寄稿ライター
5ヶ月前
「今までひたすら貯金してきたけど、 最近の物価高がエグすぎる!」と感じている医師も多いでしょう。 連載「医師による医師のための財テク術」の3回目では、 物価高 (インフレ) をテーマにお話します。
最近、 モノの値段が何でも上がるようになって、 世間でも物価高への関心が高くなってきました。 もちろん、 モノの本質的な価値 (例えば、 ある食べ物の美味しさ) が急に上がったわけではありません。 実は、 貨幣の価値が下がり、 見かけ上の値段が上がったように感じるのです。
モノの値段が上がることは一見、 良くないことのように思えますが、 実は各国のエラい方々は「穏やかなインフレ」を目指しています。
モノの値段が来年少しだけ上がるとしたら、 その前に購入を考えますよね。 こうしてモノが売れることで企業収益が拡大し、 賃金が上昇します。 賃金が上がっていれば、 モノの値段を上げても商品は売れますから、 さらなる物価上昇へとつながる。 この循環がうまく回ることで、 経済が成長していくのです。
では、 物価が上がればなんでもいいか、 というとそうではありません。 例えば、 2億%ものハイパーインフレが起きたジンバブエのように、 過度のインフレは社会不安を引き起こし、 かえって消費を減退させます。 そのため、 「ちょうどいい居心地」のインフレを目指すのが重要です。
具体的には、 基軸通貨ドルを持つアメリカが「2%」をインフレ目標として掲げています。 それに合わせて日本を含めた世界各国も2%をインフレ目標として掲げています。
2%のインフレが続くと、 35年で貨幣の価値は半分になる計算になります。 5%のインフレになると、 わずか14年で価値が半減してしまいます。 これだと、 将来が不安で無駄な消費を抑えよう、 と考えてしまいますよね。
ちなみに、 日本は30年間もデフレ (物価の停滞) に苦しんでいました。 日本政府はデフレを目指していたわけではなく、 穏やかなインフレを目指していたけど達成できなかったのです。
ただ、 今のインフレが望ましいわけではありません。 原材料費の高騰や円安を原因とした「コストプッシュ型インフレ」であり、 賃金上昇も追いついていません。 本来は、 需要や生産性の向上による「デマンドプル型インフレ」を実現したいのです。
最近は、 急速なインフレに伴い、 日本でも賃金上昇のニュースが見られるようになりました。 では、 医師はどうでしょうか。
他業種と同様、 日本の勤務医の平均給与はほぼ横ばいで推移しています。 高齢化社会の進展とともに医療費が増大していますが、 医師の給与は上がっていないのです。 要因としては、
などが挙げられます。 表面上の給料は上がらないのに、 インフレによりその実質的な価値が目減りしてしまうと、 何もしない医師は取り残されてしまうでしょう。
いかがでしたでしょうか。 今回のTake Home Messageは
となります。 次回からは、 インフレに対してどのように資産防衛していくべきなのか、 より具体的に考えていきます。
週刊エコノミスト Online:日本はここまで貧乏になった グラフで見る日本のデフレ (2020/06/08)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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