HOKUTO編集部
7日前

心不全イベントの高リスク例に絞った症候性・重症以上の三尖弁逆流 (TR) 患者において、 経カテーテル三尖弁修復+薬物療法と薬物療法単独を比較した無作為化比較試験TRIC-I-HFの結果から、 修復群は2つの主要評価項目をいずれも達成し、 QOL改善に加えて死亡・心不全入院の有意な減少を認めた。 ドイツ・Ludwig-Maximilians UniversityのJörg Hausleiter氏が発表した。 同試験の詳細は、 N Engl J Med.誌 2026年8月30日オンライン版¹⁾に掲載された。
TRは心不全入院や死亡リスクと関連するが、 薬物療法の選択肢は限られ、 外科手術も高リスクである。 代替として三尖弁edge-to-edge修復 (T-TEER) が普及したが、 既存RCTではQOL改善が示されたものの、 心不全入院や死亡に対する効果は明らかでなかった。
対象は、 ドイツ29施設で、 30日以上の安定した薬物療法下でも重症以上のTRを有し、 過去12ヵ月の心不全入院、 心腎症候群*、 心肝症候群**のいずれかを伴う症候性患者だった。 360例を以下の2群に2:1で無作為に割り付けた。
薬物療法群では、 心不全増悪による入院および静注利尿薬投与などの所定条件を満たした48例が修復術へクロスオーバーした。
第1主要評価項目は、 1年時点の全死亡、 心不全入院、 QOL改善 (KCCQ 15点以上上昇) を階層的に評価するwin ratioとした。 第2主要評価項目は、 最長3年間の全死亡または心不全入院の複合評価項目とし、 階層的に検定した。
第1主要評価項目では、 29,151患者ペアを比較した結果、 win割合は修復群58.0%、 薬物療法群23.9%で、 修復群が有意に優越した (win ratio 2.42 [95%CI 1.76–3.33]、 p<0.0001)。 全死亡、 心不全入院、 QOL改善のいずれも修復群に有利だった。
平均追跡期間1.6年における全死亡または心不全入院の回避率 (Kaplan–Meier推定値) は、 修復群と薬物療法群で1年時73.9% vs 48.4%、 3年時52.4% vs 21.0%であり、 修復群ではリスクが60%低下した (HR 0.40 [95%CI 0.29–0.55]、 p<0.0001)。 1年時点の治療必要数 (NNT) は4 (95%CI 3–6) だった。
修復群と薬物療法群の心不全入院回避率は、 1年時79.6% vs 51.3%で、 修復群では心不全入院リスクが65%低下した (HR 0.35 [95%CI 0.25–0.51]、 p<0.0001)。 3年生存率も72.3% vs 53.9%で、 全死亡リスクは38%低下した (HR 0.62 [95%CI 0.40–0.96]、 p=0.027)。
1年時にTRが軽症以下となった割合は、 56.3% vs 19.2%、 NYHA心機能分類I/II度は73.8% vs 57.0%だった。 なお、 薬物療法群では48例が修復術へクロスオーバーした。
修復群237例中231例 (97.5%) が経カテーテル治療を受け、 その98.3%にT-TEERが施行された。 30日以内の主要有害事象は14例 (5.9%) に発生し、 主な内訳は死亡1例 (0.4%)、 大出血6例 (2.5%)、 単一弁尖デバイス付着4例 (1.7%) だった。
Hausleiter氏は、 「重症TR患者では、 薬物療法への経カテーテル三尖弁修復術の追加が、 薬物療法単独を上回った。 三尖弁修復術はQOLを改善するだけでなく、 心不全入院や全死亡などのハードな臨床イベントも有意に減少させた」 と結論付けた。
1) N Engl J Med. 2026年8月30日オンライン版
重症三尖弁逆流へのTTVR、 実臨床で97.7%改善かつ30日死亡は3.1%
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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