【JAMA Oncol】COVID-19罹患の小児がん、 MIS-C発症で臨床経過が重篤化
著者

海外ジャーナルクラブ

1年前

【JAMA Oncol】COVID-19罹患の小児がん、 MIS-C発症で臨床経過が重篤化

【JAMA Oncol】COVID-19罹患の小児がん、 MIS-C発症で臨床経過が重篤化
Martinらは、 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に罹患した小児癌患者を対象に、 小児多系統炎症症候群 (MIS-C) の関連因子とMIS-C発症後の臨床経過を多施設共同観察コホート研究で検討。 その結果、 MIS-C発症者は、 非発症者に比べ、 より重篤な臨床経過を認めた。 本研究はJAMA Oncol誌において発表された。 

📘原著論文

Clinical Features and Risk Factors Associated With Multisystem Inflammatory Syndrome in Children With Cancer and COVID-19. JAMA Oncol. 2023 May 11;e230525. PMID: 37166782

👨‍⚕️監修医師のコメント

MIS-Cを発症したのは24症例であり、 実質イベント数24の研究結果です。 N<30の研究はなかなか結論を出しにくいので、 本研究デザインは参考になると思います。

🔢関連コンテンツ

4C mortalityスコア

COVID-19入院患者の予後予測スコア


背景

小児癌におけるCOVID-19後のMIS-Cのリスクについては、 ほとんど知られていない。

研究デザイン

対象

2020年4月1日~22年5月18日に米国の小児癌診療施設に登録された小児癌患者:2,035例

曝露

  • 小児癌の診断と治療、 COVID-19の経過
  • MIS-Cの発症について観察

主要評価項目

  • MIS-Cの発症
  • MIS-Cに関連する症状および疾患の重症度

研究結果

MIS-Cの発症

2,035例の参加者のうち、 1.2% (24例) がMIS-Cを発症した。

MIS-Cを発症した小児の特徴

  • 血液癌を罹患:83.3% (20例)
  • 公的保険に加入:66.7% (16例)
  • ヒスパニック系:54.2% (13例)

併存疾患との関係

半数 (12例) が1つ以上の癌以外の併存疾患を有していた。 併存疾患を持つ者は、 持たない者に比べてMIS-Cを発症する可能性が高かった。

OR 2.5、 95%CI 1.1-5.7

対照群との比較

対照群と比較して、 MIS-Cの患者は全身症状 (OR 4.7、 95%CI 1.4-15.8) または胃腸症状 (OR 5.0、 95%CI 1.7-14.6) に分類される症状の発生確率が高く、 入院 (OR 42.9、 95%CI 7.1-258)、 ICU入室 (OR 11.4、 95%CI 3.6-36.4)、 癌治療の変更 (OR 24.9、 95%CI 6.5-94.8) の発生オッズが高かった。

結論

小児癌患者およびCOVID-19を対象とした本コホート研究において、 MIS-C発症者は、 非発症者に比べ、 より重篤な臨床経過を認めた。 MIS-Cのリスクとその重症度は、 臨床医がCOVID-19患者をモニターする際に考慮すべき重要な事項である。 これらの知見は、 COVID-19のリスクや、 薬理学的・非薬理学的な予防戦略、 ならびに治療の利点に関する家族との会話に役立つと考えられる。

こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【JAMA Oncol】COVID-19罹患の小児がん、 MIS-C発症で臨床経過が重篤化