海外ジャーナルクラブ
1年前
Savageらは、 急性副鼻腔炎の小児患者を対象に、 アモキシシリン・クラブラン酸とアモキシシリンの効果をコホート研究で比較検討した。 その結果、 治療失敗の割合に差は見られなかったが、 クラブラン酸/アモキシシリンの使用は消化器症状やイースト菌感染のリスクが高いことが示された。 本研究はJAMA誌において発表された。
研究デザイン自体はコホート研究であり、 本来あまり強い結論には至れません。 しかしながら、 小児急性副鼻腔炎に対するアモキシシリン・クラブラン酸の安易な処方に対する制限の大きな流れからJAMA誌に採用されたもの、 と考えます。
クラブラン酸/アモキシシリン
サワシリンカプセル125 / カプセル250 / 錠250 / 細粒10%
アモキシシリン
急性副鼻腔炎は、 小児における抗菌薬処方の最も一般的な適応症の一つであり、 米国では年間推定490万件が処方されている。 しかし最適な経験的抗菌薬治療に関するコンセンサスは存在しない。
急性副鼻腔炎と診断された17歳以下の新規外来患者で、 診断の同日にアモキシシリン・クラブラン酸またはアモキシシリンの処方をうけた症例
コホート登録から1~14日目の治療失敗
治療失敗は全体で1.7%にみられ、 重篤な治療失敗 (救急部または入院での受診) は0.01%であった。
治療失敗のリスクは、両群間で差を認めなかった。
リスク比 (RR) 0.98、 95%CI:0.92-1.05
患者を年齢で層別化すると、 アモキシシリン・クラブラン酸群の治療失敗リスクは下記のようになった。
アモキシシリン・クラブラン酸群では消化器症状とイースト菌感染のリスクが高かった。
アモキシシリン・クラブラン酸とアモキシシリンの間で急性副鼻腔炎の小児患者に対する治療効果に有意差は見られなかったが、 アモキシシリン・クラブラン酸の使用は消化器症状とイースト菌感染のリスク増加と関連していた。 これらの知見は、 急性副鼻腔炎の経験的抗菌薬治療における薬剤選択の決定に役立つと考えられる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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