海外ジャーナルクラブ
2年前
de Angelisらは, 単一施設において原発性肺癌に対する肺葉切除術を受けた患者を対象に, 手術時間と術後成績の関連性を検討. その結果, 肺葉切除術を受けた患者では, 手術時間の長さは転帰悪化と関連していることが明らかとなった. 本研究は, Ann Surg誌において発表された.
このような手術時間と転帰との解析の場合に, 短期アウトカムとしては当然手術時間が速い方がいいと思います. ただ一方で, 悪性疾患の手術ですので, 「多少時間がかかっても長期アウトカムが良ければ受け入れられうる」 とも思います.
肺葉切除術後の手術時間と転帰との関連は, 十分に特徴付けられていない.
手術時間の中央値は全例で3.2時間, 開胸手術で3.0時間, VATSで3.3時間, ロボット支援手術で3.3時間 (P=0.0002)であった.
多変量混合効果モデルを用いた解析では, 手術時間は, あらゆる合併症 (1時間あたりのOR 1.37, 95%CI 1.20-1.57, P<0.0001) および重大な合併症 (1 時間あたりのOR 1.41, 95%CI 1.21-1.64, P<0.0001) との高い関連が認められた. また, 手術時間は入院期間の延長と関連していた (β=1.09, 95%CI 1.04-1.14, P=0.001) .
肺葉切除術を受けた患者では, 手術時間の長さは転帰の悪化と関連していた. 手術時間は周術期に考慮すべき潜在的なリスク因子である.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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