海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
Jacksonらは重症の好酸球性喘息を対象に、 抗IL-5抗体depemokimabの有効性および安全性について、 第ⅢA相プラセボ対照反復無作為化比較試験で検討した。 その結果、 depemokimabを年2回投与する治療法は、 プラセボに比べて年間の喘息増悪率が低減した。 本研究はNEJMにて発表された。
NEJMのRCTは、 タイトルにあまり"efficacy"を使わないので、 ある限られた対象群であることを読者側がふと忘れてしまうことがあります。
難治性の気管支喘息に対しては、 抗IL-5抗体のメポリズマブが承認されているが、 4週間に1回の皮下注射が必要である。 Depemokimabは、 IL-5への結合親和性を高めた超長時間作用型の抗IL-5抗体であり、 年2回の投与で効果が期待できる。
そこで著者らは、 第Ⅲ相SWIFT-1試験および第Ⅲ相SWIFT-2試験と同じ試験デザインで、 2件の臨床試験を実施した。
対象は、 好酸球数が高値*¹で12歳以上の重症*²喘息患者792例。
2件の試験を通して762例が組み入れられ、 患者は以下の2群に2 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は52週時点で年率換算した喘息増悪率、 副次評価項目は52週時点でのSGRQスコアの変化、 強制呼気1秒量 (FEV1) の変化、 喘息症状のベースラインからの変化などとした。
各試験の介入集団における喘息の年間増悪率は、 いずれもdepemokimab群で有意に減少していた。 また、 両試験データの統合解析において、 depemokimab群の年間増悪率はプラセボ群に比べて低かった。
SWIFT-1試験の介入集団
率比 0.42 (95%CI 0.30-0.59)、 p<0.001
SWIFT-2試験の介入集団
率比 0.52 (95%CI 0.36-0.73)、 p<0.001
両試験データの統合解析
率比0.46 (95%CI 0.36-0.59)
SGRQスコアのベースラインからの変化量において、 両群間に有意差は認められなかった。 そのため、 以降の副次的評価項目に関する統計学的推論は行われなかった。 また、 有害事象の発現率は両群間で同程度だった。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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