【J Clin Oncol】cfDNAでHER2増幅を確認した固形癌でもT-DXdは有効
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3ヶ月前

【J Clin Oncol】cfDNAでHER2増幅を確認した固形癌でもT-DXdは有効

【J Clin Oncol】cfDNAでHER2増幅を確認した固形癌でもT-DXdは有効
国立がん研究センター東病院副院長の吉野孝之氏、 同院消化管内科の中村能章氏、 愛知県がんセンター薬物療法部医長の谷口浩也氏らの研究グループは、 cell-free DNA (cfDNA) の解析によってHER2増幅を確認した進行固形癌患者を対象に、 トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) の有効性および安全性について、 第Ⅱ相多施設共同単群バスケット試験で検討した。 その結果、 T-DXdは56.5%という高い奏効率を示した。 本研究はJ Clin Oncolにて発表された。 

📘原著論文

Trastuzumab Deruxtecan in Advanced Solid Tumors With Human Epidermal Growth Factor Receptor 2 Amplification Identified by Plasma Cell-Free DNA Testing: A Multicenter, Single-Arm, Phase II Basket Trial. J Clin Oncol. 2024 Aug 1:JCO2302626. Online ahead of print. PMID: 39088783

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

Basket trials は「ある薬剤の効果をさまざまな癌種における単一ゲノム変異体について調べる臨床試験」と定義されます。

通常は早期第 II 相試験として単群デザインで行われ、 探索的なスクリーニングを目的とするDiscovery trialsとして位置付けられています。

💬関連プレスリリース

国立がん研究センターからのお知らせ(24/8/6)

リキッドバイオプシーによりHER2遺伝子増幅が認められた固形がんに対するトラスツズマブ デルクステカンの臓器横断的な有効性を確認―産学連携SCRUM-Japan MONSTARプロジェクトの成果を米国臨床腫瘍学会旗艦誌 「Journal of Clinical Oncology」 に論文発表―

目的

cfDNAの検査でHER2増幅を確認してもT-DXdは有効か?

医師主導第Ⅱ相多施設共同単群バスケット型試験であるHERALD試験では、 SCRUM-Japan GI-SCREENとLC-SCRUM-Japanが行っているGOZILA試験における血液検査 (Guardant360) でHER2遺伝子増幅が確認された進行固形癌患者を対象に、 T-DXdの有効性および安全性が評価された。

【J Clin Oncol】cfDNAでHER2増幅を確認した固形癌でもT-DXdは有効
国立がん研究センタープレスリリース (2024/8/6) より引用

対象・方法

cfDNA解析で確認したHER2増幅進行癌が対象

HER2の免疫組織化学的な検査を必要としない、 次世代シークエンサーによるcfDNAの解析によってHER2増幅が確認された進行固形癌患者を対象とした。

T-DXdを3週間に1回投与

T-DXd 5.4mg/kgを3週間に1回、 進行または許容できない毒性の発現まで投与した。

結果

HER2増幅が確認された、 16癌種62例が対象

2019年12月~2022年1月に患者4,734例がcfDNAの検査を受け、 そのうちHER2増幅が確認されたのは252例であった。

最終的に、 本試験の対象は16癌種62例とした。 ベースラインの血漿中HER2コピー数の中央値は8.55 (範囲 2.4-73.9) であった。

奏効率は56.5%

担当医の評価に基づく奏効率は、 56.5% (95%CI 43.3-69.0%) であった。

奏効は、 KRAS変異大腸癌 (1/3例)、 PIK3CA変異子宮内膜癌 (5/6例)、 組織HER2陰性胃癌 (1/2例) を含む13の癌種で評価された。

血漿中HER2コピー数がベースラインの中央値を上回った場合と下回った場合で奏効に差はなかった。 しかし、 2サイクル目の1日目にcfDNAのHER2増幅がみられなくなった場合には、 持続している場合に比べて奏効率が高かった。

13癌種で腫瘍径和が縮小

16癌種のうち、13癌種*で腫瘍径和が有意に縮小した。

*食道癌、大腸癌、唾液腺癌、子宮体癌、子宮頸癌、胆道癌、卵巣癌、小腸癌、尿路上皮癌、胃癌、悪性黒色腫、パジェット病、前立腺癌
【J Clin Oncol】cfDNAでHER2増幅を確認した固形癌でもT-DXdは有効
国立がん研究センタープレスリリース (2024/8/6) より引用

無増悪生存期間は7.0ヵ月

無増悪生存期間の中央値は7.0ヵ月 (95%CI 4.9~9.7ヵ月)、 奏効期間の中央値は8.8ヵ月 (95%CI 5.8~11.2ヵ月) であった。

間質性肺炎の発現率は26%

合併症の大部分は軽度~中等度であった。 間質性肺疾患は16例 (26%) に認められた (Grade 1 : 14例、 Grade 2 : 1例、 Grade 3 : 1例)。

結論

HER2増幅をcfDNAで確認しても、 T-DXd治療は有効

著者らは 「T-DXdによる治療は、 cfDNA検査で確認したHER2増幅を有する進行固形癌患者において、 持続的な奏効を伴う高い奏効率を示した」 と述べている。

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HOKUTO編集部
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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