海外ジャーナルクラブ
2ヶ月前
近畿大学内科学教室主任教授の工藤正俊氏らの研究グループは、 切除不能な非転移性肝細胞癌 (HCC) 患者を対象として、 肝動脈化学塞栓療法 (TACE) +マルチキナーゼ阻害薬レンバチニブ+抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用療法の有効性および安全性について、 TACE+プラセボを対照に第Ⅲ相国際共同二重盲検無作為化比較試験LEAP-012で検証した。 その結果、 併用療法の無増悪生存期間 (PFS) は有意に改善し、 TACE+プラセボに対する優越性が検証された。 本研究は、 Lancet誌にて発表された。
サンプルサイズは、 COVID-19パンデミックによる症例登録の遅れが主な理由で、 プロトコル修正に基づき950から450に調整されています。
【LEAP-012】中間期肝細胞癌へのレンバチニブ+ペムブロリズマブ+TACEでPFS改善
TACEは、 切除不能な非転移性HCCの標準治療である。 本研究では、 この標準治療にレンバチニブとペムブロリズマブを併用することで、 PFSおよび全生存期間(OS)が改善するという仮説を立て、 検証した。
18歳以上でECOG PS 0または1、 Child-Pugh分類Aの切除不能な非転移性HCC患者480例が、 以下の2群に1 : 1で無作為に割り付けられた。
主要評価項目は、 盲検下独立中央審査 (BICR) によるRECISTv1.1基準に基づくPFSとOSだった。
最初の中間解析 (PFSの最終解析) の結果を以下に示す。 データカットオフは2024年1月30日、 追跡期間中央値は25.6ヵ月 (IQR 19.5-32.4) であった。
主要評価項目であるPFS中央値を以下の通り。 併用療法群のTACE単独群に対する優越性が示された。
- 併用療法群 : 14.6ヵ月(95%CI 12.6-16.7ヵ月)
- TACE単独群 : 10.0ヵ月 (95%CI 8.1-12.2ヵ月)
HR 0.66 (95%CI 0.51-0.84)、 p=0.0002
24ヵ月OS率を以下の通りだった。
- 併用療法群 :75% (95%CI 68-80%)
- TACE単独群:69% (95%CI 62-74%)
HR 0.80 (同 0.57-1.11)、 p=0.087
Grade3以上の治療関連有害事象 (TRAE) の発現率は、 併用療法群が71%、 TACE単独群が32%であった。
多く認められたTRAEは、 高血圧 (併用療法群24%、 TACE単独群7%) 、 血小板数減少 (併用療法群11%、 TACE単独群6%) であった。
死亡に至ったTRAEは、 併用療法群が4例 (肝不全、 消化管出血、 筋炎、 免疫介在性肝炎が各1例)、 TACE単独群が1例 (脳幹出血) であった。
著者らは 「切除不能な非転移性HCC患者に対するTACE+レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法によりPFSは有意に改善し、 TACE+プラセボに対する優越性が証明された。 OSも改善傾向を示したが、 今後、 さらに長期的な追跡が必要である」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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