HOKUTO編集部
4ヶ月前
2024年4月に公開された「HTLV-1キャリア診療ガイドライン2024」¹⁾について、 藤重夫先生 (大阪国際がんセンター血液内科副部長) に講評いただいた。
HTLV-1は、 教科書的には 「九州以南の風土病」 のような印象を受ける方が多いかもしれない。
しかし、 近年の人口移動の影響で、 東京や大阪などの大都市でもHTLV-1関連疾患の増加が報告されている。 本稿では、 HTLV-1感染疑い患者の対応に悩んだ際に、 本ガイドラインが役立つポイントについて解説する。
HTLV-1感染の診断フローを示す。 抗HTLV-1抗体の検査は、 スクリーニング (一次検査) と確認検査の2段階で行われる。詳細は 「HTLV-1感染の診断指針」 ²⁾を参照されたい。
HTLV-1プロウイルス定量PCRは、 感染細胞の増減を把握するための有用な検査として世界的にも認識されているが、 本邦でも保険適用の対象が限定的である。
HTLV-1キャリアにおける、 HTLV-1関連疾患の発症リスク評価とその後のフォローを示す。 保険適用外の検査が複数あるため、 実施可能な医療機関が限られることに注意する。
なお、自施設での対応が難しい場合は、 保険適用外の検査が可能な専門施設へ紹介することをお勧めする。 詳細はHTLV-1情報ポータルサイト³⁾の 「JSPFAD実施医療機関」 を参照されたい。
ガイドラインにはQ&Aも記載されているので参考にされたい。 しかし、 特に疫学的な問題で、 データ不足により確定的な結論を出せていないのが現状である。
例えば針刺し事故時の対応 (Q1) では、 医療者だけでなく患者の抗HTLV-1抗体の確認も推奨されている。 しかし、 地域によっては抗体の確認はほとんど行われていないと予想される。 実際に、 HTLV-1が針刺し事故でどの程度感染する可能性があるのかもよくわかっていない。
今後、 さらなるデータの収集・充実が望まれる。
<出典>
1) 日本HTLV-1学会監 : HTLV-1キャリア診療ガイドライン2024.
2) HTLV-1感染の診断指針第3版 (2024年3月) .
3) HTLV-1情報ポータルサイト. 2024年6月13日閲覧.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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