亀田総合病院
7ヶ月前
2024年4月18~20日に、神戸市で第68回日本リウマチ学会が開催されました。 同学会において特に注目されるトピックについて、実際に参加された亀田総合病院リウマチ・膠原病・アレルギー内科の小田修宏先生に印象記をお寄せいただきました。
4月18~20日の3日間、 山形大学整形外科学講座教授の髙木理彰先生を大会長に、 第68回日本リウマチ学会が開催されました。 リウマチ学会はコロナ禍以降、 2022年から現地開催が再開されていましたが、 年々参加者も増え、 より活性化している印象です。 今回医局員のおかげもあり全日程に参加することができましたので、 印象に残ったことなど簡単に報告させていただきます。
今学会における大きな目玉の1つが、 シンポジウム8 「関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂」 のセッションでした。 2020年版の発行以降4年ぶりの改訂ということもあり、 2日目の朝8時40分から発表されたセッションでしたが、 開始時点でかなり多くの方が参加されており、 注目度の高さを実感しました。
同ガイドライン2024年版に関しては、 亀田総合病院リウマチ・膠原病・アレルギー内科の先生方に、 改訂ポイントを3回に渡り解説いただいています。 合わせてご覧ください。
僕自身がもっとも面白いと思ったのは、 1日目に行われたシンポジウム5 「日常臨床で出会う自己炎症症候群」 でした。 このシンポジウムでは日本の自己炎症性疾患に関するトップランナー達が
の国内症例に関する報告/まとめを行う、 大変貴重なものでした。
特にシュニッツラー症候群の国内症例のまとめでは、 発熱期間や症状、 平均発症年齢などの臨床に関する報告もさることながら、 もともと単発で報告されていた論文のオーサーに連絡をとり情報収集したという、 演者の先生が研究を行う上での執念に大変感銘を受けました。
今大会では特別企画として、 各大学・病院の威信をかけた 「モルック大会」 と 「リウマトロジーチャンピオンシップ」 が開催されていました。
モルックとはフィンランドで誕生した、 木の棒を投げて置かれた点数の書かれた薪を倒し、 50点を目指すスポーツです。
リウマトロジーチャンピオンシップはリウマチに関するあらゆる分野の知識が試されるクイズ大会で、 当院も参加しました!産業医科大学チームの優勝で幕を閉じましたが、 どのチームもレベルが高く、 問題も勉強になるものばかりでした。 ぜひ来年も開催していただければと思います。
日本リウマチ学会の魅力の1つは、 膠原病が希少疾患であるがゆえに、 臨床的に興味深い症例であればオーラルプレゼンテーションに採択されることがある点だと思います。 当科からも大矢直樹医師が"首下がり症候群を併発した抗NXP-2抗体陽性皮膚筋炎の一例"を発表し、 聴衆の先生からの質問も多く、 改めて当院には興味深い症例が集まってくるな、 と思いました。
僕もポスターセッションで発表しましたが、 リウマチ学会はポスター数が多いのも特徴で、 見て回るだけでも勉強になります。
今回の総演題数は1,900題・参加者は6,700人を超え、 大変盛り上がった会となりました。
「流心をとる」 という今大会のテーマは 「流」 という言葉が関節リウマチを想起させますが、 北国のフライ・フィッシャーが好んで使う言葉に由来するようです。 流心とは川の流れの中心のことで、 サーモンが好んで居る場所です。 流心に毛針を通さなければサーモンとは出会えませんが、 かならずしも川の真ん中に流心があるわけではなく、 しっかりと一つ一つの川の流心を見極める必要があるようです。
情報過多な世の中ですが、 リウマチ学においても 「流心をとる」、 本質を見抜く姿勢をわすれないようにしたいと思います。
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編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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