HOKUTO編集部
2ヶ月前
東京都立多摩総合医療センター 呼吸器・腫瘍内科は、 肺癌や原発不明癌、 結核を始めとする多様な症例に対応し、 内視鏡診断・治療にも注力している。 症例のみならず多彩なバックグラウンドを持つ医師が揃うという同科の特徴について、 部長の髙森幹雄氏、 医長の北園美弥子氏、 そして同科で研修を受ける専攻医の春日憲太郎氏と前田将臣氏に話を聞いた。
―呼吸器・腫瘍内科の特徴や注力している手技・症例について教えてください
髙森氏 :
当科の最大の強みは気管支鏡で、 ドレーン管理や胸膜炎、 合併症を有する症例などに多数対応しており、 年間対応件数は700例ほどです。 「断らない救急」 を掲げている通り、 気管支鏡が必要な症例は基本的に断らずに受け入れています。 また当センターのER (救命救急センター) や他科とも連携しながらさまざまな症例に対応しており、 呼吸器・腫瘍内科全体の年間症例数は1,400-1,500例程度です。
また、 当センターは都立総合病院の中で唯一結核病床を設けている点も特徴で、 年間100例ほどの結核患者を受け入れています。 このほか、 肺癌診療にも注力しています。
―臨床研修の特徴について教えてください
髙森氏 :
最大の特徴は入局1年目から多彩な症例を豊富に経験できることです。 最低でも週に1回は気管支鏡を担当できます。 病理解剖も多いため、 専門医取得のための解剖症例に困ることはないでしょう。 また、 呼吸器外科領域の一部の手技も経験できるチャンスがあります。
このように、 日々経験値が蓄積していくような環境なので、 若手医師であっても自ずと多彩な症例に対応できるようになります。 もちろん対応に迷うような部分があれば、 指導医がしっかりとサポートします。
―学会発表や論文執筆の指導方針は
研修医各々が関心のある領域に応じて、 学会参加やケースレポートの作成を任せており、 必ず1例は提出するよう伝えています。 また学会発表ではデータ分析だけではなく、 患者を診ることから始めてもらうようにしています。 英語論文化も見据えた場合は、 海外の学会参加も選択肢となり得ます。
―科の雰囲気についてそれぞれの視点から教えてください
髙森氏 :
当科にはバラエティに富んだ医師が揃っており、 先述の通り幅広い手技を磨くことができるため一人ひとりのキャリアも多彩です。 実際に各々が異なるスペシャリティを持ち、 特定領域の専門に特化した医師も多数在籍しています。
また、 チーム体制を築いており、 忙しいながらも互いに協力し合う文化が根付いていると感じます。 北園先生のように女性医師が育児・家庭と診療を両立している例もあり、 個々の興味・関心、 ライフイベントなどに応じたキャリア支援が可能です。
北園氏 :
各医師の出身母体はさまざまでバックグラウンドも異なります。 男女比は、 現在は男性割合が多いものの、 過去には半々だったこともあります。
医長としての立場から見ると、 研修医・専攻医の先生方は、 向上心が強く高みを目指している方が多い印象です。 若いうちにできる限り多くの経験を積みたい、 手技を磨きたいという希望を持っている医師にはぴったりの環境だと思います。 また、 大学病院等と比べて診療科間の垣根も低く、 周囲に相談しやすい雰囲気があることも特徴でしょう。
春日氏 :
市中病院としては医局員の人数が多く、 年齢層も幅広い印象です。 私自身は医局派遣で専攻医として研修を受けていますが、 医局に関係なく自ら志願してここにいらした医師もいます。 多様性がある分、 競争し合うというよりも、 それぞれが高みを目指して努力するような雰囲気だと感じます。
また、 アカデミック・実臨床の双方に熱心で真面目に取り組まれている医師が多い印象です。 希望すれば多くの症例を担当できるので、 若手医師が経験を積むには良い環境だと思います。
前田氏 :
私はサブスペシャリティ取得のために入局しました。 当科は穏やかな雰囲気でありながら、 志が高くて意欲的な医師が多いと感じます。 ロールモデルになるような指導医も身近に複数おり、 部長の高森先生や医長の北園先生を含めて質問しやすい指導医の先生ばかりなのも心強いです。
症例数の多さも魅力だと思います。 現在もCOPD、 喘息、 間質性肺炎、 肺癌、 活動性結核など幅広い疾患を担当していますが、 専攻医の間にこれだけ幅広い経験を積める施設は全国的にも限られるでしょう。 一通りの呼吸器症例を経験できるので、 臨床の基礎作りにも良いと思います。
―北園先生は2人のお子さんがいらっしゃいますが、 育児と仕事をどのように両立されてきましたか
北園氏 :
私は育児との両立を前提にして、 当科に入局しました。 当科は髙森先生の理解もあり、 両立という意味でも非常に働きやすい環境です。 現在は、 原則8時半~19時で週4日勤務していますが、 まだ子どもに手がかかっていた頃は週3日勤務からスタートして少しずつ労働時間を増やしていきました。 周囲の配慮のおかげで、 学校行事などにも全て参加することができています。 なお呼吸器・腫瘍内科としては、 直近で1ヵ月育休を取られた男性医師もいます。
時短勤務だからといって主要なポジションに就けないということはありません。 私は現在、 呼吸器内科医長と化学療法センター室長を兼任させて頂いています。 このほか、 これまで複数診療科がバラバラに診ていた原発不明癌や希少癌など、 特定の領域に分類できない癌症例を引き受けて診察や治療を行うチームオンコロジーの立ち上げにも関わり、 院内からも多くの症例をご紹介頂いています。
業務が多岐に渡るため日中は忙しい一方、 退勤後は家族と過ごす時間も確保できるため、 メリハリをつけて働くことができます。
―春日先生が感じる呼吸器・腫瘍内科の魅力は
春日氏 :
高森先生がおっしゃるとおり、 肺癌、 結核、 気管支鏡検査の症例数が圧倒的に多く、 専攻医の段階から希少例や重症例も多数経験できるので、 貴重な経験をさせてもらっていると感じます。
もう1つ専攻医としてありがたいと思う点は、 相談しやすいところですね。 担当指導医はもちろん、 指導医の先生以外でも、 困ったときは誰に聞いても優しく教えてくれます。 また、 多摩総合医療センターのカリキュラムという観点では、 さまざまな科を回ることができるのも良い点だと思います。
―前田先生が感じる呼吸器・腫瘍内科の魅力は
前田氏 :
専攻医は基本的に病棟業務がメインですが、 週に数回の救患対応や、 気管支鏡検査、 担当患者の外来フォローなどを行うこともあります。 最近は、 肺癌や間質性肺炎を担当することも多くなりました。 このように普段は臨床がメインですが、 空いた時間で論文執筆や学会発表の準備を行うこともあり、 先日も学会発表をさせていただきました。
病棟業務においては複数の指導医からフィードバックを受けられます。 これは、 専攻医にとって大きな財産になるのではないでしょうか。 また、 当センターはさまざまな専門領域の先生が在籍する総合病院であるため、 担当患者の併存疾患で気になるところがあれば、 すぐにコンサルできるというのは勉強になりますし、 医師としての守備範囲が広がると思います。
―呼吸器・腫瘍内科診療に関心のある、 あるいは貴センターへの入局を検討しているHOKUTO医師会員に向けてメッセージをお願いいたします
髙森氏 :
我々と一緒に患者さんと向き合いながら、 呼吸器診療の手技を1つずつ学んでみませんか。 当科では日々勉強しているうちに、 自ずと必要な資格が取れるような教育体制を整えています。 安心していらしてください。
北園氏 :
私の役目は上下の橋渡しをすることですので、 当科に入局してくださった暁には、 指導医として専攻医の先生方を全力でサポート致します。 また、 呼吸器内科医としてやりたいことがあれば実現できるように協力致します。 まずは一度、 是非見学にいらしてください。
春日氏 :
呼吸器科は、 ジェネラリストにもスペシャリストにもなれる領域だと思います。 特に多摩総合医療センター呼吸器・腫瘍内科は、 気管支鏡などの手技を学びたい先生や肺癌を学びたいと思う先生にはもってこいの場所ではないでしょうか。
前田氏 :
自立した呼吸器診療ができるようになりたい人や、 専門医を目指している人と、 ぜひ一緒に働きたいと思っています。 見学をお待ちしています。
呼吸器内科では常勤医師、 非常勤医師を募集しています。 急性期感染症診療、 肺癌診療、 びまん性肺疾患など症例も豊富であり、 また結核病院であることから結核管理も行っています。 HIV感染症も行っています。 気管支鏡・局所麻酔胸腔鏡など手技も一通り経験出来ます。 腫瘍内科を兼務しており、 原発不明癌などの管理も行っています。
興味のある先⽣はぜひ、 E-mail : mikio_takamori@tmhp.jpまでご連絡ください。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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