HOKUTO編集部
2ヶ月前
切除可能な胃癌・食道胃接合部腺癌患者において、 術前・術後のエピルビシン+シスプラチン+5-FU (ECF)療法または5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン+ドセタキセル(FLOT)療法に術前CRTの上乗せ効果を検証した第Ⅲ相国際共同無作為化比較試験TOPGEARの結果より、 OSの改善は認められなかった。 オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのTrevor Leong氏が発表した。同詳細はN Engl J Med. 2024年9月14日オンライン版に同時掲載された。
欧米諸国では、 切除可能な胃癌に対する現在の標準治療は手術+周術期化学療法である。 術前化学放射線療法 (CRT) も検討されているものの、 周術期化学療法単独との比較を行ったデータは限られている。
TOPGEAR試験では、 周術期化学療法に術前CRTを追加することで、 病理学的完全奏効(pCR)率および全生存期間 (OS) が改善するという仮定を立て、 その有効性が検証された。
Siewert分類type IIで食道浸潤が2cm以下、 またはSiewert分類type IIIの胃腺癌および食道胃接合部腺癌で、 Stage ⅠB~ⅢC (T3-4 および/またはN陽性) の患者574例を対象にした。
患者は以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目はOSだった。
副次的評価項目には無増悪生存期間 (PFS)、 pCR率、 手術合併症を含む有害事象、 QOLが設定された。
年齢や性別、 原発部位、 cT因子、 cN因子等の両群の患者背景は概ね一致していた。
手術・病理の結果、 R0切除率は術前CRT群が92.4%、周術期CT群が87.7%だった (p=0.09)。
ypTNMステージはypT0/ypTisが術前CRT群で16.5%、 周術期CT群で7.3% (p<0.001)、 ypN陰性は術前CRT群で54.1%、 周術期CT群で42.3% (p<0.01) だった。
また、 pCR率は術前CRT群が16.8%であり、周術期CT群の8.0%に対して有意に改善した (p<0.0001)。
OS中央値は術前CRT群が46.4ヵ月で、 周術期CT群の49.4ヵ月に対して優越性は証明されなかった (HR 1.05 [95%CI 0.83-1.31]、 p=0.70)。
術前CRT群 / 周術期CT群でそれぞれ、 3年OS率は55.1% / 57.7%、 5年OS率は44.4% / 45.7%だった。
またOSサブグループ解析の結果、 術前CRT群の周術期CT群に対する優位性が明らかに示されたサブグループは確認されなかった。
PFS中央値は術前CRT群が31.4ヵ月、周術期CT群が31.8ヵ月、HR 0.98 (95%CI 0.79-1.22)、 p=0.86で、 OSと同様に両群間で有意差を示さなかった。
術前CRT群 / 周術期CT群でそれぞれ、 3年時PFS率は46.5% / 47.7%、 5年PFS率は39.7% / 40.1%だった。
Grade3以上の有害事象 (AE) 発現率は術前CRT群の66.4%、 周術期CT群の61.3%で両群間に大きな差はなかった(p=0.22)。
Grade3以上の手術合併症の出現率は、 術前CRT群17.8%、 周術期CT群15.6%と、 AEと同様に差はなかった (p=0.52)。
Leong氏は 「切除可能な胃腺癌および食道胃接合部腺癌の周術期化学療法に術前CRTを上乗せしても、 OSは改善しなかった。 なお術前CRTは毒性や手術合併症の増加には関連しておらず、 pCR率を改善した」 と報告した。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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