海外ジャーナルクラブ
1年前
Qianらは、 救急診療部 (ED) または集中治療室 (ICU) に入院した感染症疑いの成人患者を対象に、 セフェピムとピペラシリン/タゾバクタムが神経機能障害または急性腎障害のリスクに及ぼす影響を非盲検無作為化比較試験ACORNで検討した。 その結果、 ピペラシリン/タゾバクタムは急性腎障害および死亡のリスクを増加させなかったが、 セフェピムでは神経機能障害がより多く認められた。 本研究はJAMA誌において発表された。
結論としてはセフェピムがピペラシリン/タゾバクタムに比べて神経機能障害が多いということですが、 14日以内にせん妄および昏睡のない平均生存日数ではセフェピム 11.9日に対してピペラシリン/タゾバクタム12.2日とわずかです。 これをどのように臨床応用していくかは各個人の先生方に委ねられていると思います。
先行研究で、 セフェピムは神経機能障害を、 ピペラシリン/タゾバクタムは急性腎障害を引き起こす可能性が指摘されていたが、 これら2つの薬剤の安全性の比較は無作為化臨床試験では行われていなかった。
来院後12時間以内にEDまたはICUにおいて抗緑膿菌抗菌薬がオーダーされた18歳以上の成人患者:2,511例
患者を以下の群に1:1の割合で無作為に割り付けた。
14日目までの急性腎障害の最重度の病期または死亡
14日目における主要有害腎イベント、 14日目までのせん妄および昏睡のない生存日数で評価した神経機能障害
14日目までの急性腎障害の最重度の病期または死亡に両群間で有意差はなかった。
ステージ3の急性腎障害
死亡
OR 0.95 (95%CI 0.80-1.13、 p=0.56)
14日目の時点での主要有害腎イベント
14日目における主要な腎有害事象の発生率に両群間で有意差はなかった。
絶対差:1.4%ポイント (95%CI -1.0-3.8%ポイント)
14日以内にせん妄および昏睡のない平均生存日数
セフェピム群では、 14日以内にせん妄や昏睡のない平均生存日数が少なかった。
OR 0.79 (95%CI 0.65-0.95)
本試験では、 ピペラシリン/タゾバクタムによる治療が急性腎障害や死亡のリスクを増加させないことが示された。 しかし、 セフェピムによる治療では神経機能障害がより多く確認された。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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