海外ジャーナルクラブ
1日前

Jerathらは、 急性低酸素性呼吸不全のため人工呼吸管理を受けた成人患者を対象に、 イソフルランを用いた吸入鎮静 (必要に応じて静脈内鎮静薬を投与) を、 通常の静脈内鎮静と比較する多施設共同・非盲検・無作為化比較試験 SAVE-ICU を実施。 その結果、 主要評価項目である院内死亡率は、 吸入鎮静群で42.5%、 静脈内鎮静群で43.8%であり、 両群間で有意差は認められなかった。 試験結果はJAMA誌に発表された。
吸入鎮静には専用機器が必要であり、 医療スタッフの盲検化が不可能でした。 そのため、 介入の実施方法に影響した可能性があります。 ただし、 アウトカム評価は事前に規定されていました。
🔢 P/F比
急性低酸素性呼吸不全で人工呼吸管理を受ける患者におけるイソフルランを用いた吸入鎮静に関しては、 厳密なエビデンスは限られている。 そこで、 本試験では、 吸入鎮静戦略によって通常の静脈内鎮静戦略と比べて院内死亡を低減できるかどうか検討した。
本試験は、 カナダの14ヵ所の集中治療室 (ICU) で実施された、 プラグマティック・非盲検・優越性無作為化比較試験である。 対象は、 鎮静開始から72時間未満で、 COVID-19以外の原因による急性低酸素性呼吸不全 (動脈血酸素分圧/吸入酸素濃度比 [PaO₂/FiO₂] 300mmHg未満) またはCOVID-19のため人工呼吸管理を受けている18歳以上の成人患者であった。 786例が無作為化され、 780例が主解析の対象となった。 患者は以下の2群に割り付けられた。
鎮静薬は臨床チームが目標鎮静スコアを達成するよう調節し、 抜管または死亡まで継続した。
主要評価項目は全死因による院内死亡とした。 副次評価項目は、 30日時点のICU非滞在日数および人工呼吸器非使用日数、 60日時点の非入院日数、 難治性低酸素血症に対する補助療法の使用、 14日時点のせん妄・昏睡のない日数、 3ヵ月時点のQOLおよび機能障害スコアなどであった。
主要評価項目の院内死亡率については、 吸入鎮静群と静脈内鎮静群に有意差は認められなかった。
院内死亡 (退院時)
リスク比0.98 (95%CI 0.84–1.14), p=0.85
事前に規定された年齢、 性別、 COVID-19の有無に基づくサブグループ解析では、 効果修飾は認められなかった。 なお、 吸入鎮静群において、 無作為化後14日間に静脈内鎮静薬を併用した患者の割合は49.9~55.4%であった。
ICU非滞在日数、 人工呼吸器非使用日数、 非入院日数は両群でおおむね同程度であった。 QOLと機能障害スコアにも群間差は認められなかった。
一方、 低酸素血症に対する補助療法の使用割合は静脈内鎮静群と比べて吸入鎮静群で有意に高かった (群間差8.89%㌽, 95%CI 1.95~15.83%)。 また、 せん妄・昏睡のない日数は、 吸入鎮静群で有意に少なかった (群間差-0.95日、 95%CI -1.69~-0.22日)。
QOLおよび障害スコアについては両群間に差は認められなかった。
著者らは、 「人工呼吸管理を受ける急性低酸素性呼吸不全の成人患者において、 必要に応じて静脈内鎮静薬を併用するイソフルランを用いた吸入鎮静戦略は、 静脈内鎮静戦略と比べて院内死亡率を低下させなかった」 と報告している。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。