に中止
毒性が化学療法に起因する場合、 トラスツズマブの投与は継続を考慮

主な有害事象

多施設共同第II相試験¹⁾

有害事象データを一部引用 (カッコ内はGrade3~4)

主な有害事象

  • 好中球減少 56.4% (18.2%)
  • 貧血 96.4% (10.9%)
  • 血小板減少症  67.3% (3.6%)
  • 白血球減少症 49.1% (0%)
  • 悪心 54.5% (1.8%)
  • 嘔吐 32.7% (0%)
  • 下痢  38.2% (1.8%)
  • 便秘  30.9% (0%)
  • 口内炎  21.8% (1.8%)
  • 倦怠感  54.5% (5.5%)
  • 体重減少 14.5% (0%)

注意すべき有害事象

  • 末梢性ニューロパチー  70.9% (10.9%)
  • 手足症候群  32.7% (1.8%)

上手に使うためのワンポイント

  • 胃癌は治療開始時にすでに体重減少を伴っていることが多いこと、 狭窄・腹膜播種など催吐リスクが高いことから、 オキサリプラチン130mg/m²で投与する場合には特に、 CINV予防として3剤併用 (NK1拮抗薬+5HT3拮抗薬+ステロイド) を考慮する。
  • オキサリプラチンによるCIPNにより、 2次治療のPTX投与が困難になる時がある。 治療効果が十分と考えられ、 CIPN Grade2となった場合は、 オキサリプラチンの中止を考慮する。 上記を考慮しオキサリプラチンについては計画中止も治療選択肢と考えられる。
  • カペシタビンによる手足症候群の症状と、 オキサリプラチンによるCIPNの症状がオーバーラップするため問診時には混同しないように注意する。 

特徴と注意点

  • ガイドラインでは、 HER2陽性胃癌1次治療において 「推奨される化学療法レジメン」 である。 通常の術後再発例はもちろん、 術後補助療法S-1に不応となった早期再発例に対するXParTS試験の結果から、 早期再発例の第一選択とする医師もいる。 国内での臨床試験結果がないため、 韓国での第2相試験の結果がリファレンスとなる。 
  • オキサリプラチンの併用が必要なためvulnerableな高齢患者への適用には注意が必要である。 CAPOXは国内でも大腸癌の場合、 オキサリプラチンの初回投与量は130mg/m²だが、 70歳以上高齢者を対象としたTCOG GI-1601試験初期解析において毒性により両薬剤の1段階減量による継続を結論づけられた。 S-1におけるWJOG8315Gの結果と合わせて、 高齢者の初回投与量は100mg/m²が妥当かもしれない。 
  • トラスツズマブは心毒性を有する。 治療開始前に心エコーを実施し、 LVEF<50%の症例には投与しない。 おおよそ3ヵ月程度の間隔で、 心エコーで心機能のスクリーニングを行う。

関連する臨床試験

多施設共同第II相試験¹⁾

進行胃がんに対するトラスツズマブとカペシタビンおよびオキサリプラチンの併用療法の多施設共同第II相試験。 主要評価項目は奏効率 (ORR) で、 副次評価項目には無増悪生存期間 (PFS) 、 全生存期間 (OS) 、 毒性プロファイルが含まれた。

Eur J Cancer. 2015 Mar;51(4):482-488. 

出典

  1. Multicenter phase II study of trastuzumab in combination with capecitabine and oxaliplatin for advanced gastric cancer. Eur J Cancer. 2015 Mar;51(4):482-488. PMID: 25661103
最終更新日:2024年4月9日
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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レジメン(消化器)

がん薬物療法における治療計画をまとめたものです。

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