HOKUTO編集部
22日前
KRAS G12C遺伝子変異陽性固形癌患者を対象に、 第2世代KRAS G12C阻害薬olomorasibの有効性と安全性を評価した第Ⅰ/Ⅱ相試験LOXO-RAS-20001において、 未治療の進行NSCLCへのolomorasib+抗PD-1抗体ペムブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法を評価したコホートの結果より、 良好な安全性と有望な抗腫瘍活性が示された。 愛知県がんセンター呼吸器内科部長の藤原豊氏が発表した。
olomorasibは、 KRAS G12C遺伝子変異NSCLCに対し、 単剤療法およびペムブロリズマブとの併用療法で良好な忍容性と有望な抗腫瘍活性を示したことが今年の米国臨床腫瘍学会 (ASCO 2024) で報告されている (詳細はこちら) 。
今回の発表では、 第Ⅰ/Ⅱ相試験LOXO-RAS-20001で対象とされたKRAS G12C遺伝子変異陽性固形癌患者のうち、 未治療の進行/転移性NSCLCにおけるolomorasib+ペムブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤の併用療法(コホートB9)の安全性と治療成績が報告された。
主な評価項目は、 安全性、 最大耐量(MTD)、 第Ⅱ相試験推奨用量(RP2D)、 薬物動態、 RECISTv1.1基準に基づく奏効率(ORR)、 奏効期間(DoR)などであった。
年齢中央値67歳、 男性52%、 アジア人33%で、 PD-L1発現は1%未満が48%1-49%が43%、 50%以上が5%と、 9割以上がPD-L1陰性または低発現だった。
高Gradeの血球減少はcommonに発現したが、 血液学的毒性により化学療法の遅延や中止に至ったのは3例 (14%) だった。
Grade3以上の治療関連有害事象 (TRAE) 発現率は43%で、 主な症状は貧血 (19%)、 好中球減少 (24%)、 血小板減少 (14%)、 白血球減少 (19%) だった。
TRAEにより、 olomorasibの15%、 ペムブロリズマブの10%、 ペメトレキセドの10%、 プラチナ製剤の15%で投与が中止された。
治療期間中央値は4.5ヵ月 (範囲 0.3-10.7ヵ月) であり、 患者の76%が2024年7月5日のデータカットオフ時点で治療継続中だった。
有効性評価の対象となった20例において、 ORRは最良奏効が部分奏効だった患者を含めて50%と、 ペムブロリズマブ+olomorasib併用療法の有効性を検証した先行報告と比較して低かった。
病勢コントロール率は85% (95%CI 59-96%) だった。
藤原氏は 「KRAS G12C遺伝子変異陽性の進行/転移NSCLCに対する1次治療として、 olomorasib+ペムブロリズマブ+化学療法の併用は管理可能な安全性プロファイルを示し、 他の試験で観察された安全性と一致していた。
また、 ORRはペムブロリズマブ+olomorasibの有効性を検証した先行報告と比較して低かったものの、 PD-L1 低発現/陰性の高リスク集団におけるORRが50%と、 予備的な有効性が示された。
本試験の結果は、 NSCLCの1次治療において、 第2世代KRAS G12C阻害薬を標準治療の化学免疫療法レジメンに組み入れる実行可能性を支持するものである。 現在、 1次治療としてのolomorasib+ペムブロリズマブ+化学療法を検証する国際登録試験が進行中である」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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