HOKUTO編集部
3日前

米国臨床腫瘍学会 (ASCO) 2026年次総会が、 2026年5月29日 (金) ~6月2日 (火) に米・シカゴで開催される。 泌尿器領域では今年、 Plenaryに前立腺癌周術期のPROTEUS (LBA1) が選出されたほか、 TALAPRO-3、 EV-302、 KEYNOTE-905、 RAMPART、 SWOG S1823など、 前立腺・腎/膀胱・精巣の各領域でプラクティスチェンジ候補となるLBA/第Ⅲ相データが揃った。 本稿では編集部が事前選定した泌尿器6題を、 Plenary~Genitourinary各セッションの順で紹介する。
第Ⅲ相PROTEUSは、 高リスク局所~局所進行前立腺癌を対象に、 根治的前立腺全摘術 (RP) の前後でアパルタミド+ADTを併用するperioperative戦略を、 プラセボ+ADTと比較した試験である。 主要評価項目は病理学的完全奏効 (pCR) および無転移生存率 (MFS)。 結果次第では、 これまで術後ADT単独または短期内分泌療法が中心だった高リスク前立腺癌の周術期治療において、 ARSI上乗せが新たな標準となる可能性がある。 RT+ADT+ARSIによる強化レジメンとの位置付けも含め、 外科治療を選択する高リスク患者のマネジメントを大きく変えうるデータとして注目される。
HRR遺伝子変異を有する転移性ホルモン感受性前立腺癌 (mCSPC) を対象に、 タラゾパリブ (PARP阻害薬) +エンザルタミド (ARSI) 併用をプラセボ+エンザルタミドと比較した国際第Ⅲ相TALAPRO-3。 主要評価項目であるrPFSは有意な改善を示し、 事前規定の目標HR 0.63を上回る効果が得られたと発表されている。 OSについても中間解析で改善傾向が認められ、 BRCAおよびnon-BRCA HRR遺伝子変異のいずれでも一貫したrPFSベネフィットが示された。 mCRPCでのPROpelやTALAPRO-2に続き、 「HRR変異検出 → 早期治療ラインからARSI+PARP阻害薬」 というbiomarker-driven戦略をmCSPCへ拡張し得る基盤データとして注目される。
早期精巣胚細胞腫瘍 (GCT) のactive surveillance下にある患者を対象に、 循環血中miR-371a-3p (plasma miR-371) による活動性GCTの検出能を前向きに評価したSWOG S1823の初回中間解析。 S1823は、 新規診断GCT患者を対象とした前向き観察コホート研究で、 血漿miR-371の陽性適中率 (PPV) などのoperating characteristicsを検証する試験である。 従来のAFP・hCG・LDHを補完し得る血液バイオマーカーとして、 早期精巣癌の再発リスク層別化やサーベイランス最適化につながる可能性があり、 「血液バイオマーカーを組み込んだ精巣癌管理」 への展開を占う重要データとして注目される。
未治療の局所進行/転移性尿路上皮癌 (la/mUC) を対象に、 エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ (EV+P) と化学療法を比較した第Ⅲ相EV-302/KEYNOTE-A39の3.5年フォローアップ解析。 ASCO 2026の抄録では、 OS中央値がEV+P群33.6ヵ月、 化学療法群15.9ヵ月 (HR 0.53) と、 長期追跡でも生存ベネフィットが維持されたことが示されている。 EV+Pが1L la/mUCの標準療法として定着するうえで重要な更新データであり、 日本の実臨床における長期管理の参照値としても意義が大きい。
CDDP不適格の筋層浸潤性膀胱癌 (MIBC) に対し、 術前・術後にエンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブを投与する周術期戦略を膀胱全摘単独と比較した第3相KEYNOTE-905 (EV-303) のHRQoL解析。 本試験はEFS・OSの主要評価項目を達成し、 cisplatin非適応MIBCにおける新たな標準療法候補として既に注目されている。 今回のHRQoL解析では、 「周術期にIO+ADCを上乗せしてもQOLが維持できるか」 という、 CDDP不適格集団 (高齢・腎機能低下・PS不良が多い) に直結する論点が焦点。
切除後の中~高リスクRCCに対する術後療法として、 デュルバルマブ単剤 vs active monitoringを比較した国際第Ⅲ相RAMPART。 3:2:2の3群試験 (active monitoring/デュルバルマブ/デュルバルマブ+トレメリムマブ) のうち、 デュルバルマブ+トレメリムマブ併用群はESMO 2025でDFS改善が既報で、 本ASCOではデュルバルマブ単剤 vs active monitoringのhead-to-headが報告される。
今年のASCO泌尿器領域では、 Plenaryに前立腺癌のPROTEUS (LBA1) が選出され、 「外科+強化内分泌療法」 によるperioperative戦略の位置付けが大きな論点となりそうだ。 Oralセッションでは、 mCSPCのTALAPRO-3が 「HRR変異 → 1L PARP+ARSI併用」 というbiomarker-driven治療の可能性を示し、 SWOG S1823では 「血液バイオマーカーを用いた精巣癌サーベイランス」 の臨床応用に向けたデータが示される。
腎・膀胱領域では、 EV-302の3.5年フォローアップによりEV+Pの長期成績が更新されるほか、 KEYNOTE-905のHRQoL解析ではCDDP不適格MIBCに対する周術期治療の忍容性が焦点となる。 また、 RAMPARTでは術後IO単剤の意義があらためて検証される。 前立腺・腎/膀胱・精巣の3領域で、 治療強化と最適化の方向性を考えるうえで重要な演題が揃った。
ASCO 2026における泌尿器腫瘍の注目演題は、 がん研有明病院先端医療開発科の竹村弘司先生にご解説いただく予定です。

HOKUTOでは各演題のレポートを順次公開予定。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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