HOKUTO編集部
5日前

抗菌薬治療歴のない肺MAC症の新規診断例を対象に、 多剤併用療法にアミカシンリポソーム吸入用懸濁液 (ALIS) を併用することの有効性と安全性を評価した国際共同第Ⅲb相ENCORE試験において、 喀痰培養陰性化を達成した患者の再発率の解析結果が報告された。 同解析では、 多剤併用療法にALISを併用した群 (ALIS群) における15ヵ月までの再発率は、 多剤併用療法と空リポソームを投与した群 (対照群) と比べて半減したことが示された。 オランダ・Radboud University Medical CenterのJakko van Ingen氏が発表した。
Mycobacterium avium complex (MAC) を原因とする肺MAC症は非結核性抗酸菌症のなかで最も多い疾患である。 肺MAC症の予後は不良であるが、 多剤併用療法を受けた患者の40%超が喀痰培養陰性化に至らず、 陰性化を達成しても最大で約30%が再発する可能性があるとされている。
ALISは肺MAC症の併用療法で用いる治療薬の1つとして承認されているが、 その適用は限定されている。 国内では多剤併用療法による前治療で効果不十分な患者に限られ、 米国では6ヵ月間の多剤併用療法を受けても培養陰性化を達成できない患者が対象とされている。 一方、 ENCORE試験では、 抗菌薬治療歴のない非空洞性肺MAC症の成人を対象に、 多剤併用療法へのALIS追加の有効性および安全性が評価された。 主解析では、 13ヵ月時点の呼吸器症状スコア (RSS) の変化量ならびに6・12・13ヵ月時点の培養陰性化率が、 いずれも対照群と比べてALIS群で有意に良好であり、 その結果は米国胸部学会 (ATS) 2026で報告されている。
今回は、 同試験で培養陰性化を達成した患者の再発率の解析結果が報告された。
ENCORE試験は、 抗菌薬治療歴のない成人の非空洞性肺MAC症の新規診断例を対象とした国際共同第Ⅲb相二重盲検無作為化比較試験である。 同試験では、 適格患者425例を以下の群に1:1で無作為に割り付けた。
・ALIS群 (213例)
・対照群 (212例)
本解析では培養陰性化例の15ヵ月までの再発を評価した。 再発は培養陰性化を達成した後に以下のいずれかが認められた場合と定義した。
・固形培地で1回以上MAC培養陽性
・連続する2回以上の来院で液体培地においてMAC培養陽性
さらに、 全ゲノムシークエンスにより、 再発例を再燃 (同一菌種かつSNP差40未満) と新規感染 (異なる菌種、 または同一菌種かつSNP差40以上) に判別した。
培養陰性化を達成した患者 (ALIS群201例、 対照群165例) における15ヵ月までの再発率は、 ALIS群で24.9%、 対照群で47.9%であり、 ALIS群では対照群と比べてほぼ半減していた。
再発例における再燃と新規感染の比は、 ALIS群で1:2、 対照群で3:4であり、 ALIS群では対照群と比べて再燃の割合が低かった。 月別の再発率は両群とも概ね一定で、 特定の時期への集中は認めなかった。
6ヵ月時点の培養陰性化率はALIS群で87.8%、 対照群で57.0%、 12ヵ月時点ではそれぞれ84.7%、 61.3%、 13ヵ月時点ではそれぞれ82.4%、 55.6%であり、 いずれの時点においても対照群と比べてALIS群で高かった。 また、 治療終了から3ヵ月後にあたる15ヵ月時点の持続的培養陰性化率もALIS群で76.2%、 対照群で47.6%であり、 対照群と比べてALIS群で高かった (すべてp<0.0001)。
ベースラインからのRSSの改善度は15ヵ月時点でもALIS群で良好であり、 群間差は4.80点 (名目上のp=0.0015) であった。
有害事象の多くは軽度から中等度で、 新たな安全性シグナルは認められなかった。 死亡は各群1例で、 いずれも治験薬との関連は否定された。
van Ingen氏は、 「抗菌薬治療歴のない肺MAC症の新規診断例において、 多剤併用療法へのALISの上乗せにより治療終了後の培養陰性化の持続が得られ、 より低い再発率が認められた。 この解析結果は、 肺MAC症の治療アウトカムにおける意義のある改善を示すものであり、 ALISと多剤併用療法の併用が肺MAC症の新規診断例に対する有効な治療選択肢となり得ることを支持するものである」 と結論付けた。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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