海外ジャーナルクラブ
1年前
Martinらは、 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に罹患した小児癌患者を対象に、 小児多系統炎症症候群 (MIS-C) の関連因子とMIS-C発症後の臨床経過を多施設共同観察コホート研究で検討。 その結果、 MIS-C発症者は、 非発症者に比べ、 より重篤な臨床経過を認めた。 本研究はJAMA Oncol誌において発表された。
MIS-Cを発症したのは24症例であり、 実質イベント数24の研究結果です。 N<30の研究はなかなか結論を出しにくいので、 本研究デザインは参考になると思います。
COVID-19入院患者の予後予測スコア
小児癌におけるCOVID-19後のMIS-Cのリスクについては、 ほとんど知られていない。
2020年4月1日~22年5月18日に米国の小児癌診療施設に登録された小児癌患者:2,035例
2,035例の参加者のうち、 1.2% (24例) がMIS-Cを発症した。
半数 (12例) が1つ以上の癌以外の併存疾患を有していた。 併存疾患を持つ者は、 持たない者に比べてMIS-Cを発症する可能性が高かった。
対照群と比較して、 MIS-Cの患者は全身症状 (OR 4.7、 95%CI 1.4-15.8) または胃腸症状 (OR 5.0、 95%CI 1.7-14.6) に分類される症状の発生確率が高く、 入院 (OR 42.9、 95%CI 7.1-258)、 ICU入室 (OR 11.4、 95%CI 3.6-36.4)、 癌治療の変更 (OR 24.9、 95%CI 6.5-94.8) の発生オッズが高かった。
小児癌患者およびCOVID-19を対象とした本コホート研究において、 MIS-C発症者は、 非発症者に比べ、 より重篤な臨床経過を認めた。 MIS-Cのリスクとその重症度は、 臨床医がCOVID-19患者をモニターする際に考慮すべき重要な事項である。 これらの知見は、 COVID-19のリスクや、 薬理学的・非薬理学的な予防戦略、 ならびに治療の利点に関する家族との会話に役立つと考えられる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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