海外ジャーナルクラブ
2年前
Geurtsらは、 5年間以上生存したホジキンリンパ腫 (HL) 患者を対象に、 放射線量およびプロカルバジン投与量と大腸癌の発症率をネステッドケースコントロール(Nested Case-Control)研究で検討。 その結果、 放射線療法と大腸癌リスクとの間に線量反応関係があり、 プロカルバジンによってこの関係が修正されることが示された。 本研究は、 JAMA Oncol誌において発表された。
HL治療の生存者において放射線療法と大腸癌リスクとの間に線量反応関係があることを明らかにした意義のある研究です。 今後このような長期間における影響とそれに対する適切なスクリーニング法の提示は時代が求める研究と言えます。
HLの生存者は大腸癌の発生率が高く、 これは横隔膜下放射線療法やアルキル化剤による化学療法と関連している可能性がある。 HL後の乳癌、 肺癌、 胃癌、 膵臓癌、 食道癌に対する放射線の線量反応関係が証明されているが、 大腸癌に対する放射線療法の関連は依然として不明である。
5年以上のHL生存患者
大腸への平均放射線量は、 代表的なCT撮影データセットで個々の放射線療法を再構成することにより推定。
過剰率比 (ERR) をモデル化し、 放射線量の1 Gyの増加に伴う過剰リスクを評価し、 プロカルバジンによる効果修正の可能性を検討。
横隔膜下放射線療法を受けた患者 (RR 2.4、 95%CI 1.4-4.1) および8.4 g/m²以上のプロカルバジンを受けた患者 (RR 2.5、 95%CI 1.3-5.0) で大腸癌発症率の上昇がみられた。
大腸癌発生率は、 大腸全体に対する平均放射線量および大腸病変部位に対する放射線量に比例して直線的に増加した。
放射線量と大腸癌発生率との関連は、 プロカルバジンの投与量が増えるほど強くなった。
大腸全体への1GyあたりのERRは、 プロカルバジンを投与しなかった患者では3.5% (95%CI 0.4-12.6%) で、 プロカルバジン線量が1g/m²増すごとに1.2倍 (95%CI 1.1-1.3) に増加した。
5年間のHL生存者を対象としたこのネステッドケースコントロール研究では、 放射線療法と大腸癌リスクとの間に線量反応関係があり、 プロカルバジンによってこの関係が修正されることがわかった。 これらの知見により、 個人別の大腸癌リスク推定、 高リスク生存者の特定とその後のスクリーニング、 治療戦略の最適化が可能になると考えられる。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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