医師のためのLIFESTYLE特集
3年前
国内には30万人以上の医師がいますが, 都道府県別にみると医師の需給バランスはどうなのでしょうか. 厚生労働省の資料をもとに紹介します.
医師偏在指標とは, 人口10万人対医師数に地域ごとの医療需要や患者の流入数, 医師の供給体制を考慮した医師偏在の度合いを示すものです. 厚生労働省が発表しています.
医師偏在指標は標準化医師数を分子に, 地域の人口 (10万人) と地域の標準化受療法比を掛けたものを分母に取って計算し, 値が大きいほど地域の医師供給数が多い状態を示します.
医師偏在指標を都道府県別にみると, 1位は徳島県 (338.4人) , 2位京都府 (332.6人) , 3位高知県 (322.0人) . ワースト1位は埼玉県 (177.8人) で最も少なく, 次いで茨城県 (193.8人) , 新潟県 (204.3人) と続きます.
この医師偏在指標は賛否両論あり, 「地理的状況を勘案すべき」「非常勤医師の派遣を加味すべき」といった意見が出されています.
高齢者の割合が高いほど医療ニーズが増すため地域の年齢は反映できていますが, 都市部では昼間と夜間で人口が異なるため受療行動を考慮できていません. へき地も指標では対応できず, 各都道府県が「医師少数スポット」を定めるなどして対応しています.
医師確保に向けた各都道府県の新しい取り組みも始まっています.
青森県では地方公共団体として全国初となる無料職業紹介所「あおもり地域医療・医師支援機構」を設置し運営. 地元大学医局の地域派遣を補完する取り組みを行っています.
離島の多い長崎県では, 離島に所在する市町からの要請を踏まえ医師を全国的に公募し, 長崎県職員として採用した上で身分保証し, 県内の離島診療所に派遣しています.
他にも北海道や東北地方, 中国地方などで地域枠を設定し, 医学部生や研修医の呼び込みを行っています.
医師偏在指標は全体的に西高東低で, 特に東北地方で医師不足である傾向が強いと言えそうです. 指標は小児科, 産婦人科, 外科についても同様に都道府県別に見た医師偏在指標があります.
2024年度からの第8次医療計画 (医師確保計画) で医師偏在指標は重要な統計資料として位置づけられています. 医師として働く以上, 今後の医師確保計画には注目していきたいです.
編集・作図:編集部、 監修:所属専門医師。各領域の第一線の専門医が複数在籍。最新トピックに関する独自記事を配信中。
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