海外ジャーナルクラブ
1日前

MULTI Consortiumの研究グループは、 UK Biobankの37~84歳の参加者を対象に、 自己申告の睡眠時間と生体イメージング、 血漿プロテオミクス、 メタボロミクスから算出した23種類の生物学的老化時計との関連について検討した。 その結果、 睡眠時間と9つの脳・身体システムにおける生物学的年齢差にU字型の関連が認められ、 生物学的年齢差が最小となる睡眠時間は6.4~7.8時間であることが示された。 研究結果はNatureに発表された。
睡眠時間と各種表現型とのU字型関連は認められましたが、 UK Biobankと同規模を含む独立コホートでの外的検証が必要です。
至適な睡眠は健康的な老化と寿命の延伸において重要な役割を果たす。 研究グループは今回、 自己申告の睡眠時間と生体イメージング、 血漿プロテオミクス、 メタボロミクスに基づいた23種類の生物学的老化時計との関連を評価する 「Sleep Chart (睡眠チャート) 」 を提案した。
対象は、 UK Biobankの37~84歳の参加者。 9つの脳・身体システムおよび3種類のオミクス技術に基づく生物学的年齢差と睡眠時間の関連について検討した。生物学的年齢差とは各生物学的老化時計によって推定される生物学的年齢と暦年齢の差を指し、 正の値ほど老化が進んでいることを示す。
9つの脳・身体システムと3種類のオミクス技術に基づく生物学的年齢差と睡眠時間との間にはU字型の関連が認められた。
解析対象集団において生物学的年齢差が最小となる睡眠時間は6.4 ~ 7.8時間であり、臓器および性別によって異なっていた。
標準的な睡眠時間 (6~8時間) と比べて短時間 (6時間未満) および長時間 (8時間超) の睡眠は脳以外も含む全身性の疾患および全死亡のリスク上昇と関連していた。
睡眠時間パターン (短時間または長時間) と全身性疾患エンドポイントの有意な関連は153件認められたが、 その多くを短時間睡眠との関連が占めていた。 全死亡のリスクについては短時間睡眠でHR 1.50 (95%CI 1.44-1.55)、 長時間睡眠でHR 1.40 (95%CI 1.36-1.44) であり、 いずれの睡眠時間もリスク上昇に関連することが示された。
ゲノムワイド関連解析 (GWAS) では異常な睡眠に関連する8つの遺伝子座が同定された (p<5×10⁻⁸)。 高齢期のうつ病に至る経路は長時間睡眠と短時間睡眠で異なり、 長時間睡眠では生物学的老化時計がその関連を部分的に媒介している可能性がある一方、 短時間睡眠ではうつ病とのより直接的な関連が示された。
メンデルランダム化解析では疾患が睡眠に因果的に影響するという強い証拠は得られなかったが、 逆因果の可能性を完全に排除することはできなかった。
著者らは、 「睡眠時間と生物学的老化時計の間には複数の臓器およびオミクスにまたがってU字型の関連があることが示された。 この結果は、 睡眠の至適化が健康的な老化の促進、 疾患リスクの低減、 長寿の延伸に寄与しうることを示している」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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