Liu Dらは、 心血管疾患 (CVD) またはがんを発症していない合計171、 616名を対象に、 砂糖入りコーヒー、 人工甘味料入りコーヒー、 無糖コーヒーの摂取と死亡リスク低減との関連を検討する前向きコホート研究を実施. その結果、 無糖および砂糖入りコーヒーの適度な摂取は、 死亡リスクの低下と関連していることが明らかとなった. 本研究はAnn Intern Med誌において発表された.
背景
- 従来の観察研究においてコーヒー摂取と死亡リスク低減との関連が示唆されてきた.
- しかし、これらの研究ではコーヒーに砂糖や人工甘味料を含むかどうか検証はなされていなかった.
研究デザイン
- 砂糖入り、 人工甘味料入り、 糖類無添加のコーヒー摂取と死亡リスク低下との関連を前向きコホート研究で評価した.
- 人口統計学的データ、ライフスタイル、食事データを2009年から2018年まで追跡した「英国バイオバンク」のデータを用いた.
- 心血管疾患またはがんを発症していない171,616名 (平均年齢 55.6歳) を抽出した.
- 砂糖入り、 人工甘味料入り、 糖類無添加コーヒーの摂取量は自己申告で、 それぞれの全死因死亡、 がん関連死亡、 CVD関連死亡を推定した.
研究結果
- 中央値7.0年の追跡期間中に3,177人の死亡が記録された (がん死亡 1725人、 CVD死亡 628人).
- 糖類無添加コーヒーの消費者は、 非消費者よりも全死因死亡リスクが低かった.
- 糖類無添加コーヒー消費量別のハザード比は以下の通りであった.
- 0~1.5杯/日:0.79 (95%CI、 0.70~0.90)
- 1.5~2.5杯/日:0.84 (CI、 0.74~0.95)
- 2.5~3.5杯/日:0.71 (CI、 0.62~0.82)
- 3.5~4.5杯/日:0.71 (CI、 0.60~0.84)
- > 4.5杯/日:0.77 (CI、 0.65~0.91)
- 砂糖入りコーヒー消費量別のハザード比は以下の通りであった.
- 0~1.5杯/日:0.91 (CI、 0.78~1.07)
- 1.5~2.5杯/日:0.69 (CI、 0.57~0.84)
- 2.5~3.5杯/日:0.72 (CI、 0.57~0.91)
- 3.5~4.5杯/日:0.79 (CI、 0.60~1.06)
- > 4.5杯/日:1.05 (CI、 0.82~1.36)
- 人工甘味料入りのコーヒーと死亡率との関連は、 一貫性が見られなかった.
- コーヒー飲用とがんおよびCVDによる死亡率との関連は、 全死因死亡率との関連とほぼ一致していた.
結論
無糖および砂糖入りコーヒーの適度な摂取は、 死亡リスクの低下と関連していた.
原著
Liu D、 et al、 Association of Sugar-Sweetened、 Artificially Sweetened、 and Unsweetened Coffee Consumption With All-Cause and Cause-Specific Mortality : A Large Prospective Cohort Study. Ann Intern Med. 2022 May 31. doi: 10.7326/M21-2977.PMID: 35635846