寄稿ライター
5ヶ月前
こんにちは、 Dr.Genjohです。 シリーズ 「医師減給時代」 第3回のテーマは 「医師数増の原因は医師の偏在にあり」です。
連載第2回では、 医療費の増加に最も寄与する因子が医師数の増加であることをご紹介しました。 【表1】を見ると、 医師数削減の必要性は1986年 (昭和61年) には認識されています。
すでに取得した医師免許を剝奪することは困難なので、 必然的に新規医師の養成数を減らすことで医師数の削減を考えることが自然です。
実際、 この1986年を境に医学部入学定員数は少し削減され、 以後横ばいが続いていました。 しかし、 2009年以降、 医学部の定員数が再び増加傾向に転じます【図1】。
なぜか。 2009年、 いわゆる骨太の方針で 「地域間、 診療科間、 病院・診療所間の医師の偏在の是正を」 と提言されたためです。 ロジックとしては以下の通りです。
地域枠の設定や診療科シーリングといった対策が講じられています (詳細は次回) が、 2023年時点で、 40歳未満の若手医師の地域偏在は激しいと言わざるを得ません。 人口10万対40歳未満医師数、 医師偏在指標(医療需要なども組み入れた指標) を都道府県別で比べると、 東京都がいずれも断トツの1位です【図2】。
「人口10万対40歳未満医師数ワースト」 の埼玉、 「医師偏在指標ワースト」 の岩手をみると、 東京とは2倍以上の開きがあります。
埼玉や岩手は相対的に医師余りが発生しづらく、 医師の生存競争が激しくない代わりに東京の倍の人口を診療する必要があります。 東京は診療担当人口は少ない代わりに熾烈な競争が発生する。 一概にどちらが良いと断言はできません。
ただ一つ間違いないのは、 医師の偏在が解消されないと新規医師養成数を削減できず、 医師余りがさらに進行して医師全体の待遇が悪くなる、 ということです。
では、 地域枠の設定は本当に意味がないのでしょうか?
次回はその点を掘り下げます。
Xアカウント : @DrGenjoh
厚生労働省 : 医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会 第1回 (2024/1/29) 、 第2回目 (2024/2/26)
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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