概要
監修医師
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

薬剤情報

- テセントリク® (添付文書/適正使用情報*)

 抗PD-L1抗体 アテゾリズマブ
 *中外製薬の外部サイトへ遷移します

- アバスチン® (添付文書/適正使用情報*)

 抗VEGF抗体 ベバシズマブ
 *中外製薬の外部サイトへ遷移します

- パラプラチン®など (添付文書)

 白金製剤 カルボプラチン

- タキソール®など (添付文書)

 タキサン系抗悪性腫瘍薬 パクリタキセル

投与スケジュール

IMpower150試験のプロトコル¹⁾

4~6サイクル終了後,増悪を認めなければベバシズマブ+アテゾリズマブ併用の維持療法を考慮する。 PTX投与30分前までにデキサメタゾン、 H1、 H2 blockerの前投薬を行う。

Lancet Oncol. 2019 Jul;20(7):924-937. より作図
電子添文の用法用量
Atezolizumab: 1回1200mgを60分かけ3週間間隔で点滴静注
Bmab : 1回15mg/kgを点滴静注。 投与間隔は3週間以上
CBDCA : 1日1回300~400mg/m²を投与、 少なくとも4週休薬
PTX : 1日1回210mg/m² を点滴静注、 少なくとも3週休薬

KeyData|臨床試験結果

ATTLAS試験 (KCSG-LU19-04)²⁾

J Clin Oncol. 2024;42(11):1241-1251.

EGFRまたはALK遺伝子変異を有するNSCLC患者を対象に、 チロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) 治療後の病勢進行時におけるABCP療法 (本レジメン) の有効性と安全性を評価した韓国国内16施設で実施された第III相無作為化試験。228例の患者が登録され (EGFR遺伝子変異陽性例 215例、 ALK融合遺伝子陽性例 13例)、 ABCP療法群 154例とペメトレキセド+カルボプラチンまたはシスプラチン療法群 74例に割り付けられた。 主要評価項目はPFSであった。

有効性|ABCP療法群

- mPFS : 8.5ヵ月 [主要評価項目]

 PC群 5.6ヵ月、 HR 0.62、 95%CI 0.45-0.86、 p=0.004

※EGFR遺伝子変異陽性例 : 8.7ヵ月

 PC群 5.6ヵ月、 HR 0.60、 95%CI 0.43-0.84

- ORR : 69.5%

 PC群 41.9%、 p<0.001

- mOS : 20.6ヵ月

 PC群 20.3ヵ月、 HR 1.01、 95%CI 0.69-1.46、 p=0.975

安全性|ABCP療法の有害事象プロファイルは既報と一致しており、 新たな安全性シグナルは報告されなかった。

IMpower150試験¹⁾

N Engl J Med. 2018;378(24):2288-2301.

進行非扁平上皮NSCLC患者を対象に、 初回治療としてABCP療法 (本レジメン) の有効性と安全性を評価した第III相無作為化試験。 患者は1,202例が登録され (国内93例を含む)、 ABCP群、 BCP群、 ACP群の3群に無作為化された。 主要評価項目はOSであった。

有効性|ABCP療法ITT集団

- mOS : 19.2ヵ月 [主要評価項目]

 BCP群: 14.7ヵ月、 HR 0.78 (95%CI: 0.64–0.96)、 p=0.02

※EGFR遺伝子変異陽性例 : 未到達

 PC群 18.7、 HR 0.61、 95%CI 0.29-1.28

- mPFS : 8.3ヵ月

 BCP群: 6.8ヵ月、 HR 0.62 (95%CI 0.52–0.74)、 p<0.001

※EGFR遺伝子変異陽性例 : 10.2ヵ月

 PC群 6.9ヵ月、 HR 0.61、 95%CI 0.36-1.03

- ORR : 63.5%

 BCP群: 48.0%

安全性 Grade 3以上の治療関連有害事象発生率は、 ABCP群 57.2%、 BCP群 50.0%であった。

特徴と注意点

肺癌診療ガイドライン2024年版の記載³⁾

2次治療以降でABCP療法の推奨度が上昇

一次治療EGFR-TKI*耐性または増悪後例に二次治療で細胞傷害性抗癌薬と免疫チェックポイント阻害薬を併用した治療は勧められるか?  *オシメルチニブを一次治療で用いていない、 および一次治療EGFR-TKI耐性後T790M変異陽性の場合以外

旧版では、 1次治療でのEGFR-TKI耐性または増悪後、 2次治療以降での細胞傷害性抗癌薬+ICI併用療法に関するCQ自体は既に存在していたが、 「推奨に至る根拠が明確ではない」 に留まっていた。 2024年版では、 ATTLAS試験の結果を受けて、 推奨内容および推奨度が 「1次治療でのEGFR-TKI耐性獲得後または増悪後」 に 「弱く推奨 (2B)」 することと変更された。

各プロトコル

投与開始基準

IMpower150試験のプロトコル¹⁾

減量・休薬・中止基準

アテゾリズマブ適正使用ガイド

テセントリク®電子添文 (2024年1月改訂 第6版)、 適正使用ガイド (2024年1月改訂) より引用

出典

  1. Atezolizumab for First-Line Treatment of Metastatic Nonsquamous NSCLC. N Engl J Med. 2018 Jun 14;378(24):2288-2301. PMID: 29863955
  2. Phase III, Randomized Study of Atezolizumab Plus Bevacizumab and Chemotherapy in Patients With EGFR- or ALK-Mutated Non-Small-Cell Lung Cancer (ATTLAS, KCSG-LU19-04). J Clin Oncol. 2024 Apr 10;42(11):1241-1251. PMID: 37861993
  3. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2024年版

最終更新日 : 2024年11月24日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

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Atezolizumab+Bmab+CBDCA+PTX
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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2024年11月26日更新
本コンテンツは特定の治療法を推奨するものではありません。 個々の患者の病態や、 実際の薬剤情報やガイドラインを確認の上、 利用者の判断と責任でご利用ください。

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- テセントリク® (添付文書/適正使用情報*)

 抗PD-L1抗体 アテゾリズマブ
 *中外製薬の外部サイトへ遷移します

- アバスチン® (添付文書/適正使用情報*)

 抗VEGF抗体 ベバシズマブ
 *中外製薬の外部サイトへ遷移します

- パラプラチン®など (添付文書)

 白金製剤 カルボプラチン

- タキソール®など (添付文書)

 タキサン系抗悪性腫瘍薬 パクリタキセル

投与スケジュール

IMpower150試験のプロトコル¹⁾

4~6サイクル終了後,増悪を認めなければベバシズマブ+アテゾリズマブ併用の維持療法を考慮する。 PTX投与30分前までにデキサメタゾン、 H1、 H2 blockerの前投薬を行う。

Lancet Oncol. 2019 Jul;20(7):924-937. より作図
電子添文の用法用量
Atezolizumab: 1回1200mgを60分かけ3週間間隔で点滴静注
Bmab : 1回15mg/kgを点滴静注。 投与間隔は3週間以上
CBDCA : 1日1回300~400mg/m²を投与、 少なくとも4週休薬
PTX : 1日1回210mg/m² を点滴静注、 少なくとも3週休薬

KeyData|臨床試験結果

ATTLAS試験 (KCSG-LU19-04)²⁾

J Clin Oncol. 2024;42(11):1241-1251.

EGFRまたはALK遺伝子変異を有するNSCLC患者を対象に、 チロシンキナーゼ阻害薬 (TKI) 治療後の病勢進行時におけるABCP療法 (本レジメン) の有効性と安全性を評価した韓国国内16施設で実施された第III相無作為化試験。228例の患者が登録され (EGFR遺伝子変異陽性例 215例、 ALK融合遺伝子陽性例 13例)、 ABCP療法群 154例とペメトレキセド+カルボプラチンまたはシスプラチン療法群 74例に割り付けられた。 主要評価項目はPFSであった。

有効性|ABCP療法群

- mPFS : 8.5ヵ月 [主要評価項目]

 PC群 5.6ヵ月、 HR 0.62、 95%CI 0.45-0.86、 p=0.004

※EGFR遺伝子変異陽性例 : 8.7ヵ月

 PC群 5.6ヵ月、 HR 0.60、 95%CI 0.43-0.84

- ORR : 69.5%

 PC群 41.9%、 p<0.001

- mOS : 20.6ヵ月

 PC群 20.3ヵ月、 HR 1.01、 95%CI 0.69-1.46、 p=0.975

安全性|ABCP療法の有害事象プロファイルは既報と一致しており、 新たな安全性シグナルは報告されなかった。

IMpower150試験¹⁾

N Engl J Med. 2018;378(24):2288-2301.

進行非扁平上皮NSCLC患者を対象に、 初回治療としてABCP療法 (本レジメン) の有効性と安全性を評価した第III相無作為化試験。 患者は1,202例が登録され (国内93例を含む)、 ABCP群、 BCP群、 ACP群の3群に無作為化された。 主要評価項目はOSであった。

有効性|ABCP療法ITT集団

- mOS : 19.2ヵ月 [主要評価項目]

 BCP群: 14.7ヵ月、 HR 0.78 (95%CI: 0.64–0.96)、 p=0.02

※EGFR遺伝子変異陽性例 : 未到達

 PC群 18.7、 HR 0.61、 95%CI 0.29-1.28

- mPFS : 8.3ヵ月

 BCP群: 6.8ヵ月、 HR 0.62 (95%CI 0.52–0.74)、 p<0.001

※EGFR遺伝子変異陽性例 : 10.2ヵ月

 PC群 6.9ヵ月、 HR 0.61、 95%CI 0.36-1.03

- ORR : 63.5%

 BCP群: 48.0%

安全性 Grade 3以上の治療関連有害事象発生率は、 ABCP群 57.2%、 BCP群 50.0%であった。

特徴と注意点

肺癌診療ガイドライン2024年版の記載³⁾

2次治療以降でABCP療法の推奨度が上昇

一次治療EGFR-TKI*耐性または増悪後例に二次治療で細胞傷害性抗癌薬と免疫チェックポイント阻害薬を併用した治療は勧められるか?  *オシメルチニブを一次治療で用いていない、 および一次治療EGFR-TKI耐性後T790M変異陽性の場合以外

旧版では、 1次治療でのEGFR-TKI耐性または増悪後、 2次治療以降での細胞傷害性抗癌薬+ICI併用療法に関するCQ自体は既に存在していたが、 「推奨に至る根拠が明確ではない」 に留まっていた。 2024年版では、 ATTLAS試験の結果を受けて、 推奨内容および推奨度が 「1次治療でのEGFR-TKI耐性獲得後または増悪後」 に 「弱く推奨 (2B)」 することと変更された。

各プロトコル

投与開始基準

IMpower150試験のプロトコル¹⁾

減量・休薬・中止基準

アテゾリズマブ適正使用ガイド

テセントリク®電子添文 (2024年1月改訂 第6版)、 適正使用ガイド (2024年1月改訂) より引用

出典

  1. Atezolizumab for First-Line Treatment of Metastatic Nonsquamous NSCLC. N Engl J Med. 2018 Jun 14;378(24):2288-2301. PMID: 29863955
  2. Phase III, Randomized Study of Atezolizumab Plus Bevacizumab and Chemotherapy in Patients With EGFR- or ALK-Mutated Non-Small-Cell Lung Cancer (ATTLAS, KCSG-LU19-04). J Clin Oncol. 2024 Apr 10;42(11):1241-1251. PMID: 37861993
  3. 肺癌診療ガイドライン-悪性胸膜中皮腫・ 胸腺腫瘍含む-2024年版

最終更新日 : 2024年11月24日
監修医師 : HOKUTO編集部監修医師

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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