【DMAT15隊出動】韓国ハロウィーン雑踏事故、 当日の救急対応は?
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HOKUTO通信

1年前

【DMAT15隊出動】韓国ハロウィーン雑踏事故、 当日の救急対応は?

【DMAT15隊出動】韓国ハロウィーン雑踏事故、 当日の救急対応は?
韓国・ソウルの梨泰院 (イテウォン) で150人以上が死亡した雑踏事故は、 多数の災害医療支援チーム (DMAT) が出動した。 DMAT到着時には既に50人以上の遺体があったという。

現場の進入は困難

韓国メディア・中央日報の報道によると、高麗 (コリョ) 大学のイ・シジン教授は、 病院内の救急医療センターから災害医療支援チーム (DMAT) 出動要請が入り、 現場に向かった。

イ教授チームは死亡推定被害者と負傷者を分類。 重症度に合わせた処置をして病院に搬送されるよう調整し、 患者と遺体を病院に運んだ。事故現場から最も近い順天郷ソウル病院には、 事故があった10月29日夜から翌日明け方にかけて80体近くの遺体が移送されたという。

ソウル・京畿道 (キョンギド) には14ヶ所の災害拠点病院がある。 梨泰院での事故を受け、 14病院から15のDMATが出動した。ただ、 医療陣到着時にも数万人の人波があり現場への進入が容易ではなかった。

【DMAT15隊出動】韓国ハロウィーン雑踏事故、 当日の救急対応は?
写真:韓国・ソウルの梨泰院

蘇生のタイミング逸したか

現場にDMATを派遣したソウル医療院の関係者は 「要請を受けて出発したが、 (病院が事故現場から) 距離があったため、 翌日午前1時ごろに到着した。当時は簡単な外傷患者がいる状況だった」とした上で、 「 それでも交通状況が良くなく、とても救急車が入れる状況にならず医療陣が装備をすべて持って歩いて入った」と話した。

高麗大学のイ教授は 「死亡原因を一括的に断定するわけにはいかないが、 外傷性窒息死を主要因と仮定するならば、 心臓マッサージがとても重要。 だが、 狭い路地に挟まれ救出も心臓マッサージの提供も遅れ、 残念ながらゴールデンタイムを逃したのではないかと思った」と話した。

人が息をするには胸郭が上下しながら息を吐き出して吸い込む動きが必要だが、 胸部が強く押さえ付けられた状況では正常な呼吸が難しく窒息が起きる可能性がある。心停止で自発循環が回復するかは 「どれだけ速く心臓マッサージを提供するか」 にかかっており、 一般的に5~6分以内の胸骨圧迫と適切な気道管理があれば脳の非可逆的損傷を避けられる可能性がある。

日本でも過去に類似の事故

今回の梨泰院の現場は、 幅が3㍍ほどの狭い坂道。 周辺にはハロウィーンを前に推計で10万人以上が集まっていたとの報道もある。 狭い場所に大人数が殺到して起こった事故は、 過去に日本でも起きている。

兵庫県明石市で2001年、 花火大会の見物客が歩道橋上で折り重なるように転倒し、 11人が死亡・200人以上が負傷した。 事故のメカニズムは1平方㍍あたり10人以上の密度で起きる 「群衆雪崩」 だった。

明石市の事故は花火大会の会場と最寄り駅を結ぶ歩道橋で発生。 事故の報告書によると、 歩道橋の幅が階段部分になると半分になる構造だった。 花火見物で立ち止まった上、 階段下に並んでいた夜店が通行の妨げになった結果、 大勢の人が滞留した。

文責:HOKUTO編集部 (2022/11/01)
こちらの記事の監修医師
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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