海外ジャーナルクラブ
3ヶ月前
Liらは、 米国の一般外科研修医を対象に、 妊娠および育児の経験と、 それらに関連する不当な扱いや妊娠転帰についてコホート研究で調査した。 その結果、 女性研修医は男性研修医と比較して、 妊娠や育児による不当な扱いの経験が多く、 産後うつ病の発症リスクも高いことが明らかになった。 本研究はJAMA Surgにて発表された。
外科の女性研修医のみではなく、 全科で考えなくてはならない課題です。 手術専門職以外でも、 それぞれの科で女性研修医ならではの負担があると思います。
本研究は、 2021年の米国外科専門医研修試験後、 ACGME (米国卒後医学教育認定評議会) によって認定された一般外科研修医を対象とした全国横断調査である。
臨床研修中に妊娠を報告した女性研修医およびパートナーが妊娠した男性研修医に対し、 妊娠や育児に関する不当な扱いなどを質問した。
主要評価項目は、 男女間における産科合併症・産後うつ病発症の比較とした。
副次評価項目には、 生殖補助医療技術の使用、 妊娠・育児に基づく不当な扱い、 新生児合併症、 およびウェルビーイングなどの妊娠と育児に関する支援の認識が含まれ、 いずれも男女間で比較検証された。
325施設から5,692人が参加し、 回答率は81.2%だった。 そのうち16.8% (957人) が、 臨床研修中に妊娠を報告した。
結果、 女性は男性に比べ、 研修のために挙児を遅らせることが多く (女性46.8% vs 男性32.7%)、 妊娠や育児に基づく不当な扱いの経験頻度も高かった (58.1% vs 30.5%)。
女性は男性に比べて、 産科合併症および産後うつ病の発症リスクが高かった。
妊娠や育児に基づく不当な扱いは、 燃え尽き症候群や離職念慮とも関連していた。
産後うつ病は、 燃え尽き症候群や離職念慮、 希死念慮と性別にかかわらず関連していた。
著者らは 「妊娠や育児に基づく不当な扱いや産科合併症、 産後うつ病のリスクは女性性と関連があり、 性別による離職率の増加に繋がる可能性が高いことが示唆された。 手術専門分野での男女平等を推進し、 母子の健康を守るためには、 体系的な変化が必要である」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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