【鎮咳薬】麻薬vs非麻薬、 どれが効果強い?日常診療で使える一覧表
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1年前

【鎮咳薬】麻薬vs非麻薬、 どれが効果強い?日常診療で使える一覧表

【鎮咳薬】麻薬vs非麻薬、 どれが効果強い?日常診療で使える一覧表
いわゆる 「咳止め」 として使用される薬は中枢性鎮咳薬に分類されます. 中枢性鎮咳薬はコデイン類の中枢性麻薬性鎮咳薬とそれ以外の中枢性非麻薬性鎮咳薬に分類されます. 今回は中枢性鎮咳薬を成分、 作用の特徴に注目して比較しました. 

中枢性 "麻薬性" 鎮咳薬

【鎮咳薬】麻薬vs非麻薬、 どれが効果強い?日常診療で使える一覧表

中枢性 "非麻薬性" 鎮咳薬

【鎮咳薬】麻薬vs非麻薬、 どれが効果強い?日常診療で使える一覧表

薬剤添付文書

💊コデインリン酸塩錠5/20mg散1/10%

💊ジヒドロコデインリン酸塩散1/10%

💊アストミン®︎錠シロップ

💊アスベリン®︎錠DSシロップ調剤用

💊コルドリン®︎錠顆粒

💊フスタゾール®︎糖衣錠錠小児用

💊メジコン®︎錠

💊レスプレン®︎錠5/30mg


中枢性麻薬性鎮咳薬

💊コデイン/ジヒドロコデイン

麻薬性鎮咳薬にはコデインリン酸塩やジヒドロコデインリン酸塩、 いわゆるコデイン類が該当します. コデインは体内で鎮咳作用を持つモルヒネに代謝されますが、 コデインの鎮咳効果は、 コデイン自体が延髄の咳中枢を抑制することで発揮されると考えられています.

コデインは強力な咳止めとして知られており、 咳止めとして使用する場合、 モルヒネと比較して便秘や眠気、 呼吸抑制等の副作用が起こりにくいことが知られています. ですが、 体内で一部がモルヒネに代謝されるため、 長期投与による依存性が懸念されます.

また、 表に示すように、 麻薬以外の製剤だと、 錠剤は5mg、 散剤は1%となるので1回服用量が多くなってしまうことが問題です. ジヒドロコデインはコデインの倍の力価となるため半分の用量で鎮咳効果を発揮しますが、 単剤では粉薬の剤形しか存在しないため、 飲みやすい量ではありません.

中枢性非麻薬性鎮咳薬

一般的に使用される機会が多いのは中枢性非麻薬性鎮咳薬です. かなり昔に承認された薬剤であるため現在のような臨床試験を経ておらず、 動物実験によるデータがほとんどですが、 添付文書に記載されている内容をもとに比較を行いました.

💊アストミン®︎

「動物実験 (イヌ、 ネコ、 モルモット) では、 コデインリン酸塩水和物やデキストロメトルファンよりも優れた鎮咳効果を発揮」と記載されています.

慎重投与に「糖尿病又はその疑いのある患者[耐糖能に軽度の変化を来たすことがある. ]」の記載があります. 頻度は低いと考えられますが、 糖代謝に関する検討を行なった臨床試験で糖尿病 (境界型を含む) の合併例の中にブドウ糖負荷試験で異常を示した例がありました.

💊アスベリン®︎

「イヌ16mg/kg (チペピジンとして) 経口投与により,コデインリン酸塩とほぼ同等の鎮咳作用 (咳嗽犬法) 」の記載から臨床用量での鎮咳作用はコデインに劣ると考えられます. また、 「ウサギ100mg/kg 経口投与により,ブロムヘキシン塩酸塩50mg/kg経口投与とほぼ同等の気管支腺分泌亢進作用 (作野氏法) 」の記載からブロムヘキシン同等の去痰作用が期待されます.

代謝物が尿中に排泄されるため、 尿が赤くなることがあります.

💊コルドリン®︎

「咳嗽猫法による50%鎮咳量は30.0mg/kg(p. o.)でデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物と同程度の鎮咳作用」と記載されています. デキストロメトルファンはコデインと同等の鎮咳作用を持つため、 クロフェダノールも同様にコデインと同等の鎮咳作用を持つものと考えられます. また、 気管筋痙攣緩解作用を併せ持っています.

💊フスタゾール®︎

「機械的刺激法による鎮咳作用は,モルモットではコデインリン酸塩水和物より強力であり,イヌではコデインリン酸塩水和物よりやや弱い」とあるのでコデインと同等の鎮咳作用としました. 気管支筋弛緩作用と緩和な抗ヒスタミン作用を併せ持つのが特徴です.

💊メジコン®︎

「デキストロメトルファンの鎮咳作用は二重盲検比較試験で,コデインと比較して同等であることが確認」と記載れています.

主にCYP2D6で代謝されます. そのため、 CYP2D6の遺伝子多型により効果や副作用に差が出る可能性があります. また、 CYP2D6を阻害する薬剤 (キニジン、 アミオダロン、 テルビナフィン等) は併用注意となっています.

咳中枢に作用して咳反射を抑制する作用のほかに、 様々な受容体に結合することが知られています. 特にセロトニン再取り込み阻害作用により、 選択的MAO-B阻害剤や選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor) は併用注意となっています.

※以前はMAO阻害剤との併用が禁忌とされていましたが、 2022年6月に改訂が行われました. 問題となる「非選択的MAO阻害剤」が日本国内で販売されていないことを踏まえて禁忌を廃止、 選択的MAO-B阻害剤との併用が併用注意に加えられました.

NMDA受容体拮抗作用を有しており、 同様の作用をもつメマリー®︎ (メマンチン) が併用注意となっています.

💊レスプレン®︎

「モルモット、 ネコ、 イヌ等を用いた電気的刺激、 機械的刺激、 化学的刺激実験においてコデインリン酸塩水和物に匹敵する鎮咳作用」と記載されています. また、 去痰作用を併せ持つのが特徴です. 臨床試験において、 小児気管支喘息に1回頓用させた際、 発作の症状が少なくとも24時間ないしそれ以上消失していた症例が過半数を占め、 次いで、 2~6 時間消失していた症例の報告があリます.

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薬剤添付文書

💊コデインリン酸塩錠5/20mg散1/10%

💊ジヒドロコデインリン酸塩散1/10%

💊アストミン®︎錠シロップ

💊アスベリン®︎錠DSシロップ調剤用

💊コルドリン®︎錠顆粒

💊フスタゾール®︎糖衣錠錠小児用

💊メジコン®︎錠

💊レスプレン®︎錠5/30mg

最終更新:2022年8月3日
執筆:ぺんぎん薬剤師 @penguin_pharm
監修:聖路加国際病院救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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