海外ジャーナルクラブ
4ヶ月前
Yamaguchiらは、 HER2陽性進行胃癌または食道胃接合部 (G/GEJ) 癌を対象に、 トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd) の有効性に及ぼすゲノム変異の影響について、 わが国のデータベースを用いた後ろ向き研究で検討。 その結果、 CCNE1増幅がT-DXdに対する一次耐性をもたらす可能性が示唆された。 本研究はJCO Precis Oncolにおいて発表された。
結果のp値のいくつかが0.04台であることから borderline significanceとlimitationに記載されていますが、 仮説の提唱という意味では十分な研究成果です。
T-DXdに対する反応および耐性に、 ゲノム変異が及ぼす影響は不明である。 そこで本試験では、 G/GEJ癌において、 T-DXdに対する感受性の予測因子を同定することを目的とした。
進行G/GEJ癌患者について、 日本の全国的データベースから得た実臨床データおよび次世代シーケンサーによる包括的ゲノムプロファイリングデータを使用した後ろ向き研究。
ゲノム変異とT-DXd治療後の生存の関連について検討した。
CCNE1の増幅は、 T-DXdによる治療後の無増悪生存期間 (PFS) 短縮の有意な予測因子であった。
PFS中央値 : 増幅あり 131日 vs 増幅なし 189日
HR 1.90 (95%CI 1.02-3.53)、 p=0.044
p<0.0001
ERBB2変異陽性例
mPFS : 105日
T-DXdによる治療後を受けたERBB2変異陰性例
mPFS : 180日
p=0.046
著者らは 「HER2陽性G/GEJ癌において、 CCNE1増幅はT-DXdに対する一次耐性をもたらす可能性があり、 CCNE1/ERBB2共増幅腫瘍において細胞周期が治療標的候補となり得ることを示唆している。 ERBB2活性化変異も、 HER2陽性食道胃接合部癌におけるT-DXdの有効性を減弱させる可能性がある」 と結論付けている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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