インタビュー
3日前

誰しも立ち止まり、 迷い、 そして踏み出した人生の瞬間がある。 医師の原点や転換点にフォーカスするインタビュー企画 「Doctor’s Career」。 今回は、 神奈川県警友会けいゆう病院小児科部長で小児アレルギーセンター長の津村由紀先生 (東京女子医科大卒) に話を聞いた。 (全3回の第3回)
2016年、 約3年間勤務した川崎市立川崎病院からけいゆう病院へ異動した。 専門診療の展開や次期部長を期待された医局人事での配置だった。
前任の部長からの引き継ぎを終え、 現在は小児科部長として組織をまとめている。
「管理職になって実感したのは、 バランスの難しさです。 患者さんを診る時間と、 チーム全体を整える時間。 そのどちらにも責任があり、 日々考えながら過ごしています」

けいゆう病院の小児科は大所帯ではない。 自ら診療現場の最前線に立ちながら、 若手医師やスタッフの成長を見守り、 リスクマネジメントの責任も負う。
「調整や運営の仕事に時間を取られることもありますが、 若手と接することで『もっと良くできる』『仕事をしやすくすることでパフォーマンスや医療の質をあげられる』という原動力をもらうこともあります」
若手と対話をしながら診療指針のマニュアルを整備したり、 院内外を対象とした勉強会を企画したりしている。

「医師の仕事は、 診療の時間単価では測れません」
学会での啓発活動、 院内の改善、 後輩の教育――どれも成果が見えるまで時間がかかる。
「目の前の手応えがなくても、 これは意味のあることだと信じて続ける。 その積み重ねこそが医療を支えているのだと思います」
時間をかけて成果を知るときもある。
「東京医療センターで一緒に働いていた3年後輩の医師に、 研修病院のサーベイ訪問で15年ぶりに再会した際、 プログラム責任者となった彼から『最初に教育の大切さを教わったのは津村先生からでした』と言われました。 その言葉を聞いて、 “地道に臨床と教育を続けていくことの価値はある”と励まされました」

少子化で小児患者の数が減り、 働き方改革で医師の勤務形態も変わる。 これまでの“同じ形”を保ち続けるのは難しい時代となった。
「だからこそ、 変化を恐れず、 自分たちの強みを生かす視点に切り替えることが大事だと思います。 結果はすぐに出なくても、 続けることで信頼が積み重なる。 それが一番の財産になると信じています」
医療も教育も、 相手の力を信じて寄り添うことが出発点。 急がず、 焦らず、 続けることで必ず実を結ぶーー。

その揺るぎない信念が、 津村先生の“育てる医療”そのものを形づくっている。


編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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