【Gastroenterology】LSM値の動態が慢性肝疾患の転帰予測に有効
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海外ジャーナルクラブ

1年前

【Gastroenterology】LSM値の動態が慢性肝疾患の転帰予測に有効

【Gastroenterology】LSM値の動態が慢性肝疾患の転帰予測に有効
Semmlerらは、 慢性肝疾患の患者を対象に、 肝硬度測定 (Liver Stiffness Measurement:LSM) 値の動態による肝臓関連イベントおよび死亡に対する予後予測能を後ろ向きコホート研究で検討。 その結果、 LSM値の動態が肝臓の転帰を予測する能力を有することが確認された。 本研究は、 Gastroenterology誌において発表された。

📘原著論文

Dynamics in Liver Stiffness Measurements Predict Outcomes in Advanced Chronic Liver Disease. Gastroenterology. 2023 Jul 11;S0016-5085(23)04768-6. PMID: 37442301

👨‍⚕️監修医師のコメント

単施設後ろ向き観察研究結果であり、 アルコール関連が8%程度と極めて少ない印象です。


背景

肝硬度測定値 (LSM) 

肝疾患の進行と退縮を非侵襲的にモニタリングするためのツールとして広く用いられている。

研究デザイン

対象

180日以上の間隔でLSMを2回以上受けた慢性肝疾患患者を対象に、以下の群に層別化した。

  • 非進行性慢性肝疾患 (non advanced chronic liver disease : ACLD、 BL-LSM<10kPa)
  • 代償性ACLD (compensated ACLD:cACLD、 BL-LSM≧10kPa)
  • 非代償性ACLD (decompensated ACLD:dACLD)

方法

連続したLSM値と臨床転帰に関するデータの収集

研究結果

解析対象

患者2,508例より、 8,561件の信頼できるLSM値が得られた。

  • nonACLD:65.7%
  • cACLD:30.2%
  • dACLD:4.1%

肝不全の罹患

nonACLDの0.4%、 およびcACLDの10.9%が肝不全となった。

LSM値と肝不全、 肝関連死の関係

cACLD患者においては、 LSM値が20%上昇した場合、 肝不全(HR 1.58、 95%CI 1.41-1.79、 p<0.001) と肝関連死(HR 1.45、 95%CI 1.28-1.68、 p<0.001) のリスクが約50%上昇した。

LSM値の肝不全予測能

LSM値の動態による肝不全の予測精度は高く (受信者操作特性曲線下面積:0.933) 、 Fibrosis-4スコア (0.873) 、 Model for End-Stage Liver Disease (0.835) 、 単一時点LSM (ベースライン時のLSM:0.846、 2回目のLSM:0.880) よりも優れていた。

LSM値と肝不全リスクの低下の関係

LSMが20kPa未満に低下した場合、 cACLD患者の肝不全リスクが大幅に低下した。

HR 0.13、 95%CI 0.07-0.24

結論

LSM値の評価を繰り返すことで、慢性肝疾患患者の肝不全や肝関連死亡の詳細かつタイムリーなリスク評価が可能となる。

こちらの記事の監修医師
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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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