【SELECT-GCA】新規発症/再発巨細胞性動脈炎へのウパダシチニブで良好な寛解維持率
著者

HOKUTO編集部

3ヶ月前

【SELECT-GCA】新規発症/再発巨細胞性動脈炎へのウパダシチニブで良好な寛解維持率

【SELECT-GCA】新規発症/再発巨細胞性動脈炎へのウパダシチニブで良好な寛解維持率
新規発症または再発性巨細胞性動脈炎(GCA)患者における選択的JAK阻害薬ウパダシチニブ (UPA) *+グルココルチコイド (GC) 漸減投与の効果について、 プラセボ+GC漸減投与を対照に検証した第Ⅲ相多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験SELECT-GCAの主解析の結果より、 UPA15mg+26週間のGC漸減併用療法で良好な寛解維持率が示された。 ベルギー・University Hospitals LeuvenのDaniel Blockmans氏が発表した。 
*GCAを適応症とした治療薬としてウパダシチニブは未承認

GCAに対するUPAの有効性を検討

GCAは一般的に50歳以上が罹患する全身性血管炎で、 高度な標的療法の選択肢は限られており、 GCが依然として第一選択薬である。

 

JAK依存性サイトカインIL-6およびインターフェロンガンマ (IFN-γ) はGCAの病因に強く関与しており、 UPAはIL-6とIFN-γを強力に阻害するため、 GCAに有効である可能性がある。 SELECT-GCA試験では、 GCAに対するUPAとGC漸減投与を組み合わせた治療の有効性および安全性が評価され、 今回は主解析である52週時の結果が報告された。

主要評価項目は12~52週の寛解維持

対象

ベースライン前に40mg/日以上のprednisoneによる治療歴があり、 ベースライン時に20mg/日以上のprednisoneを服用していた50歳以上の新規発症または再発性のGCA患者

JAK阻害薬の投与歴を有する患者、 ベースライン前4週以内にIL-6阻害薬の効果が不十分であった患者、 GCの全身投与が慢性的に行われていた患者は除外された。

方法

420例が以下の3群に2 : 1 : 1の割合で無作為に割り付けられた。

  • UPA15群 : 210例
UPA 15mgを1日1回投与+26週間のGC漸減投与
  • UPA7.5群 : 105例
UPA 7.5mgを1日1回投与+26週間のGC漸減投与
  • プラセボ群 : 105例
プラセボを1日1回投与+52週間のGC漸減投与

評価項目

主要評価項目

投与12~52週の寛解維持*¹

*1 : 「投与12~52週にGCAの徴候および症状がなく、 該当する試験期間にわたって治験実施計画書に規定されたステロイド漸減投与計画を遵守していること」 と定義された

副次的評価項目

投与12~52週の完全寛解維持*²、 疾患再燃*³関連評価、 患者報告アウトカム、 GC累積暴露量、 治療関連有害事象(TEAE)

*2 : 「投与12~52週にGCAの徴候および症状がなく、 治験実施計画書に規定されたステロイド漸減投与計画を遵守し、 赤血球沈降速度 (ESR) および高感度C反応性タンパク質 (hsCRP) がいずれも正常化していること」 と定義された
*3 : 「担当医により、 GCAの徴候または症状の再発、 またはESR>30mm/hr (GCAに起因する) でGCの増量が必要と判断された状態」 と定義された

UPA15mg群の寛解維持率は46.4%

患者背景

(UPA15群、 UPA7.5群、 プラセボ群)
  • 年齢中央値 : 70.8歳、 71.1歳、 71.6歳
  • 男性 : 25.4%、 25.2%、 31.3%
  • アジア人 : 4.8%、 5.6%、 5.4%
  • 新規発症例 : 70.8%、 70.1%、 67.9%
  • 再発例 : 29.2%、 29.9%、 32.1%
  • ベースライン時のGC投与量の中央値 :

34.6mg、 34.5mg、 34.6mg

主要評価項目

投与12~52週の寛解維持率

  • UPA15群 : 46.4%
  • UPA7.5群 : 41.1%
  • プラセボ群 : 29.0%
UPA15群 vs プラセボ群 p=0.0019
UPA7.5群 vs プラセボ群 p=0.0579

副次評価項目

投与12~52週の完全寛解維持率

  • UPA15mg群 : 37.1%
  • UPA7.5mg群 : 26.2%
  • プラセボ群 : 16.1%
UPA15mg群 vs プラセボ群 p<0.0001
UPA7.5mg群 vs プラセボ群 p=0.0699

52週までのGC累積暴露量 (中央値)

  • UPA15群 : 1,615mg
  • UPA7.5群 : 1,905mg
  • プラセボ群 : 2,882mg
UPA15群 vs プラセボ群 p<0.0001
UPA7.5群 vs プラセボ群 p<0.0001

疾患再燃関連評価

【投与52週目までに少なくとも1回の再燃が認められた患者の割合】

  • UPA15群 : 34.3%
  • UPA7.5群 : 41.3%
  • プラセボ群 : 55.6%
UPA15群 vs プラセボ群 p=0.0014
UPA7.5群 vs プラセボ群 p=0.0633

【初回再燃までの期間 (中央値 [95%CI] ) 】

  • UPA15T群 : NE 
(NE-NE)
  • UPA7.5群 : NE 
(45.14週-NE)
  • プラセボ群 : 46.1週 
(35.57週-NE)
UPA15群 vs プラセボ群
 HR 0.57 (0.399-0.826) 、 p=0.0025
UPA7.5群 vs プラセボ群
 HR 0.75 (0.499-1.136) 、 p=0.1778

有害事象 (AE) の発現率 (100患者年あたり)

【全GradeのTEAE】

  • UPA15群 : 817.7件
  • UPA7.5群 : 674.8件
  • プラセボ群 : 748.6件

【重篤なTEAE】

  • UPA15群 : 36.5件
  • UPA7.5群 : 28.3件
  • プラセボ群 : 42.4件

【投与中止に至ったAE】

  • UPA15群 : 23.0件
  • UPA7.5群 : 30.5件
  • プラセボ群 : 32.9件

UPA15mgが新たな標的治療薬に

Blockmans氏は 「新規発症または再発性のGCAにおいて、 UPA15mg+26週間のGC漸減投与の併用は、 プラセボ+52週間のGC漸減投与の併用と比較して優れた有効性を示し、 GCの使用を減少させた。 またUPA15mgの忍容性は良好であり、 新たな安全性シグナルは認められなかった。 一方でUPA7.5mg+26週間のGC漸減投与は主要評価項目およびいずれの副次評価項目も達成しなかった。 以上の結果より、 UPA15mgはGCAに対する新たな経口の標的治療薬となる可能性が示された」 と報告した。

関連コンテンツ

【EULAR 2024参加印象記】注目の5セッション

亀田総合病院・小田修宏氏寄稿

ポストのGif画像
【SELECT-GCA】新規発症/再発巨細胞性動脈炎へのウパダシチニブで良好な寛解維持率の全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
HOKUTOのロゴ
HOKUTOのロゴ
今すぐ無料ダウンロード!
様々な分野の医師
様々な分野の医師
【SELECT-GCA】新規発症/再発巨細胞性動脈炎へのウパダシチニブで良好な寛解維持率