【JAMA Cardiol】アントラサイクリン系薬後の心機能障害リスク評価に「cfDNA」が有用か?
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海外ジャーナルクラブ

10ヶ月前

【JAMA Cardiol】アントラサイクリン系薬後の心機能障害リスク評価に「cfDNA」が有用か?

【JAMA Cardiol】アントラサイクリン系薬後の心機能障害リスク評価に「cfDNA」が有用か?
Yuらは、 ERBB2陽性乳癌の患者を対象に、 循環血中心筋細胞セルフリーDNA(cfDNA)が癌治療関連心機能障害(CTRCD)の予測に有用化どうかを前向きコホート研究で検討。 その結果、 アントラサイクリン系薬による化学療法終了後の心筋細胞cfDNA量の増加がCTRCDのリスクと関連することが明らとなった。 本研究はJAMA Cardiol誌において発表された。 

📘原著論文

Association of Circulating Cardiomyocyte Cell-Free DNA With Cancer Therapy-Related Cardiac Dysfunction in Patients Undergoing Treatment for ERBB2-Positive Breast Cancer. JAMA Cardiol. 2023 May 31;e231229. PMID: 37256614

👨‍⚕️監修医師のコメント

新規にバイオマーカーを検討する際には、 既存のすでに実臨床で使用できるマーカーと比較しているとその価値が高まります。

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背景

ERBB2陽性乳癌の治療に関連したCTRCDは重篤な心毒性を引き起こす可能性がある。 毒性の早期バイオマーカーを同定することで、 心疾患のサーベイランスや早期薬理学的介入への個別化アプローチを促進できる可能性がある。 心筋細胞由来のcfDNAは急性心傷害時に存在するが、 CTRCDのバイオマーカーとしては確立されていない。

研究デザイン

対象

ERBB2陽性乳癌患者:80例

介入

アントラサイクリン系薬剤投与後、 ERBB2標的療法3カ月後と6カ月後に心エコー検査と採血を実施した。

主要評価項目

1年時点のCTRCD

症候性心不全または左室駆出率の無症候性低下 (ベースラインから10%以上正常下限未満または16%以上) と定義した。

研究結果

CTRCDの発症

71例中10例 (14%) がCTRCDを発症した。

心筋細胞cfDNA

CTRCDを発症した患者の心筋細胞cfDNAのレベルは発症しなかった患者よりも高かった(P=0.004)。

  • CTRCD発症患者:中央値 30.5コピー/mL(IQR 24-46)
  • CTRCD未発症患者:中央値 7コピー/mL(IQR 2-22)

心筋細胞cfDNA量とCTRCDのリスクの関連

アントラサイクリン化学療法終了後の心筋細胞cfDNA量の増加は、 CTRCDのリスクと関連していた。

  • 1コピー/mL増加あたりのHR:1.02、 95%CI 1.00-1.03、 P=0.046

結論

アントラサイクリン系薬による化学療法終了後の心筋細胞cfDNA量の増加がCTRCDのリスクと関連することが明らかになった。 心筋細胞cfDNAは、 乳癌患者におけるCTRCDのリスク層別化を精緻化する際の予測バイオマーカーとして有望であり、 その使用はさらなる検証が必要である。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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