海外ジャーナルクラブ
16時間前

おおば脳神経外科・頭痛クリニック副院長の大場さとみ氏らの研究グループは、 わが国の片頭痛の疫学・治療・ケアに関する観察調査OVERCOME Japanの第2回調査データを解析し、 片頭痛患者の社会人口学的背景と患者報告アウトカム (PRO ) や治療パターンとの関連について検討。 その結果、 女性、 無職、 月経関連片頭痛、 低所得、 高齢家族の介護といった特定の社会人口学的因子が片頭痛の負担や処方薬の使用状況と関連する可能性が示された。 解析結果はPain Ther誌に発表された。
世帯収入のデータは収集したものの、 配偶者・パートナー個人の収入や、 世帯内での医療費支出に関する意思決定を把握していないため、 本人および配偶者の所得が片頭痛治療に与える影響を十分に評価できない可能性があることに留意が必要です。
🔢 HIT-6 (Headache Impact Test-6)
📖【Ann Intern Med】片頭痛発作へのトリプタン系薬、 他剤より有効?
片頭痛が個人の生活にもたらす負担は、 その人の背景に関連する。 一方、 日本では年齢や性別、 就労状況、 収入、 家族介護の状況と、 PROや片頭痛の治療パターンとの関連について、 十分なエビデンスがない。 そこで、 本解析では人口統計学的サブグループ別に片頭痛による負担と治療薬の使用状況について検討した。
対象は、 片頭痛の疫学・治療・ケアに関する全国横断オンライン調査OVERCOME Japanの第2回調査で、 片頭痛を有すると判定された回答者。 回答者は人口統計学的・臨床的特徴に加え、 Headache Impact Test-6 (HIT-6)、 片頭痛障害評価尺度 (MIDAS)、 片頭痛特異的QOL質問票version 2.1 (MSQ v2.1)、 片頭痛発作間欠期負担スケール (MIBS-4)、 Impact of Migraine on Partners and Adolescent Children Scale (IMPAC) といったPRO評価尺度への回答を自己報告した。 また片頭痛に対する一般用医薬品 (OTC)・処方薬の使用状況と頭痛関連費用も自己報告した。
記述統計は性別、 就労状況、 月経関連片頭痛の有無と頻度、 個人および世帯の年間収入、 年齢、 高齢の家族介護の有無別に集計された。
女性、 無職、 月経関連片頭痛、 個人または世帯の年間収入が低いこと、 高齢家族の介護をしていることは、 片頭痛の負担の増大に関連し、 処方薬の使用状況にも影響を及ぼす傾向が認められた。
治療パターンをみると、 トリプタンの使用割合は、 男性の11.7%に対して、 女性では8.7%と低かった。 片頭痛予防薬の使用割合も、 男性の18.3%に対して、 女性では11.2%と低かった。
就労状況別にみると、 MIDASでgrade IV (日常生活に重度の支障あり) に該当する割合は無職の女性が14.1%と最も高かった。
MIBS-4で重度に該当する割合は、 月経関連片頭痛のない女性の27.8%に対して、 月経関連片頭痛がある女性では36.3%と高かった。 また、 同割合は介護をしていない回答者の26.0%と比べて高齢家族の介護中の回答者で39.2%と高く、 高齢家族の介護中の回答者では処方薬の使用割合も高い傾向が認められた。 さらに、 就労状況・収入のサブグループ内でも、 性差が片頭痛による負担と治療パターンに影響を及ぼしている可能性が示された。
著者らは、 「女性、 無職、 月経関連片頭痛、 低収入、 高齢家族の介護といった背景を持つ一部の社会人口学的集団において、 片頭痛による負担が大きく、 効果的な治療やケアへのアクセスが限られている可能性が示された」 と結論。 その上で 「医療従事者や社会にとって、 今回の解析結果がこうした患者集団の特定や臨床ケアにおける格差の解消の一助となることが期待される」 と述べている。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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