【PARTNER】gBRCA変異早期乳癌への術前化学療法+48h後オラパリブでOS改善
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HOKUTO編集部

7ヶ月前

【PARTNER】gBRCA変異早期乳癌への術前化学療法+48h後オラパリブでOS改善

【PARTNER】gBRCA変異早期乳癌への術前化学療法+48h後オラパリブでOS改善
生殖細胞系列BRCA (gBRCA) 遺伝子変異を有する早期乳癌患者において、 術前化学療法に対するPARP阻害薬オラパリブの上乗せ効果を検証した第Ⅱ/Ⅲ相無作為化比較試験PARTNERの結果より、 カルボプラチン+パクリタキセルから48時間空けてオラパリブを投与する方法が、 全生存期間 (OS) を有意に改善させることが示された。 英・University of CambridgeのJean Abraham氏が発表した。

PARP阻害薬+化学療法は安全性/有効性の両立が課題

PARP阻害薬は、 gBRCA遺伝子変異を有する遺伝性腫瘍 (乳癌、 卵巣癌、 膵癌、 前立腺癌) の治療薬として承認されている。

オラパリブは、 gBRCA遺伝子変異を有する早期乳癌患者の術前療法において、 OSやその他の予後の指標をプラセボと比較し有意に改善した (N Engl J Med. 2021; 384: 2394-2405) が、 PARP阻害薬とプラチナ製剤の併用療法に関する臨床試験では、 骨髄毒性が問題となっている。

3段階構成の試験で検討

対象

本試験は3段階で構成されている。

  • 第1~2段階 : トリプルネガティブ (エストロゲン受容体陰性、 HER2陰性、 gBRCA野生型)、 またはgBRCA遺伝子変異(ホルモン受容体の状態は問わない)を有する乳癌患者
  • 第3段階 : gBRCA遺伝子変異 (ホルモン受容体の状態は問わない) を有する乳癌患者

方法

【第1段階(79例)/第2段階(159例)】

患者を試験群 (先行投与)、 試験群 (後行投与 [オラパリブの投与開始日を遅らせる群] )、 対照群の3群に1 : 1 : 1で無作為に割り付けた。

  • オラパリブ先行投与群
(カルボプラチンAUC5 day1+パクリタキセル80mg/m² day1、 8、 15+オラパリブ150mg day2~10を1日2回3週毎に4サイクル投与→アントラサイクリン系抗癌薬を3サイクル投与→手術)
  • オラパリブ後行投与群
(カルボプラチンAUC5 day1+パクリタキセル80mg/m² day1、 8、 15+オラパリブ150mgday3~14を1日2回3週毎に4サイクル投与→アントラサイクリン系抗癌薬を3サイクル投与→手術)
  • 対照群
(カルボプラチンAUC5 day1+パクリタキセル80mg/m² day1、 8、 15を3週毎に4サイクル投与→アントラサイクリン系抗癌薬を3サイクル投与→手術)

【第3段階】

第1~2段階の結果より、 オラパリブ後行投与が試験群に選択された。 第3段階では患者をオラパリブ後行投与群 (39例) と対照群 (47例) に1 : 1の割合で無作為に割付けた。

(一部項目では、 参考として先行投与の22例も解析された)

評価項目

主要評価項目

病理学的完全奏効 (pCR)

副次的評価項目

無イベント生存期間 (EFS)、 OS、 無遠隔転移生存期間 (DDFS)、 乳癌特異的生存期間 (BCSS) など

36ヵ月OS率は100%

患者背景

両群間で概ね同様であった。

  • 年齢中央値 : 37.9~47.2歳
  • 腫瘍径≦50mm : 97.4~97.8%
  • BRCA1変異割合 : 71.8~73.3%
  • エストロゲン受容体陰性割合 : 86.7~94.9%
  • プロゲステロン受容体陰性割合 : 84.4~97.4%
  • HER2 IHC 0 : 80.0~87.2%
  • HER2 IHC 1 : 2.6~8.9%

主要評価項目

pCR

  • オラパリブ後行投与群 : 64.1%
  • 対照群 : 69.8%
差 -5.7% (95%CI -25.8~14.6%)、 p=0.586
(参考 : オラパリブ先行投与群 : 59.1%)

副次評価項目

EFS

イベント数

  • オラパリブ後行投与群 : 1/39件
  • 対照群 : 9/45件
(参考 : オラパリブ先行投与群 :  9/22件)

36ヵ月時EFS率

  • 試験群 (後行投与) : 96%
  • 対照群 : 80%
p=0.040
(参考 : オラパリブ先行投与 : 67%)

OS

【全例】

イベント数

  • オラパリブ後行投与群 : 0/39件
  • 対照群 : 6/45件
(参考 : オラパリブ先行投与群 : 6/22件)

36ヵ月時OS率

  • オラパリブ後行投与群 : 100%
  • 対照群 : 88%
p=0.042
(参考 : オラパリブ先行投与群 : 71%)

【non-pCR例】

イベント数

  • オラパリブ後行投与群 : 0/14件
  • 対照群 : 3/13件

36ヵ月時OS率

  • オラパリブ後行投与群 : 100%
  • 対照群 : 82%

【pCR例】

イベント数

  • 試験群(後行投与) : 0/25件
  • 対照群 : 2/30件

36ヵ月時OS率

  • 試験群 (後行投与) : 100%
  • 対照群 : 93%

有害事象 (AE)

Grade3以上のAE発現率

  • オラパリブ後行投与群 : 76.9%
  • 対照群 : 60.0%
(参考 : オラパリブ先行投与群 : 72.7%)

重篤なAE (Gradeは問わない)

  • オラパリブ後行投与群 : 41.0%
  • 対照群 : 42.2%
(参考 : オラパリブ先行投与群 : 31.8%)

治療中断に至ったAE

  • オラパリブ後行投与群 : 7.7%
  • 対照群 : 8.9%
(参考 : オラパリブ先行投与群 : 9.1%)

オラパリブ後行投与群において、 計画投与量の少なくとも80%を投与された患者は89.7%であった。

「48時間後」 のオラパリブが鍵か

Abraham氏らは 「gBRCA遺伝子変異を有する早期乳癌患者に対し、 カルボプラチン+パクリタキセル後のオラパリブ投与までに48時間の間隔を空ける方法により、 pCRの状態に関わらず全ての生存エンドポイントを改善し、 36ヵ月時のOS率100%を達成した。 同疾患において治癒の可能性があるレジメンとして、 大規模な試験での検証が必要である」 と報告した。

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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