海外ジャーナルクラブ
8日前

Boeddinghausらは、 心筋梗塞が疑われ救急外来を受診した成人を対象に、 欧州心臓病学会 (ESC) ガイドライン推奨の0/1hプロトコル導入の安全性と有効性を、 従来の0/3hプロトコルと比較する国際共同プラグマティック・クラスター無作為化比較試験PRESC1SE-MIで検討した。 その結果、 30日以内の全死亡または新規1型心筋梗塞からなる複合安全性アウトカムの発生率は、 0/3h群の1.2%に対し0/1h群では1.1%であり、 事前に規定した非劣性基準を満たした。 一方、 救急外来滞在時間の中央値はいずれの群も309分で、 短縮効果は示されなかった。 試験結果はLancetならびに2026年8月28~31日に開催されたESC 2026で発表された。
本試験は0/3hプロトコルを標準としていた10ヵ国19病院での実装研究であり、 救急外来滞在時間は採血間隔以外の運用要因にも左右されるため、 日本の救急医療体制での効果は別途検証する必要があります。
心筋梗塞が疑われる患者の評価は高感度心筋トロポニンの連続測定に依存している。 著者らは、 新しい戦略をまだ採用していない病院において、 ガイドラインが推奨する0/1hプロトコル*の実装を0/3hプロトコルと比較し、 安全性と有効性を評価することを目的とした。
PRESC1SE-MIは10ヵ国19病院で実施された国際共同のプラグマティックなステップドウェッジ・クラスター無作為化比較試験である**。 対象は急性非外傷性の胸部不快感を呈し心筋梗塞が疑われて救急外来を受診した連続成人例である。
標準診療として0/3hプロトコルを用いていた病院を、 以下の2群に無作為に割り付けた。
本試験は安全性における0/1hプロトコルの非劣性と、 有効性における優越性を検証するようデザインされ、 安全性の非劣性マージンはオッズ比1.3に設定された。 共主要評価項目は安全性が30日以内の全死亡または新規1型心筋梗塞の複合、 有効性が救急外来滞在時間であり、 解析は最大の解析対象集団 (full analysis set) で行われた。
2020年12月1日~2024年12月31日に連続する7万1,983件の受診がスクリーニングされ、 6万7,624件 (93.9%) が適格基準を満たし最大の解析対象集団を構成した。
年齢中央値は59歳、 四分位範囲 (IQR) は46-73歳であった。 2万9,954件 (44.3%) は女性患者の受診、 3万7,670件 (55.7%) は男性患者の受診であった。 データが得られた6万2,060件のうち1万3,753件 (22.2%) は既知の冠動脈疾患を有する患者の受診であり、 5,855件 (8.7%) の受診では最終判定された初回診断が心筋梗塞であった。 全体では3万6,464件が0/3hプロトコル、 3万1,160件が0/1hプロトコルで管理された。
30日以内の全死亡または新規1型心筋梗塞からなる複合安全性アウトカムは、 0/3h群454件 (1.2%) に対し、 0/1h群341件 (1.1%) であった。 調整オッズ比は0.93 (95%CI 0.77-1.13、 非劣性検定p=0.0004) で、 95%CIの上限が事前に規定した非劣性マージンの1.3を下回り、 非劣性基準を満たした。
救急外来滞在時間の中央値は、 0/3h群309分 (IQR 203-470分)、 0/1h群309分 (IQR 207-474分) と同等であり、 0/1hプロトコルによる短縮効果は示されなかった (調整中央値比1.00、 95%CI 0.97-1.02、 両側p=0.65)。
著者らは、 0/1hプロトコルの導入は、 30日以内の複合安全性アウトカムについて0/3hプロトコルに対する非劣性基準を満たした一方、 救急外来滞在時間の短縮にはつながらなかったと結論。 そのうえで、 本試験のように0/3hプロトコルを標準診療としてきた施設では、 0/1hプロトコルの単独導入による救急外来の診療効率向上は期待すべきではないと指摘している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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