海外ジャーナルクラブ
5日前

Ahmadらは、 英国の一般成人を対象とする前向きコホート研究で、 ベースラインのヘモグロビン (Hb) 濃度と長期死亡との関連を年齢・性別に層別化して検討した。 その結果、 Hb濃度と全死亡リスクはU字型の関連を示し、 リスクが最も低かったのは世界保健機関 (WHO) の貧血基準値を1~3g/dL上回る群であった。 基準値を2g/dL超下回る群では、 10年標準化累積発生率が12.5%と基準群の4.5%に比べて8.1ポイント高く (95%CI 6.7-9.4ポイント)、 調整ハザード比は2.87 (95%CI 2.54-3.25) であった。 研究結果はAnnals of Internal Medicineに発表された。
本研究の限界として、 Hb濃度がベースラインの単回測定のみで評価され、 対象が白人中心の集団であったため、 経時変化の影響や日本人を含む他の人種集団への一般化には制限があります。
Hb濃度が貧血域にあるかどうかの線引きは、 1968年にWHOが定めた基準値に依拠している。 この基準値は現在も広く用いられている一方で、 一般成人集団の死亡とどう関係するのかは明らかでない。 著者らはこの点を検証するため、 ベースラインのHb濃度と長期死亡との関連を年齢・性別に評価した。
対象は2006~10年に英国で登録された地域住民ベースの前向きコホート50万2,188例で、 うち47万7,876例 (95.2%) でHb濃度が測定され解析対象となった。 解析は性別および年齢 (60歳未満 vs 60歳以上) で層別化され、 追跡期間中央値は13.6年であった。
Hb濃度はWHOの性別別基準値*を基準とした区分で評価し、 アウトカムは全死亡・心血管死亡・癌死亡とした。
解析対象の年齢中央値は58歳で、 54.4%が女性であった。
Hb濃度と全死亡リスクはU字型の関連を示し、 リスクが最も低かったのはWHO基準値を1~3g/dL上回る群であった。 主要な調整モデルでは、 基準値を2g/dL超下回る群の10年標準化累積発生率 (SCI) は12.5%で、 基準群の4.5%と比べて8.1ポイント高かった (95%CI 6.7-9.4ポイント)。 追跡期間全体の調整ハザード比 (HR) は2.87 (95%CI 2.54-3.25) であった。
基準値を0~1g/dL上回る境界域の群でも10年SCIは5.3%と基準群を上回り (絶対リスク差+0.8ポイント、 95%CI 0.7-1.0ポイント)、 調整HRは1.18 (95%CI 1.15-1.21) であった。 一方で、 60歳未満の女性では関連の一貫性が乏しかった。
心血管死亡および癌死亡とHb濃度との関連は、 低値域および境界域では全死亡と概ね同様のパターンを示したが、 高値域では関連が弱まった。
著者らは、 「死亡率が最も低かったのはWHO基準値を1~3g/dL上回るHb濃度であり、 その上下では死亡率が上昇した。 本知見は仮説生成的で、 新たな基準値を提唱するものではないが、 境界域にあるHb値の臨床的な解釈・評価に役立つ可能性がある」と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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