医療の最前線から
4ヶ月前
世界中の注目レビュー論文を紹介する新連載 「医療の最前線から」 です。 第4回は、2024年のJAMA誌に掲載された"腎細胞癌"に関するレビュー論文を取り上げます。
💡腎細胞癌の疫学について
💡腎細胞癌の組織型と遺伝的要因について
💡早期腎細胞癌の標準治療法について
💡リスク層別化と予後分類について
💡腎細胞癌の最新の治療動向について
原著論文で詳細を確認する
Renal Cell Carcinoma: A Review. JAMA. 2024 Aug 28. doi: 10.1001 PMID: 39196544
2022年に世界で434,840件が報告され、 米国では男性で6番目、 女性で9番目に多い癌である。 約37%から61%が腹部画像検査で偶然に発見される。 腎細胞癌診断時には70%がStage I、 11%がStage IVである。 転移は10%に認められ、 肺 (70%)、 リンパ節 (45%)、 骨 (32%)、 肝臓 (18%)、 副腎 (10%)、 脳 (8%) の順で多い。
💡論文内にはさらに詳細なリスク要因、 そしてBosniak分類を用いた偶発的にみつかった腎細胞癌のアルゴリズムが掲載されています。
最も一般的な組織型は淡明細胞型であり、 全体の75%から80%を占める。 この型は、 半数以上でvon Hippel Lindau (VHL) 遺伝子の不活化が主要な原因となっている。 また、 RCCの5%から16%が遺伝性癌症候群に関連しており、 特にVHL病や他の遺伝性疾患が関係している。
💡論文内にはさらに詳細な遺伝学的解説やわかりやすいfigureが掲載されています
部分的または根治的腎摘除術が標準的に推奨される。 4cm未満の患者では、 部分腎摘除によって5年間の癌特異的生存率が94%以上に達する。 また、 進行または転移性RCCに対しては、 免疫チェックポイント阻害剤とチロシンキナーゼ阻害剤の組み合わせが有効であり、 腫瘍反応率は42%から71%、 全生存期間の中央値は46から56ヵ月と報告されている。
💡論文内にはその他の治療選択肢や臨床試験結果について詳細にまとめられています。
進行または転移性RCCには、🔢IMDC分類が利用される。 このスコアは、 6つのリスク因子に基づき、 患者を層別化するものである。 低リスク群では2年間の全生存率が75%に達する一方、 高リスク群では7%と大きな差が見られる。 近年で、 このリスク層別化に基づく治療選択が生存率の改善に貢献していると示されている。
💡IMDC分類はHOKUTO計算ツールでも算出いただくことが可能です。
進行または転移性RCCの治療においては、 免疫療法が第一選択とされており、 特に免疫チェックポイント阻害剤とチロシンキナーゼ阻害剤の組み合わせ治療が効果的である。 例えば、 IpilimumabとNivolumabの併用療法では、 5年全生存率が43%に達し、 完全寛解率も高いことが報告されている。 リスク層別化に基づいた治療選択が、 治療効果の向上に大きく寄与している。
💡論文内にはその他の治療選択肢や臨床試験結果について詳細にまとめられています。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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