関西医科大学 「呼吸器腫瘍内科学講座」 新設-倉田宝保教授/山中雄太診療講師に聞く
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HOKUTO編集部

3ヶ月前

関西医科大学 「呼吸器腫瘍内科学講座」 新設-倉田宝保教授/山中雄太診療講師に聞く

関西医科大学 「呼吸器腫瘍内科学講座」 新設-倉田宝保教授/山中雄太診療講師に聞く
関西医科大学では、 2022年4月に内科学第一講座より分離独立した 「呼吸器腫瘍内科学講座」 が開講した。 同局は肺癌の標準的診療を実践しているほか、 呼吸器疾患や腫瘍に関心がある研修医の教育支援も行っている。 同科主任教授には、倉田宝保氏が就任した。 また、 医局長は同科診療講師の山中雄太氏が務める。 新たに発足した同講座の研修体制や展望について、 両氏に話を聞いた。
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医局員一同 (画像提供 : 関西医科大学呼吸器腫瘍内科学講座)

呼吸器一般から腫瘍内科まで幅広いキャリア形成を支援

関西医科大学では、 2022年に 「呼吸器腫瘍内科学講座」 が新設されました。 その経緯や背景を教えてください

倉田氏 :

従来いわゆる 「ナンバー内科制度」 を取っていた当学では、 2012年、 呼吸器内科から呼吸器腫瘍内科と呼吸器感染症内科の2診療科が内科学第一講座の中で分離し、 各科に科長が任命されました。 私は当時から呼吸器腫瘍内科科長を務めています。

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倉田宝保教授

以降、 呼吸器腫瘍内科学分野においては、 分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新薬が続々と登場し、 腫瘍内科学と言う分野の注目度は上がっていました。 さらに、 当学が所在する北河内地域は肺癌患者が多いという特性もあり、 当時から臨床や新薬に関する治験、 臨床研究等で多数の業績をあげてきました。 こうした実績に基づき、 当科は大学から独立講座としての自立性が認められ、 2022年4月、 独立開講に至ったのです。 癌医療においては新薬が次々と開発されてきているので、 若手の先生方にとって、 非常に興味深い領域だと思っています。

新たな体制となり、 特に変化した点、 また注力されている点はありますか

倉田氏 :

当局はその名の通り肺癌に特化した科であり、 大学在籍中の研究テーマは肺癌が中心になりますが、 呼吸器内科医・腫瘍内科医のどちらを目指しても問題ありません。 医局として両方の専門性を担保しており、 呼吸器分野において幅広いキャリアを形成できるような講座を目指したいと考えています。 将来的に地域で開業をしても構いませんし、 最先端の呼吸器腫瘍内科学を学ぶために大病院に勤務してもよいでしょう。

早期から初診外来や癌患者の主治医を経験できる教育体制

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研修風景 (画像提供 : 関西医科大学呼吸器腫瘍内科学講座)

局での教育・研究の特徴や、 強みについてお教えください

倉田氏 :

腫瘍内科全般に言えることですが、 癌治療で有害事象などを認めた際、 求められるのは総合内科的な知識です。 だからこそ呼吸器腫瘍内科は、 総合内科的な知識を学べる機会が非常に多い領域でもあります。

そのような事情を踏まえて、 当局に所属した際は、 学外の病院へアルバイトに行ってもらい、 そこで呼吸器内科疾患を診る訓練を重点的にしてもらいます。 また後期研修以降、 少なくとも1年は研修プログラムの連携病院へ出向していただき、 実臨床で呼吸器内科一般を中心に学んでいただくこととしています。 こうしたプログラムの基で研修期間に呼吸器疾患を満遍なく診るスキルを磨いていただきます。

山中氏 :

研修医が経験すべき症候および疾病・病態は、 当局の研修でほとんどすべて網羅できます。 呼吸器腫瘍や呼吸器疾患に対応するためには、 内分泌疾患や筋疾患なども含めた幅広い知識が必要です。 当局ではそれらを含め、 バリエーションに富んだ内科疾患を経験できます。

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山中雄太診療講師

また、 たとえば医師3年目で入局した先生が出向する際は、 カリキュラム上3~5年目のいずれかの期間に外部研修を行うことになりますが、 当局ではそれまでに専門性を持っていただくことを目的に、 3年目から外来で初診患者の診療を行うという研修方針を設けています。 自分自身が患者と向き合いながら、 疑われる疾患や必要な検査を考え、 必要に応じて先輩に相談し、 検査項目が決定したら実際にその検査を自分自身で行います。

よって、 早い段階から 「担当医としての責任を持ち患者を診る」 経験を積むことが可能です。 さらには、 4年目からは入院患者の退院後のフォローアップ外来も外来主治医として対応していただきます。 このように、 若手が患者フォローアップを早期から学べる研修システムを構築しており、 他の病院ではなかなか経験できないようなスピードで外来を担当できることは当局の大きな特徴です。

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入局後の後期研修医の週間スケジュール一例 (画像提供 : 関西医科大学呼吸器腫瘍内科)

貴学呼吸器腫瘍内科の臨床では、 どのような患者を診る機会が多いでしょうか

山中氏 :

ベースに肺癌を有しながらも、 慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息などの呼吸器疾患を合併している患者がほとんどです。 そのためほかの呼吸器症例も学べる場が多く、 癌診療と呼吸器内科診療の双方を経験できる環境だと思います。

倉田氏 :

このほか、 当院には外来化学療法センターがあり、 私はそのセンター長も兼務しています。 そのため、 外来化学療法センターで治療をしていた他癌腫の患者が入院となった際は、 当科で受け入れるようにしています。 つまり、 当局の若手医師は癌患者の主治医としての経験を積む機会も担保されており、 呼吸器腫瘍のみならず、 他の癌の診療スキルも得ることができます。

20~30代の若手医師中心、 何にでも挑戦できる医局

医局にはどのようなメンバーがいらっしゃいますか。 全体の雰囲気もご紹介ください

倉田氏 :

現在メンバーは14人おり、 最も特徴的な点は若い先生が多いことです。 40代以上は3人、 ほかは皆30代以下で、 エネルギーに満ち溢れています。 また、 新しい講座であるため、 他施設とのしがらみがありません。 出向先は研修医の希望を尊重し、 希望先の施設で研修を受けられるようにサポートしています。

たとえば、 過去には国立がん研究センターに研修に行った医局員もいれば、 大阪府内で高名な研修病院に行った医師もいます。 若手医師の意志に寄り添い、 主体的に研修を受けられるような体制にしていることは当科の特徴だと思います。

トップダウンではなく、 研修医本人の思いを汲んだ研修を実践しているのですね

倉田氏 :

私達の場合、 どうしても薬物療法が研究・臨床の中心にはなりますが、 それ以外のことに注力していただいても構いません。

たとえば、 当局には癌患者に対するリハビリテーションに注力している女性のスタッフがおり、 現在は、 癌悪液質とリハビリを絡めた臨床研究に取り組んでいます。 癌リハビリに積極的に取り組んでいる呼吸器腫瘍内科医は全国的にも珍しく、 そういった意味では彼女は本領域のパイオニア的存在と言えるでしょう。

新設された医局だからこそ何でもやってみることができるという思いが私の中にもあります。 若手の先生方には何にでも挑戦して欲しいと思います。

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懇親会の様子 (画像提供 : 関西医科大学呼吸器腫瘍内科学講座)

山中氏 :

本当に若手中心の講座になっていると実感します。 医局の雰囲気はとにかく元気いっぱいで医局内は常に笑い声が飛び交っています。 そして、 フレッシュな人材をまとめてくれる父親のような存在として、 倉田先生がいらっしゃるような医局ですね。

倉田先生は、 普段は優しく穏やかでフランクな方ですが、 困ったときは必ず相談に乗ってくださりますし、 的確なアドバイスもしていただけるので、 医局員全員が頼りにしています。 教授に話しかけるのは躊躇われる先生もいらっしゃるかもしれませんが、 倉田先生は何においても 「一緒にやろう」 と声をかけてくださるので、 上下関係の垣根は感じられません。 「普段は楽しく笑顔で、 やるときは真剣にやる」 というのが倉田先生のスタイルだと私は思っていますが、 そのスタイルが医局全体に染み渡っていると感じます。

お互いがお互いのサポートをして、 困ったときはいつでも周囲に相談できる雰囲気があるので、 居心地が良いです。

関西医大を癌医療のリーディング・ホスピタルへ

今後新たに取り組んでいきたいことや挑戦されたいことはありますか

倉田氏 :

本邦にはがんセンターを標榜する施設が多数存在する中で、 大学病院である当院の癌医療はまだまだ認知度が低いように感じます。 やがては、 「関西医科大学附属病院といえば癌治療だ」 と評価していただけるような成果を上げることが目標です。

また、 現時点では教室内に研究室がなく、 基礎研究が実践できていません。 今後は研究室を整備し、 基礎研究にも取り組んでいきたいと考えています。

全国初の呼吸器腫瘍内科標榜講座で共に成長を

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(画像提供 : 関西医科大学呼吸器腫瘍内科学講座)

最後に、 呼吸器腫瘍内科診療に関心を寄せている、 または貴科への入局を検討しているHOKUTO医師会員にメッセージをお願いいたします

倉田氏 :

関西医科大学呼吸器腫瘍内科学講座は 全国初の呼吸器腫瘍内科学講座です。 他の大学にはない新しい試みですが、 入局後は呼吸器内科医としても腫瘍内科医としても成長することができます。 そして、 将来的には大学を西日本一の癌専門施設にしていきたいと思っています。 そうした目標に向けて、 さまざまなプランニングをしていますので、 特に癌診療に興味のある先生方は、 ぜひ当局の門を叩いていただけると嬉しいです。

山中氏 :

院内からの入局者が増加傾向にあり、 当科は医局としての勢いを増してきている段階です。 しかし、 設立からまだ浅い年月しか経っていないので、 まだまだ仲間が足りません。 そのため、 院内からの入局者はもちろん、 今後は院外からの入局者も積極的に受け入れていきたいと考えています。 また経歴に関しても、 研修医から一定の診療経験がある先生まで、 多くの先生に見学に来ていただきたいと考えています。

当局は肺癌診療において、 全国有数の症例数を経験できる医局です。 患者データを用いて研究に挑戦してみたい方にとっても、 最適な場所だと思います。 興味がある先生は一度、 関西医科大学 呼吸器腫瘍内科のホームページの入局のご案内を覗いてみてください。 一緒に仕事できることを楽しみにしています。

医局説明会

下記の日程で、 関西医科大学呼吸器腫瘍内科学講座の医局説明会を開催いたします。

腫瘍内科にご興味をお持ちの先生方は是非お気軽にご参加ください。 ⼀緒に仕事できることを楽しみにしています。

日時

2024年5月25日(土)

開催方法

対面+オンライン開催

参加方法

詳細なご案内は、 今後同局のホームページに掲載予定です。

興味がある先⽣は⼀度、関⻄医科⼤学 呼吸器腫瘍内科のホームページ内、 ⼊局のご案内を御覧ください。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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