破傷風トキソイド (ハトキ) の接種基準|外傷での破傷風予防と破傷風の症状
著者

HOKUTO編集部

2年前

破傷風トキソイド (ハトキ) の接種基準|外傷での破傷風予防と破傷風の症状

破傷風トキソイド接種とは?

破傷風トキソイドと抗破傷風ヒト免疫グロブリン (Tetanus Immune Globulin:TIG) は、 創部や土壌汚染による感染が多い「破傷風」の発症を予防するために投与される。 米国では、 創部の状態や過去の予防接種歴から、 投与を判断することが推奨されている¹⁾²⁾。

❶まずは破傷風リスクを判断

ACS (米国外科学会) の創分類

American College of Surgeons
破傷風トキソイド (ハトキ) の接種基準|外傷での破傷風予防と破傷風の症状
参考文献2の日本語訳をもとにHOKUTO編集部で作成

❷実際の接種スケジュール

破傷風トキソイド (ハトキ) の接種基準|外傷での破傷風予防と破傷風の症状
破傷風抗毒素抗体価は約10年で発症防御レベルを下回るといわれており、 接種にあたっては過去の予防接種の回数、 最終接種時期を患者から聴取する必要がある。

破傷風リスクが高い創²⁾

 (1) 接種歴不明 or 接種歴3回未満

TIG投与+破傷風トキソイドを3回接種

  1. 受傷時に1回目接種
  2. その3~8週後に2回目接種
  3. その6~18か月後に3回目接種

 (2) 接種歴3回以上+最終接種から5年以上経過

破傷風トキソイドを1回接種 (対象者が免疫不全状態であれば、 破傷風トキソイド接種歴に関わらずTIG使用)

 (3) それ以外の場合

接種は不要

破傷風リスクが低い創²⁾

 (1) 接種歴不明 or 接種歴3回未満

破傷風トキソイドを3回接種

  1. 受傷時に1回目接種
  2. その3~8週後に2回目接種
  3. その6~18か月後に3回目接種

 (2) 接種歴3回以上+最終接種から10年以上経過

破傷風トキソイドを1回接種

 (3) それ以外の場合

接種は不要

破傷風とは

原因

クロストリジウム属の破傷風菌 (Clostridium tetani) による感染症で創部や土壌汚染による感染が多い

病態

破傷風菌の毒素テタノスパスミンによる神経毒、 溶血毒。 神経毒で脳や脊髄に作用し中枢神経症状が出現する。 潜伏期は3〜14日

症状と診断

臨床症状と病歴から診断する。

第1期: 開口障害 (牙関緊急)

※顔面筋の強いひきつりにより開口障害出現

第2期: 全身痙攣、 顔面筋の痙攣 (痙笑)

第3期: 後弓反張(opisthotonos)

※強直性痙攣が起き始め重症化すると全身が弓なりになる

治療

エビデンスのある特異的治療は乏しい。 ヒト破傷風免疫グロブリン(HTIG)の投与や、 痙攣のコントロール、気道・全身管理などの支持療法が主となる。

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参考文献

  1. 一般社団法人 日本ワクチン産業協会. 「予防接種に関するQ&A集 2022年版」. 2022, 316p
  2. 国立感染症研究所 感染症情報センター「外傷後の破傷風予防のための破傷風トキソイドワクチンおよび抗破傷風ヒト免疫グロブリン投与と破傷風の治療」http://idsc.nih.go.jp/iasr/23/263/dj2632.html (参照:2023/2/21)
最終更新:2023年4月28日 
監修医師:聖路加国際病院 救急部 清水真人

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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

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