HOKUTO編集部
7ヶ月前
生殖細胞系列BRCA (gBRCA) 遺伝子変異を有する早期乳癌患者において、 術前化学療法に対するPARP阻害薬オラパリブの上乗せ効果を検証した第Ⅱ/Ⅲ相無作為化比較試験PARTNERの結果より、 カルボプラチン+パクリタキセルから48時間空けてオラパリブを投与する方法が、 全生存期間 (OS) を有意に改善させることが示された。 英・University of CambridgeのJean Abraham氏が発表した。
PARP阻害薬は、 gBRCA遺伝子変異を有する遺伝性腫瘍 (乳癌、 卵巣癌、 膵癌、 前立腺癌) の治療薬として承認されている。
オラパリブは、 gBRCA遺伝子変異を有する早期乳癌患者の術前療法において、 OSやその他の予後の指標をプラセボと比較し有意に改善した (N Engl J Med. 2021; 384: 2394-2405) が、 PARP阻害薬とプラチナ製剤の併用療法に関する臨床試験では、 骨髄毒性が問題となっている。
本試験は3段階で構成されている。
【第1段階(79例)/第2段階(159例)】
患者を試験群 (先行投与)、 試験群 (後行投与 [オラパリブの投与開始日を遅らせる群] )、 対照群の3群に1 : 1 : 1で無作為に割り付けた。
【第3段階】
第1~2段階の結果より、 オラパリブ後行投与が試験群に選択された。 第3段階では患者をオラパリブ後行投与群 (39例) と対照群 (47例) に1 : 1の割合で無作為に割付けた。
主要評価項目
病理学的完全奏効 (pCR)
副次的評価項目
無イベント生存期間 (EFS)、 OS、 無遠隔転移生存期間 (DDFS)、 乳癌特異的生存期間 (BCSS) など
両群間で概ね同様であった。
pCR率
差 -5.7% (95%CI -25.8~14.6%)、 p=0.586
EFS
イベント数
36ヵ月時EFS率
p=0.040
OS
【全例】
イベント数
36ヵ月時OS率
p=0.042
【non-pCR例】
イベント数
36ヵ月時OS率
【pCR例】
イベント数
36ヵ月時OS率
Grade3以上のAE発現率
重篤なAE (Gradeは問わない)
治療中断に至ったAE
オラパリブ後行投与群において、 計画投与量の少なくとも80%を投与された患者は89.7%であった。
Abraham氏らは 「gBRCA遺伝子変異を有する早期乳癌患者に対し、 カルボプラチン+パクリタキセル後のオラパリブ投与までに48時間の間隔を空ける方法により、 pCRの状態に関わらず全ての生存エンドポイントを改善し、 36ヵ月時のOS率100%を達成した。 同疾患において治癒の可能性があるレジメンとして、 大規模な試験での検証が必要である」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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