免疫療法と手術、 二刀流でがんに挑む~日本癌治療学会副理事長 河野浩二先生~
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日本癌治療学会

9日前

免疫療法と手術、 二刀流でがんに挑む~日本癌治療学会副理事長 河野浩二先生~

免疫療法と手術、 二刀流でがんに挑む~日本癌治療学会副理事長 河野浩二先生~
医師のキャリアが多様化するなか、 オンコロジストとしての道をなぜ選んだのか――。外科医として消化器がんの手術に携わりながらがん免疫療法の研究・発展に力を注ぎ続けてきた、 福島県立医科大学消化管外科学講座主任教授/日本癌治療学会副理事長の河野浩二先生に話を聞きました。  

中学から医師を志す── 「がん治療に携わりたい」

──現在に至るまでの歩みを教えてください

「がんの治療に携わりたいと中学生の頃から考え、 地元の山梨医科大学医学部に進学しました。 外科を選択した理由は、 当時は胃がんや大腸がんといった消化器がんが多く『手技で直す』というシンプルな治療に感銘を受けたためです

「外科医として研鑽を積みつつ、 スウェーデンでがん免疫の研究を、 シンガポール国立大学でロボット手術をそれぞれ学びました。 現在は福島県立医科大学で教授を務めています」

“究極の治療”がん免疫療法──黎明期から研究に従事

──留学先のスウェーデンでがん免疫療法研究をされていたのですね

「スウェーデン留学はがん診療への学びを深める機会にしたいと考えていました。 がん免疫療法は当時ほとんど臨床に浸透しておらず、 エビデンスの蓄積もありませんでした。 しかし勉強を進めるうち、 理にかなった治療法だと強く感じ、 『外科手術とがん免疫療法を武器にがん診療を続けよう』と決意を新たに帰国の途に就きました」

「免疫療法の臨床試験を何回か実施したものの、 結果は芳しいものではなく、 約10年試行錯誤しました。 そうしたなか登場したのが免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体ニボルマブです。 同薬による免疫療法の恩恵は皆さんも知るところだと思います」

「免疫療法は“究極の治療法”だと考えています。 免疫療法によって生命予後が改善した患者さんも増えました。 発展の余地がある分野ですので、 今後さらに研究が進むことを期待しています」

ロボット手術を海外で経験──外科医としての新たな境地

──シンガポールで活躍された時期もあると聞きました

「がん免疫療法について国際学会で積極的に発表していたところ、 シンガポール国立大学からオファーを受けたのです。 47歳頃の出来事で『日本でのキャリアが途絶えるかもしれない』と不安も感じましたが、『新しい物事に出会えるかもしれない』という好奇心が勝り、 渡航を決意しました

「シンガポール滞在中に初めてロボット手術を経験しました。 ロボット手術の登場と普及は当時革命的な出来事で、 今まで経験したことのない視野と感覚で手術でき、 治療成績向上にも貢献できる。 日本でニボルマブが認可されたのもこの頃で、 『がん治療はこれから飛躍的に進歩し、 新たな次元に入る』と感じました

「私が現在教授を務める福島県立医科大学消化管外科学講座では、 3台のロボットを所有し、 実績の約8割はロボット手術です」

JSCOを率いる立場──学会の意義

──日本癌治療学会 (JSCO) では理事として活躍されていますね

「JSCOは外科治療からがん薬物療法まで、 領域横断的にがん治療の幅広い分野を網羅している学会であるため、 私自身に最も適した学会だと感じています。 医師としてはもちろん、 組織の役職者としてもさまざまな経験を積ませてもらっています」

「JSCOでの活動で印象的だったのは、 海外滞在経験があったことから、 比較的早期の段階でJSCOの国際委員に任命されたことです。 特に米国臨床腫瘍学会 (ASCO)、 欧州臨床腫瘍学会 (ESMO) との定期会議に出席し、 世界中の著名な医師たちと交流の機会を得られたのは、 非常に貴重な体験でした」

「JSCOでは、 若手医師が世界中と関わりを得られるよう努めています。 たとえば『International Travel Grant (国際渡航助成金)』『ASCO/JSCOフェローシップ・プログラム』などを活用することで、 約2週間に渡り海外で研修を受けられる体制が整っています。 若手医師の皆さんには、 JSCOのバックアップ体制を活用して、 世界中の研究者と直接つながる機会を得ていただきたいと思います」

「また、 2026年には第64回日本癌治療学会学術集会の会長を務めます。 国際的な要素も含めた独自性のあるプログラムを準備しますので、 多くの方にご参加いただきたいです」

若手医師よ、 世界に目を向けよ

──ご自身の経験を踏まえて若手医師にメッセージをお願いします

「国際的な活動に参加すれば、 世界中の医師・研究者との人脈を構築することができます。 JSCOを通じて学会や海外で得た知見を糧に、 医師として大きく成長してください。 今年はもちろん、 来年の日本癌治療学会学術集会への参加もお待ちしています」

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学会入会のメリットは?

以下のような学会入会特典がございます。

①学術集会での研究発表

本学会学術集会に演題の応募ができ研究成果を発表することができます。

※筆頭演者は会員である必要がございますが、 共同演者は会員である必要はございません。 ただし、 会長により招請された方、 また、 海外からの応募者、 医師・歯科医師以外のメディカルスタッフ、 学生の方は、 この限りではありませんので非会員の方であってもご登録可能です。

②学術集会への参加

会員は学術集会へは会員価格で参加することができます。

③機関誌の無料閲覧

IJCOおよびICCJの全文を無料で閲覧可能です。

④会員限定の情報提供

会員専用ページ 「myがんち」に登録したメールアドレスにお送りするメルマガを通じてがん治療についての最新情報が得られます。 また、 会員専用ページ 「myがんち」にてオンライン版会員名簿サービスで会員の検索ができます。

⑤学会提携クレジットカードの発行

このカードを利用することにより、 本学会年会費をカード決済口座から、 手数料無料で引き落とすことができます。

⑥ネットワークの構築

国内外の専門家との交流を深め、 臨床や研究の発展につなげる機会を提供いたします。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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