海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Furieらは、 活動性ループス腎炎患者を対象に、 標準治療とオビヌツズマブの併用療法の有効性を第Ⅲ相無作為化比較試験REGENCYで検討した。 その結果、 オビヌツズマブ併用療法は標準治療単独と比較して完全腎反応の達成率が向上することが明らかとなった。 試験結果はNEJM誌に発表された。
男性の登録症例数が少ないため、 完全腎反応がオビヌツズマブ群で43%、 プラセボ群で67%と逆になっている点を考察で取り上げています。
オビヌツズマブは、 ヒト化抗CD20モノクローナル抗体であり、 標準治療を受けているループス腎炎患者を対象とした第Ⅱ相試験で、 プラセボ群と比較して腎反応が有意に改善することが示されていた。
REGENCY試験の対象は、 生検により診断した活動性ループス腎炎を有する成人患者であった。 オビヌツズマブ群 (初回投与、 2週目、 24週目、 26週目、 52週目に1,000mgを投与し、 一部の患者には50週目に追加投与) とプラセボ群の2群に1:1の割合で割り付けた。 全例でミコフェノール酸モフェチルおよび経口プレドニゾン (目標用量 : 12週目まで7.5 mg/日、 24週目まで5mg/日) の標準治療を併用した。
主要評価項目は、 76週時点での完全腎反応とし、 尿タンパク/クレアチニン比<0.5、 推定糸球体濾過率がベースラインの85%以上を維持、 かつ中間事象 (救済治療、 治療失敗、 死亡、 早期試験中止など) が発生していないことと定義した。
副次評価項目は、 第64~76週にかけてのプレドニゾン投与量7.5 mg/日以下である完全腎反応、 および尿タンパク/クレアチニン比0.8未満で中間事象がないこと、 などであった。
計271例を無作為化し、 オビヌツズマブ群135例、 プラセボ群136例に割り付けた。
完全腎反応は、 オビヌツズマブ群の46.4%、 プラセボ群の33.1%に認められ、 両群の補正後群間差は13.4%㌽ (95%CI 2.0-24.8%㌽、 p=0.02) であった。
プレドニゾン投与量が7.5 mg/日以下である完全腎反応は、 オビヌツズマブ群で42.7%、 プラセボ群で30.9%にみられ、 補正後群間差は11.9%㌽ (95%CI 0.6-23.2%㌽、 p=0.04) であった。
尿タンパク/クレアチニン比<0.8 (中間事象なし) の完全腎反応は、 オビヌツズマブ群で55.5%、 プラセボ群で41.9%にみられ、 補正後群間差は13.7%㌽ (95%CI 2.0-25.4%㌽、 p=0.02) であった。
活動性ループス腎炎を有する成人では、 標準治療にオビヌツズマブ追加は、 標準治療単独と比較して完全腎反応達成の上で有効であった。
安全性に関して、 新たに懸念される事象は認められなかった。 ただし、 重篤な有害事象 (主に感染症およびCOVID-19関連事象) の発生は、 オビヌツズマブ群の方が多かった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。