【Ann Surg】術後の性機能障害、 ロボット vs 腹腔鏡
著者

海外ジャーナルクラブ

13日前

【Ann Surg】術後の性機能障害、 ロボット vs 腹腔鏡

【Ann Surg】術後の性機能障害、 ロボット vs 腹腔鏡
横浜市立大学市民総合医療センター講師の沼田正勝氏らは、 直腸癌の男性患者を対象に、 手術が性機能に与える影響を前向き多施設共同第Ⅱ相試験LANDMARCで検討した。 その結果、 ロボット支援下手術では腹腔鏡下手術と比較し、 射精障害や性交障害の発生率が低いことが示された。 本研究はAnn Surg誌にて発表された。 

📘原著論文

Prospective Multicenter Comprehensive Survey on Male Sexual Dysfunction following Laparoscopic, Robotic, and Transanal Approaches for Rectal Cancer (the LANDMARC Study). Ann Surg. 2024 Oct 22. Online ahead of print. PMID: 39435538.

👨‍⚕️HOKUTO監修医コメント

ぜひとも本文を読んで、 本文の結論とabstractの結論の記載の差を味わっていただきたいです。

💬プレスリリース

横浜市立大学プレスリリース

直腸癌に対するロボット手術と腹腔鏡手術後の男性性機能障害発生率を調査する多施設共同前向き観察研究

🔢関連コンテンツ

IIEF-5 (勃起機能問診票)

International Index of Erectile Function 5

日本語版EHS (勃起の硬さスケール)

Erection Hardness Score

背景

直腸癌手術後の性機能障害はQOLに影響

直腸癌手術後の性機能障害は、 患者のQOLに大きな影響を与える。 従来の評価指標であるInternational Index of Erectile Function-5 (IIEF-5) は性交渉を前提としており、 術後に性行為頻度が減少した患者の評価には適さない。

この課題を解決するため、 勃起硬度スコア (EHS) と射精機能アンケート (EORTC QLQ-CR38) を用いた新たな評価法を採用し、 性機能障害の包括的評価を試みた。

研究デザイン

3つの手術法の性機能障害発生率を評価

対象は直腸癌に対し、 腹腔鏡下手術、 ロボット支援下手術、 経肛門的切除術を受けた男性患者399例である。 1 : 1の傾向スコアマッチングにより、 腹腔鏡下手術群、 ロボット支援下手術群の比較がなされた。 なお、 経肛門的切除術群は独立して評価された。

主要評価項目は性機能障害の発生率であり、 術後3ヵ月、 6ヵ月、 12ヵ月の時点でIIEF-5、 EHS、 EORTC QLQ-CR38を用いて性機能 (勃起障害、 射精障害、 性交障害) を評価した。

結果

【Ann Surg】術後の性機能障害、 ロボット vs 腹腔鏡
(プレスリリースより引用)

射精障害・性交障害の発生率はロボット群で低い傾向

射精障害の発生率

ロボット支援下手術群で有意に低かった (p<0.05)。

  • 腹腔鏡下手術群 : 40.9%
  • ロボット支援下手術群 : 25.0%

性交障害の発生率

ロボット支援下手術群で低い傾向が示されたが、 有意差はなかった。

術後6ヵ月

  • 腹腔鏡下手術群 : 32.7%
  • ロボット支援下手術群 : 22.3%

p=0.093

術後12ヵ月

  • 腹腔鏡下手術群 : 29.0%
  • ロボット支援下手術群 : 17.8%

p=0.055

勃起障害の発生率は有意差なし

勃起障害の発生率は、 腹腔鏡下手術群、 ロボット支援下手術群間で有意差はなかった (p=0.796)。

  • 腹腔鏡下手術群 : 37.2%
  • ロボット支援下手術群 : 38.8%

経肛門的切除術群の性機能障害は12ヵ月で一定の回復

経肛門的切除術群では、 術後3ヵ月で勃起障害および射精障害の発生率が高かったが、 12ヵ月時点では一定の回復がみられた。

結論

術後の性機能評価はQOL向上に不可欠

著者らは 「直腸癌の低侵襲手術後、 男性性機能障害 (勃起障害、 射精障害、 性交障害) は一般的に見られるが、 ロボット支援下手術では射精障害の発生率が有意に低く、 性交障害の割合も少なかった。 術後の包括的な性機能評価は、 患者への情報提供を充実させ、 QOLを向上させる上で不可欠である」 と報告している。

ポストのGif画像
【Ann Surg】術後の性機能障害、 ロボット vs 腹腔鏡の全コンテンツはアプリからご利用いただけます。
臨床支援アプリHOKUTOをダウンロードしてご覧ください。
今すぐ無料ダウンロード!
こちらの記事の監修医師
こちらの記事の監修医師
HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

HOKUTO編集部
HOKUTO編集部

編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。

監修・協力医一覧
QRコードから
アプリを
ダウンロード!
【Ann Surg】術後の性機能障害、 ロボット vs 腹腔鏡