HOKUTO編集部
2年前

本稿では食道胃接合部腺癌の治療戦略について、 ガイドラインなどの現状のエビデンスを中心に概説する (解説医師 : 国立癌研究センター中央病院頭頸部・食道内科/消化管内科 山本駿先生)。
腺癌は食道癌の約5%を占め、 逆流性食道炎が代表的なリスク因子とされることから、 食道胃接合部に好発する。
以前は食道胃接合部腺癌の頻度は限定的であったが、 近年は本邦に加えて欧米でも増加傾向であり、 昨年の国際胃癌学会では世界ではじめてコンセンサスベースの食道胃接合部腺癌のガイドラインが発表される¹⁾など注目度が高い疾患である。
食道胃接合部腺は、 Siewert分類によりⅠ~Ⅲ型に分類されている。
▼海外における周術期治療
欧米では以前より局所進行食道癌の治療開発に腺癌も含まれていたことから、 CROSS試験で検証された術前化学放射線療法²⁾や、 CheckMate 577試験で検証された術後ニボルマブ療法³⁾も治療選択肢とされている。
一方、 局所進行胃癌の治療開発に食道胃接合部腺癌が含まれてきたことから、 FLOT4試験で検証された周術期FLOT (フルオロウラシル、 ロイコボリン、 オキサリプラチン、 ドセタキセル) 療法⁴⁾も選択肢とされている。 そのため、 CROSS試験に基づく治療戦略か、 FLOT4試験に基づく治療戦略のどちらが望ましいかは、 ASCO 2024におけるESOPEC試験の結果から、 一定の結論が得られたが、 術後ニボルマブ療法も含めた治療戦略となると、 未だ明らかでない点が多い。
▼本邦における周術期治療
本邦では胃癌に準じた治療が行われることが多く、 ACTS-GC試験やJACCRO GC-07試験から、 術後S-1療法⁵⁾または術後DS (ドセタキセル+S-1) 療法⁶⁾が行われるが、 食道胃接合部腺癌に関するエビデンスは乏しい。
そのため、 JCOGでは食道胃接合部腺癌を対象に、 術前治療の意義を問う第Ⅲ相試験 (JCOG2203 : NEO-JPEG) が進行中である。
食道胃接合部腺癌は胃癌と類似の生物学的特性を示すことから、 胃癌に準じて緩和的な薬物療法が行われている。 そのため、 治療開始前にHER2やPD-L1 CPS、 MSI、 CLDN18.2といったバイオマーカーを評価することが国際ガイドラインでも強く推奨されている¹⁾。
▼HER2陽性
トラスツズマブと2剤併用化学療法⁷⁾を行う。
▼HER2陰性かつCLDN18.2陰性
ニボルマブと2剤併用化学療法⁸⁾を行う。
▼HER2陰性かつCLDN18.2陽性
ニボルマブと2剤併用化学療法⁸⁾やゾルベツキシマブと2剤併用化学療法⁹⁾¹⁰⁾を行う。
上記に加えて、 KEYNOTE-859試験の結果から、 HER2陰性胃癌の1次治療にペムブロリズマブ¹¹⁾も選択肢に加わり、 今年5月に発表されたKEYNOTE-811試験のプレスリリースから、 HER2陽性胃癌の1次治療としてペムブロリズマブとトラスツズマブ、 2剤併用化学療法が今後選択肢となり得ると考えられる。
本稿では、 まずは総論として食道胃接合部腺癌における周術期治療と初回薬物物療法について概説したが、 今後は両者に関して、 最新のエビデンスも加えながら深掘りしていく予定である。

切除可能局所進行食道腺癌への周術期FLOT、 術前CRTに比べOS改善





編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。